日本家政学会誌
Online ISSN : 1882-0352
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70 巻, 12 号
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報文
  • 井上 優利, 手島 陽子, 大塚 真結, 大野 育未, 目崎 柚花, 大野 香苗, 小山 史華, 小西 史子
    2019 年 70 巻 12 号 p. 799-810
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/12/20
    ジャーナル フリー

     米粉パンにコメピューレ及び増粘多糖類を添加した時の物性と食味の影響を調べた. 弾性率1 (硬さ) は, 焼成後48時間では, 米粉のみで作られたパン (コントロールパン) よりもコメピューレを添加したパン (コメピューレ添加米粉パン) の方が有意に低かった. また, コメピューレ添加米粉パンにそれぞれグルコマンナンを0.02%, キチンナノファイバーを0.03%, アルギン酸0.2%添加したパンは, 焼成後48時間において, コメピューレ添加米粉パンより有意に弾性率1が低下した. コメピューレ添加米粉パンの官能評価では, 焼成後24時間ではコントロールパンよりも有意にきめ, 軟らかさ, 甘み, パンらしさがあるとされ, 総合的な好ましさに関しても有意に高い評価が得られ, 焼成後48時間ではきめと軟らかさにおいて有意に高い評価が得られた. 一方, 増粘多糖類添加米粉パンとコメピューレ添加米粉パンの間で有意差はみられなかった.

ノート
  • ―造形時の道具に着目して―
    村上 陽子
    2019 年 70 巻 12 号 p. 811-822
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/12/20
    ジャーナル フリー

     本研究では, 日本の伝統的な菓子である和菓子に着目し, その製法と型の使用について, 季節と関連させて検討した. 調製方法や意匠など様々な観点から, 和菓子に関して, 文献調査を行った. 文献は1990年発行のものを用いた. 検討により, 以下の結果が得られた.

     和菓子の分類としては, 「生菓子・半生菓子・干菓子」の3つに大別されるが, 和菓子の種類の内訳をみると, 生菓子が最も多かった. また, 季節や菓子の種類によって, 用いられる型が異なっていた. 干菓子については, 打ち物が最も多かった. 菓子型の使用状況については, 菓子型を使わずに作る「手形もの」の方が, 型を使って作る「型もの」より多かった. 和菓子の意匠をみると, 植物や魚や動物などの様々な意匠によって, 季節の到来や季節感が表現されていた.

資料
  • 工藤 美奈子, 小泉 昌子, 峯木 眞知子
    2019 年 70 巻 12 号 p. 823-832
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/12/20
    ジャーナル フリー

     日本製の安全・安心な鶏卵皮蛋が製造, 流通されるために, 鶏卵皮蛋の貯蔵過程における品質の変化を明らかにすることを目的とした. またそれらの変化について, 台湾産皮蛋と比較した.

     白色レグホーン種鶏卵を加工した鶏卵皮蛋を入手した. 入手後1, 7, 14, 21, 28, 58, 118, 180, 360日間貯蔵した鶏卵皮蛋の成分, 外観の観察, 重量, pH, 色度, 塩分, 卵白の水分含有率, 卵白の破断特性, 卵黄のテクスチャー特性およびにおい識別装置によるにおいの測定を行った.

     鶏卵皮蛋は28日間で卵黄が軟らかい溏心タイプの様になった. 鶏卵皮蛋の構成比について, 貯蔵日数とともに卵白の割合が低下し, 卵黄の割合が上昇していき, 360日間で卵白と卵黄の構成比が逆転した. 鶏卵皮蛋の卵白は, 貯蔵日数とともにかたくなる傾向が見られ, 台湾産皮蛋と比較すると, 卵白が軟らかく, 卵黄はかたさと付着性が低かった. 卵白のにおいの類似度は, 硫黄系, アルデヒド系ガスのにおいが高く, 皮蛋独特のアンモニア臭が低かった. これより鶏卵皮蛋は, 皮蛋独特のアンモニア臭が少なく食べやすいと考える.

     製造後貯蔵中の品質の変化より, 鶏卵皮蛋が一定の品質の製品になったのは, 貯蔵28日間以降半年程度であった.

  • ―中学生のアレルギー有無別比較―
    佐藤 佐織, 増渕 哲子
    2019 年 70 巻 12 号 p. 833-844
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/12/20
    ジャーナル フリー

     A中学校では, 全校生徒の12.0%が食物アレルギーの症状を持っている. そこで, 食物アレルギー原因食品を含まない「ピザとコンソメスープ」等の3種類のメニューを開発し, 3回の調理実習を行った. 調理実習ごとに, 生徒の家庭で同じメニューの調理を一人で実践させ, そのレポートを課した (復習課題).

     本研究では, 「ピザとコンソメスープ」の復習課題の記述内容と家庭での調理回数等を調査し, アレルギーの有無別による比較・分析から本題材の有効性を検証した. なお, 調査対象者は2016年4月にA中学校に入学した生徒178名で, そのうちアレルギー症状を持つ生徒は10.7% (19名) であった.

     6ヶ月間の家庭での調理回数の平均は3.1回で, 最多は13回だった. 食物アレルギー症状を持つ生徒は, 調理の基本的な知識や技能の習得に関心があり, 手軽な調理を好む傾向があった. 食物アレルギー症状を持たない生徒は, 食品の特性や調理理論, 食品の選び方などに関心を持つ傾向があった.

シリーズ 研究の動向 40
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