本論では, 困難家庭の支援に積極的に取り組んでいる保育所等へのインタビュー調査を通して, 困難家庭の子どもの育ちに対する積極的支援の方策と含意, 及びそれら実践の基盤となる要因を探り, 保育における福祉機能の可能性を考察した. 子どもの育ちへの積極的支援として, 子どもの保育の参加を確実にすること, 集団生活の中でも個別的なかかわりを充実させること, 困難家庭で不足しがちな経験を保育内容に盛り込むこと, 「特別扱い」による不要なスティグマを抱かないよう配慮することなどが抽出された. またそれらには, 子どもの生きる権利・育つ権利の保障, アタッチメントを土台とした発達保障, 日々の自己充実と将来の生活力の形成などの意味合いが込められていることも示された. それらを支える要因として, 子ども家庭支援を園の役割とする信念や組織基盤が示唆された. 福祉的な視点からすれば, 困難な状況にある子どもや家庭に手厚い支援を行うことは重要かつ必要なものであるが, それが新たなスティグマを生まないよう, 全体的な活動の中に, いかに受容的で個別的なかかわりを浸透させていくかを考慮に入れる必要性が示唆された.
台所や手洗いのシンク, あるいは浴室などの水周りは湿潤環境を好む菌の温床となり菌の増殖が日常的におこっている. これらを洗い流すことは衛生面からも, また生活者の不快感を取り除くことからも重要であるものの, それらの除去は難しい. 本研究では, 水回りの代表的なピンクヌメリをもたらす赤色酵母Rhodotorula sp. の流水除去に対し, 1 μm未満であるウルトラファインバブルの効果を検証した. 対照水とした水道水, およびウルトラファインバブル水をシャワーに導水し, Rhodotorula sp. を塗布した試験片を洗浄して比較検討した. その結果, 水道水に比べウルトラファインバブル水を用いた系で, シャワー水が直接当たる位置 (衝突力) では極めて高い除去効果を, またそれが流れ落ちる間接的な位置 (剪断力) でも除去効果の向上を確認した.