現金利用時に比べ, キャッシュレス決済利用時に支払いに伴う心理的な負担が小さく, 生活者はつい使いすぎてしまう傾向にあることが, これまで多く指摘されてきた. 一方, 使いすぎが過度に生じた場合, 生活者は家計を安定的に管理できなくなることも考えられる. このため, 生活者がキャッシュレス決済利用に伴う自身の行動特性を把握し, 家計を健全に保ちつつキャッシュレス決済の利便性を享受していくためには, このようなキャッシュレス決済利用に伴う個人の支払傾向の変化の特徴について知見を深めていくことが期待される. これを踏まえ本稿は, セルフコントロール能力とキャッシュレス決済の利用経験が, キャッシュレス決済利用時の支払意思額に与える影響について検討したものである. 検討の結果, セルフコントロール能力がクレジットカードやデビットカード利用時の支払意思額に与える影響については確認できなかったものの, クレジットカードやデビットカードの利用経験が, ポイント還元等の特典がない場合であっても, クレジットカードやデビットカード利用時の支払意思額を高めることが分かった.
本稿は, カンボジアの小学校における社会科の中の家庭科関連領域について, 2018年改訂「シラバス社会科 小学校」 (教育青年スポーツ省省令) から検討する. カンボジアの小学校の社会科のシラバスは, 1章から6章に進むに伴い, 最も身近なコミュニティーである家族から, より大きなコミュニティーである国家や社会へと広がっていく教育内容の構成となっている. また, 低学年から高学年に進むに従い, 歴史, 地理, 公民・道徳, 家庭科の各領域の専門性が高くなる構成となっている. 次に, 社会科シラバスの家庭科関連領域では, 低学年から高学年に進む中で, 一人ひとりが家族・家庭生活の在り方について, 正しい知識・スキル・態度を身に付けることが期待されている. また, 日本の2017年告示小学校指導要領家庭 (文部科学省) と比較すると, 家族・家庭生活の項目に共通する記述が見られる.