日本家政学会誌
Online ISSN : 1882-0352
Print ISSN : 0913-5227
ISSN-L : 0913-5227
42 巻, 6 号
選択された号の論文の11件中1~11を表示しています
  • 市販緑茶の直接摂取について (第3報)
    酒巻 千波, 桑野 和民, 三田村 敏男
    1991 年42 巻6 号 p. 501-505
    発行日: 1991/06/15
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    市販緑茶を直接摂取することの検討の一部として, 3週齢のウィスター系雄ラットを, 対照, 緑茶粉末1%および5%の3区に分けて28週間飼育し, 25週目の4日間に出納試験を行い, あわせて解剖時に摘出した骨の重量およびミネラル含量からその影響を考察した.結果は以下のとおりである.
    (1) 飼料摂取量は1%区が他の2区より有意に高いが, 増加体重および飼料効率は3区間に差がない.
    (2) 糞量は対照区>1%区>5%区の順で有意に低くなり, 尿量は3区間に有意差が認められない.
    (3) 見かけの固形分消化吸収率は対照区<1%区<5%区の順で有意に高くなり, 粗タンパク質, 粗脂肪消化吸収率は5%区が, 粗灰分消化吸収率は対照区が他の2区に比べて有意に低い.IDFは対照区<1%区<5%区の順で有意差が認められた.
    (4) 窒素出納では体内保留量, 保留率とも3区間に有意差が認められない.
    (5) ミネラル出納では1%区のカルシウム, マグネシウム体内保留量, 保留率が対照区に比べ有意に高い.リンの出納は3区間に有意差が認められない.
    (6) 脱脂乾燥骨重量は3区間に差が認められない.分析値では, 5%区の粗灰分とマグネシウムが有意に高いが, カルシウム, リン, そしてカルシウムに対するマグネシウムとリンの割合には有意差が認められない.
    以上, ラットにおける出納試験および骨の分析結果からみても, 緑茶の直接摂取がラットの生体機能を損なうことはないと考えられる.
  • 水牧 久栄, 水上 戴子, 堀川 蘭子
    1991 年42 巻6 号 p. 507-514
    発行日: 1991/06/15
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    タンパク質源に卵アルブミン, カゼインの二種を用い, タンパク質含量を階段的に変えた食餌をWistar系雄ラットに投与し10日間飼育し, この間の食餌摂取量, 体重を計測した.飼育期間終了後は, 血漿, 脳中の遊離アミノ酸濃度, 肝臓中SDH活性を測定した.これらから, 各種食餌への適応過程, さらにタンパク質の質, 含量の違いによる差異を検討した.結果は以下のとおりであった.
    (1) 低タンパク食群, 高タンパク食群で飼料摂取量が抑制され, 体重増加量も有意に少なくなり, ことに低タンパク食群での増加量はわずかであった.
    (2) 飼料摂取量が少なかった低タンパク食群, 高タンパク食群では, 脳中のMetが低濃度となった.また, 脳中His濃度は低タンパク食時に高濃度, 高タンパク食時に低濃度となった.脳中のMet濃度およびHis濃度の変化が飼料摂取量を調節する因子のひとつと考えられる.
    (3) 肝臓中SDHは, タンパク質摂取量の少ない群ではほとんど活性がみられないが, タンパク質摂取量の多い群では著しく充進され, 飼料中タンパク質含量の増加に比例して高まった.高タンパク食摂取群では, 肝臓中アミノ酸分解酵素の活性が高まり高タンパク食へ適応した.
    (4) タンパク質の質の違いによる差はほとんどみられなかった.
  • 大野 信子, 藤井 貴明
    1991 年42 巻6 号 p. 515-522
    発行日: 1991/06/15
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    Ganoderma lucidium No.15が細胞外に産生するアミラーゼをイオン交換クロマトグラフィー, ゲルろ過等によりポリアクリルアミドゲル電気泳動 (PAGE) 的に均一になるまでに精製し, その性質を調べた.
    (1) 本酵素は, その分子量がゲルろ過法により53,000, SDS-PAGEにより55,000であると推定されたことから, モノマーからなることが示された.
    (2) 本酵素の活性の最適pHは5.0, 最適温度は55℃であった.また, 等電点は6.8を示した.酵素は0~40℃, pH4.5~9.0の範囲で安定であった.
    (3) 可溶性でん粉に対するKm値は83%であった.
    (4) 本酵素の活性はCu2+, Hg2+, Fe2+, Ag2+, モノヨード酢酸, p-クロロメルクリ安息香酸によって阻害された.
    (5) 本酵素は数種の生でん粉に対しても作用し, 小麦ならびにトウモロコシの生でん粉に対する活性は, それそれを糊化したものの18, 6%, 16.5%の値を示した.しかしながら, ジャガイモ生でん粉に対してはほとんど作用しなかった.
    (6) 本酵素は, これらのでん粉を基質とした反応で, グルコースのみを生成することからグルコアミラーゼの一種であると推定された.
