日本家政学会誌
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48 巻, 3 号
選択された号の論文の6件中1~6を表示しています
  • 堀内 かおる, 天野 寛子, 伊藤 純
    1997 年 48 巻 3 号 p. 209-214
    発行日: 1997/03/15
    公開日: 2010/03/09
    ジャーナル フリー
    家事労働時間は, 男女平等の指標として国際的に注目されており, これまで長い間, 夫妻の家事労働分担には, ジェンダーの偏りがあることが指摘されてきた. 本報の目的は, 東京都世田谷区において 1995 年に実施した生活時間調査結果のデータを用いて, 夫妻の家事労働への参加の実態を明らかにすることである. 本研究の結果から, 平日および休日の夫妻の家事労働時間, 家事労働行為者率, 家事労働分担率を示した.妻が常勤の夫の家事労働への参加は最も進んでおり, 平日の平均家事労働時間は, 50 分であった.妻が常勤の夫の 66.2% は, 平日に家事労働を行っており, 彼らの 29.7% は, 以前のデータではきわめて一般的ではなかった衣生活管理の家事労働を行っていた. また, 妻が常勤の夫は, 平日に世帯内で行われる家事労働の 19.2% を分担していた. この比率は, かつてない高率であり, 妻が常勤の夫妻は, ジェンダーにとらわれない生活様式を形成しつつあるように思われた.一方, 最も性別役割分業に応じた傾向を示していたのは, 妻がパートの夫妻であった.
  • 菊永 茂司, 石橋 源次
    1997 年 48 巻 3 号 p. 215-223
    発行日: 1997/03/15
    公開日: 2010/03/09
    ジャーナル フリー
    黒砂糖 (Bs) とパームシュガー (Ps) 中の鉄の体内利用性が, 鉄欠乏ラットを用いて評価された. 鉄欠乏ラットは, 鉄欠乏飼料, シュクロースの代わりに Bs または Ps を加えた Bs または Ps 飼料, Bs または Ps 飼料に用いた Bs または Ps 中の鉄を除くミネラル類を, 対照飼料用の AIN-76 塩混合に添加して調製した M-bs または M-ps 飼料を用いて, 自由摂取で飼育した.鉄欠乏によって, 体重, 体重増加量, 肝臓と骨中鉄, そして骨破断力が減少, 肝臓銅は増加, そして血清鉄, ヘモグロビン, フェリチン, 不飽和鉄結合能 (UIBC) などの血液成分値が悪化した. しかしながら, Bs, M-bs, Ps, M-ps 群の体重, 体重増加量, 肝臓銅, それらの血液成分, そして骨破断力は鉄欠乏から回復して対照群のレベルに達した. Bs と Ps は最も有望な鉄の給源の一つであり, また Ps 中の鉄は鉄欠乏ラットによって効率的に吸収されることが示唆される.
  • 小林 則子, 金澤 康子, 山部 秀子, 岩田 一幸, 西澤 信, 山岸 喬, 西風 脩, 辻 啓介
    1997 年 48 巻 3 号 p. 225-230
    発行日: 1997/03/15
    公開日: 2010/03/09
    ジャーナル フリー
    コレステロールを負荷した健常女性の血清総コレステロール (T-Ch) に及ぼす低分子化アルギン酸ナトリウム (DSA) 摂取の影響を調べた. 試験群には DSA 2g を含むドリンクを 1 日 2 本ずつ 3 週間摂取させ, 対照群には DSA を含まない以外は外見, 含有成分の同じドリンクを摂取させた. 血液検査は摂取開始 2 日前, 摂取開始後 1, 2, 3 週間後の 4 回おこなった. 対照群の T-Ch は上昇の傾向を示したが, 有意な差は認められなかった. しかし, 対照群のなかで摂取前の T-Ch が 180mg/ dl 以上の被験者では, 2 週目と 3 週目の T-Ch が上昇していた. 一方, 試験群のなかで同様の条件の被験者では T-Ch の上昇が認められず, 対照群との問に有意差が認められた. DSA はコレステロールの排泄促進作用を有し, 通常 T-Ch の比較的高い人では, 食物に負荷されたコレステロールによる T-Ch の上昇を抑制する作用が有意に現れるものと示唆された.
  • 横井川 久己男, 村上 陽子, 磯部 由香, 河合 弘康
    1997 年 48 巻 3 号 p. 231-234
    発行日: 1997/03/15
    公開日: 2010/03/09
    ジャーナル フリー
    市販パン酵母の電気泳動核型をパルスフィールドゲル電気泳動により分析した. 2 株の冷凍感受性パン酵母と 8 株の冷凍耐性パン酵母は, 相互に類似しているが, 少しずつ異なる電気泳動核型を示した. したがって, これらの冷凍耐性酵母は冷凍感受性酵母と遺伝的に相同的であると思われた. 冷凍耐性酵母と冷凍感受性酵母の注目すべき違いは, 約 610,000 塩基対の染色体DNAが冷凍耐性酵母に見られないことであった.
  • 菊澤 康子, 中島 倫
    1997 年 48 巻 3 号 p. 235-245
    発行日: 1997/03/15
    公開日: 2010/03/09
    ジャーナル フリー
    生活援助員システム (LSA) はシルバーハウジングでの高齢者の日常生活を公的に援助するという目的のために, 1987年より計画策定が開始され, 1989年より管理開始されたわが国ではじめて採用されたシステムである.筆者は標記に関して関西地域の10カ所のシルバーハウジングに関する予備調査を行い, ひきつづき1993年から1994年にかけて, 全国の40カ所のシルバーハウジングに関する本調査を実施し, 次の知見を得た. (1) LSAのサービスはシルバーハウジングごとに大幅に違いがある.またLSAの処遇 (給料など) にも大幅な違いがある. (2) 住み込み方式のLSAの場合は24時間対応という精神的ストレスが大きい. (3) シルバーハウジング居住者のLSAに対する認知度は関係自治体の説明不足もあり, 必ずしも高くはない.
  • Young Ju Yoo
    1997 年 48 巻 3 号 p. 247-253
    発行日: 1997/03/15
    公開日: 2010/03/09
    ジャーナル フリー
    本稿の目的は, 1) 韓国における1960年以降の家族の変化を概観することによって, 今日の家族の現状を把握すること, および2) 経験的データを用いてジェンダーエクイティと家族の健全さについて論ずることである.後者については, 男女間と異世代間でジェンダーエクイティの認知に差があるかどうか, またその認知と健全な家族はどのような関連があるのかを明らかにしたい.
    結果として以下の諸点が指摘される.
    1) 家族は構造的にも機能的にも変化し, 関係の上でも平等で民主的になっている.2) 妻は, 夫以上に, 夫婦関係を不公平と考えている.3) 3, 40代の若年世代の方が, 5, 60代の高年世代よりも夫婦関係を公平とみなしている.4) 夫と妻の家族に対する健全度得点は高く, 両者間に有意差はないが, 世代間については, 若年世代の方が, 高年世代よりも健全度得点が高い.5) 夫婦関係を公平な関係とみなしているとき, 夫と妻および両世代とも, 健全度得点が高い.
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