日本家政学会誌
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57 巻, 9 号
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報文
  • 樋口 寿, 奥田 豊子, 梶原 苗美, 岡田 祐季, 井奥 加奈, 佐々木 公子, 小切間 美保, 岡田 真理子
    2006 年 57 巻 9 号 p. 619-626
    発行日: 2006年
    公開日: 2007/10/12
    ジャーナル フリー
    身体状況, 血液性状, 食事摂取状況 (栄養素, 食品群) 別に因子分析をして因子を抽出し, 血流速度との関連をパス解析により検討した.
    (1) 因子分析の結果, 身体状況の「肥満」「血圧」, 血液性状の「血中脂質」「血中タンパク質」, 栄養素等摂取量の「ビタミン・ミネラル」「エネルギー源」, 食品群別摂取量の「植物性食品」「動物性食品」の8因子が抽出され, 「血中機能性成分」「菜食主要食品」を加えた計10因子を得た.
    (2) 「血流速度 (全血通過時間)」に直接影響を与えている因子は, 血液性状から抽出された「血中脂質」, 「血中タンパク質」と食品群別摂取量の「菜食主要食品」の3因子であり, 脂質やタンパク質の血中濃度が高いことや豆類や緑黄色野菜の摂取量が少ないと, 血液通過時間を延長させ血液の流動性が低下することが示された.
    (3) 「動物性食品」は「肥満」と「ビタミン・ミネラル」に影響し, 「肥満」は「血中脂質」を介して「血流速度 (全血通過時間)」に影響していた. これらの因子が「血流速度 (全血通過時間)」を説明する程度は36%であった. 以上の結果は, 動物性食品の摂取を減らし, 豆類や緑黄色野菜を豊富に摂取する菜食では, 血液の流動性を高めることを示唆した.
ノート
  • ―真空調理法による評価―
    西村 公雄, 小林 愛子, 安信 淑子
    2006 年 57 巻 9 号 p. 627-634
    発行日: 2006年
    公開日: 2007/10/12
    ジャーナル フリー
    鶏ささ身 (60×30×10mm) を超緩慢凍結法 (約-0.30℃/min), 緩慢凍結法 (約-1.4℃/min), 液体窒素凍結法 (約-250℃/min) により凍結し, -20℃で3週間保存した. 解凍後真空調理 (75℃で15分間) を行い, 鶏ささ身の硬さをレオメータを用いて測定したところ, 緩慢凍結した鶏ささ身が最も柔らかく仕上がった. これは, 凍結時最大氷結晶生成帯を短時間で通過するほど品質が保たれるとする従来の説と異なっていた. そこで, その原因を検討した.
    (1) 凍結前および各種凍結保存後の鶏ささ身に対してSDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動を行い, 凍結速度および凍結保存の影響を検討したところ, 各泳動パターン間に顕著な差は認められなかった. また, 各Ca2+-ATPase比活性間にも有意な差は認められなかった.
    (2) 各種凍結後の鶏ささ身に対してクライオ走査型電子顕微鏡観察 (×200) (筋細胞の状態観察) を, また保存後解凍した鶏ささ身に対しては, 走査型電子顕微鏡観察 (×20,000) (筋原線維の状態観察) を行った. 筋細胞の状態は, 液体窒素凍結法, 緩慢凍結法, 超緩慢凍結法の順に氷結晶による損傷が大きくなった. 一方, 筋原線維の状態は, 緩慢凍結法による損傷が最も小さく, 急速凍結および超緩慢凍結した試料とも筋原線維間に空隙ができていた.
    (3) 凍結前および各種凍結法にて凍結後保存した鶏ささ身を真空調理し, 水分含量を調べたところ各試料間で有意な差はなかった.
    以上のことより解凍後の鶏ささ身の筋原線維の状態が, 主として真空調理後の鶏ささ身の硬さに影響を与えるものと考えた.
  • 杉本 温美, 和辻 敏子
    2006 年 57 巻 9 号 p. 635-640
    発行日: 2006年
    公開日: 2007/10/12
    ジャーナル フリー
    三種類のヒラ豆 (大粒, グリーン, オレンジ) よりデンプンを調製し, その性質について検討したところ次のような結果が得られた. 粒度分布で求めたヒラ豆デンプンの平均粒径は16~19μmで, 小豆デンプンのおよそ半分であった. DSCで求めた糊化開始温度は大粒62.6℃, グリーン52℃, オレンジ54.2℃, 小豆56.5℃, ゲル濾過分析より求めたアミロース含量は大粒30.1%, グリーン34.4%, オレンジ34.2%, 小豆32%で, 大粒は他の二種類のデンプンよりも糊化開始温度が高く, アミロース含量が低いことがわかった. X線回折図は三種類ともCa図形を示した.
    ヒラ豆デンプンは小豆デンプンと比較して粒径が小さいものの, オレンジやグリーンの糊化開始温度やアミロース量などの性質が小豆デンプンに比較的近く, ヒラ豆が浸漬をしなくても柔らかくなることから, 高価で煮熟に長時間を要する小豆のかわりにヒラ豆を和菓子の基本的素材として重要な“アン”へ利用することも期待できる.
資料
  • 丸井 寧子, 中山 徹, 大谷 由紀子, 杉山 隆一, 長瀬 美子, 丸山 美和子
    2006 年 57 巻 9 号 p. 641-650
    発行日: 2006年
    公開日: 2007/10/12
    ジャーナル フリー
    It is evident that the present framework of kindergartens and nurseries are not capable of coping with the increasingly diversified needs of early childhood education and childcare facilities. Under such circumstances, there have been cases of combining kindergarten and nursery into a single facility aiming at prompting early childhood education, supporting parents in childcare, and solving various problems involving kindergartens and nurseries including helping decrease the number of those working parents in the waiting list of the nurseries of their choice. An overall pattern of how the kindergarten and the nursery are unified into one institution and how it is operated was studies. The subject of this study was those public institutions which have been established and managed at various places in this country. As a result of the unification, the stuff are positive about the advantage of diversification of functions and expansion of activities thanks to an increase of children in their facilities. The expanded facility has brought about, on the other hand, the difficulty in personnel and institution management.
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