  • コロッケの破裂の機構 (第3報)
    長尾 慶子, 畑江 敬子, 島田 淳子
    1991 年42 巻6 号 p. 523-527
    発行日: 1991/06/15
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    加熱前のコロッケを冷却することによる破裂の抑制効果を検討した.ポテトコロッケの温度を-20℃ (冷凍コロッケ) および5℃ (冷蔵コロッケ) まで冷却したのち, 180℃で揚げ, 冷却処理をしないで同様に調製した室温コロッケと比較し, 次の結果を得た.
    (1) 冷却処理は, 外皮1mmの薄衣コロッケにおいてとくに有効であった.すなわち, 室温試料では100%表層部破裂し, 可食コロッケは0%であったが, 冷蔵試料では95%が, また冷凍試料では100%が可食コロッケとなった.この理由として, 低温にすることにより外皮近傍部の温度上昇が遅れ, 揚げ加熱中に蒸気圧が高まることが抑えられた結果, 表層部破裂が抑制されたことを認めた.
    (2) 外皮 2mmおよび 3mmの室温試料は, 100%全体破裂し可食コロッケの割合は0%であったが, 冷蔵試料においてもそれぞれ10%および5%であり, 破裂抑制効果はほとんど認められなかった.破裂の機構は室温試料のそれと同じであった.
    (3) 外皮 2mmおよび 3mmの冷凍試料における可食コロッケの割合は, それぞれ55%および45%であり破裂抑制にかなり効果的であった.破裂の抑制は外皮の厚さにより異なり, 2mm衣試料は冷凍によりすべて表層部破裂になり, 3mm衣試料はすべて全体破裂であった.しかし, 3mm衣の全体破裂は室温試料と同じ機構では説明できず, 両試料ともに冷凍による異なる破裂の機構が示唆された.
    (4) 2mm衣の場合, 室温では100%全体破裂したが, 冷凍 (-20℃) 試料では100%表層部破裂となった.
  • 足立 蓉子
    1991 年42 巻6 号 p. 529-536
    発行日: 1991/06/15
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    対象地域として都市型, 漁村型および農村型の地域類型から5地域を選定した.5地域の65歳以上の男女434人を対象に, 食事満足度とそれに影響を及ぼす要因について個人面接法で調査を実施した.その結果を数量化I類を用いて分析した.
    (1) 高齢者の食事満足度は, 全体的に高いといえる.その内容をみると, 満足度を把握するために設定した6項目のうち, 「食事がおいしく食べられる」ことや「食べたいものを食べている」などの項目が顕著に高い.
    (2) 食事満足度に影響する要因は, 第一に食事量の多いことが満足度を高めると考えられる.第二は地域である.選定した5地域の特性や世帯構成率の違いなどが満足度へ影響を与えるのではないかと考えられるが, 地域類型別の特徴を見いだすには至らなかった.第三は欠食状況であり, 欠食しないことが満足度を高めると考えられる.
    (3) 食事満足度には食事量, 欠食状況や食品摂取状況などの食生活状況と, 生きがいや健康など生活全般が相互にからみあって, 影響を及ぼすであろうと考えられるが, 今後さらに要因の精選を検討し, 高齢者にとっての望ましい食事のあり方を研究していきたい.
  • 都築 (早川) 和代, 磯田 憲生, 梁瀬 度子
    1991 年42 巻6 号 p. 537-544
    発行日: 1991/06/15
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    気温と着衣が運動時の人体に及ぼす影響を明らかにするために, 相対湿度50%, 気流0.2m/sec以下とし, 着衣を裸体 (ビキニタイプの水着着用), 半袖Tシャツ・短パン着用, 長袖・長ズボン着用の3種類とし, 気温条件を裸体20~30℃, 半袖20~27.5℃, 長袖15~25℃に設定した環境下で, 被験者に30分間の安静および自転車エルゴメーターによる40分間, 0.5kp, 50rpmの軽い運動を負荷する実験を行い, 次の点を明らかにした.
    (1) 平均皮膚温は, 気温が高くなるほど, 着衣が増えるほど高くなる.体重減少量は安静時は気温や着衣にかかわらず, ほぼ同じであるが, 運動時では安静時よりも多く, 半袖で多くなる傾向が認められた.
    (2) 温冷感申告は, 気温が高くなるほど, 着衣が増えるほど暑い側申告となる.温熱的中性申告は安静時では, 裸体気温26℃, 半袖24.5℃, 長袖21.5℃で得られ, 運動時では裸体21.5℃, 半袖20.5℃, 長袖18.5℃で得られた.
    (3) 着衣量について, 文献からの算出を試みた.衣服表面温度, 皮膚温などの実測値から算出する着衣量と温熱的中性気温との関係が他の着衣量算出式との関係に比べて, clo値の定義式に近い傾きになった.スポーツウエアなどのゆとり量が多い衣服や運動時についての着衣量の算出には, 詳細な検討が必要であると考えられる.
  • 衣生活の因子分析
    布施谷 節子
    1991 年42 巻6 号 p. 545-550
    発行日: 1991/06/15
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    主として, 子どもの成長に伴う既製服の選択と社会的文化的側面から子どもの衣生活の現状把握をすることを日的として質問紙調査を行った.対象者は, 1988年10月に, 東京近郊, 新潟市, 鹿児島市3地域所在の八つの園に在園する幼稚園児・保育園児 (0~6歳男女児合計約800例) の母親である.質問項目42項目について正準相関分析を行い, 家庭状況質問群と衣生活質問群の関連性を確認した.ついで, 42項目について因子分析を行い, 抽出された因子の解釈を行った.
    おもな結果は, 以下のとおりである.
    因子分析の結果, 男女児とも7個の因子が抽出された.これらの因子を解釈すると, それは, (1) 家庭での子どもの出生順位や子どもの数により, 子どもの衣服への手のかけ方が異なることを表す因子, (2) 母子のブランド志向, 流行志向, ペアルックを含めたおしゃれ志向の因子, (3) 子どもの成長に伴う体型と着用サイズの認識の因子, (4) 地域や家庭のステイタスにより衣服費のかけ方が異なることを表す因子, (5) 持ち家率と老人同居を含めた家族構成などの家庭状況の因子, (6) 経済性を考慮するサイズ選択の因子, (7) 子どもの意見や希望に対する母親の衣服選択のあり方の因子と解釈される.
  • 地域, 年齢, 出生順位が衣生活に及ぼす影響
    布施谷 節子
    1991 年42 巻6 号 p. 551-558
    発行日: 1991/06/15
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    第1報の因子分析の結果をふまえて, 子どもの衣生活の現状をより具体的に把握することを目的として地域別, 年齢別, 出生順位別に質問項目の頻度分布を検討した.資料ならびに調査対象者は第1報と同じである.
    おもな結果は, 以下のとおりである.
    (1) 地域別の頻度分布では家庭状況質問群について, (1) 家庭内の大人の数, (2) 子どもの数, (3) 子どもの世話をする人, (4) 母親の学歴, (5) 家庭の職業, (6) 年収, (7) 住宅に差がみられた.また, 衣生活質問群について, (1) 子ども用のブランドものの購入, (2) 母親用のブランドものの購入, (3) キャラクターものの購入, (4) 親子ペアルックの着用, (5) 子どもの衣服費のかけ方, (6) 翌日着用する衣服の準備, (7) 外出着と普段着の区別に差がみられた.
    (2) 年齢別の頻度分布では, 子どもの成長に伴って変化傾向のみられたものは, (1) 現在着用している衣服のサイズ, (2) 母子のおしゃれ志向, (3) 子どもの意志の反映についてである.子ども服のサイズについては, 現在の身体の実際のサイズより1サイズ大きいものを着用させていることがわかった.また, 3歳ないし4歳から母子ともにおしゃれ志向が上昇していく傾向がみられる.衣服に対するこだわりは, 女児のほうが強いようである.
    (3) 長男・長女とその他の子どもたちに分類して男女児別の出生順位による頻度分布の差をみると, 男女児とも共通して, (1) 子どもに試着させるかどうか, (2) サイズ選択のさいにどのサイズを選ぶかに有意な差がみられ, さらに女児については, (3) 子どもの意見や希望の取り入れ方, (2) 衣服の色へのこだわりについて有意な差がみられた.
  • 三橋 富子, 藤木 すみ, 田島 真理子, 妻鹿 絢子, 荒川 信彦
    1991 年42 巻6 号 p. 559-564
    発行日: 1991/06/15
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    いわしだんごの鮮度低下にともなうかたさおよび凝集性の低下について, いわしの死後のpH低下との関係において検討した.その結果, 次の点が認められた.
    (1) 貯蔵0日のpHが低くなっているいわし肉では, 貯蔵後にかたさおよび凝集性が減少する傾向にあり, pHが高いものは低下しにくい傾向にあった.
    (2) pH 調整すり身によるモデル実験においても, pHが58より低いものは貯蔵後にかたさが低下した.凝集性については顕著な変化は認められなかった.
    (3) pH 調整すり身からのタンパク質抽出量の貯蔵による変化は, アクトミオシン区タンパク質はpHによる差が大きく, とくにpH6.45のすり身においては貯蔵にともない顕著に抽出量が減少した.水溶性タンパク質の抽出量は, pHの低いものは貯蔵後に減少したが, 高いものは大きな低下は認められなかった.
    (4) pH 調整すり身より抽出したタンパク質のSDSポリアクリルアミドゲル電気泳動パターンより, 対照 (蒸留水添加pH5.75)) およびpHを低下させたすり身 (pH5.60) においては貯蔵1日後からミオシン重鎖の分解が認められ, また貯蔵にともない43,000ダルトン成分および34,000ダルトン成分の減少が認められた.pHを上昇させたすり身 (pH6.15, 6.80) はミオシン重鎖の分解は遅く, また43,000ダルトン成分および34,000ダルトン成分の減少は認められなかった.
  • -椙山女学園大学-
    小林 重喜
    1991 年42 巻6 号 p. 565-573
    発行日: 1991/06/15
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
  • 1991 年42 巻6 号 p. 587
    発行日: 1991年
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
feedback
Top