日本家政学会誌
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52 巻, 5 号
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  • 生活様式と地域社会に対する考え方の比較
    大野 佳美, 平井 和子, 浅野 眞智子, 樋口 寿, 武副 礼子
    2001 年 52 巻 5 号 p. 391-400
    発行日: 2001/05/15
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    生活環境の異なる日本阪神間とネパール, ムスタン地区住民を対象とし, 生活意識および生活価値観に対する考え方を知る目的で調査を実施し, 得られた結果を比較検討した.「日常生活における楽しみ」は日本では「ラジオ, テレビ, 映画等」が多く, ネパールでは男女とも「会話」で, 家族の団欒の機会が多いことが示唆された.日本若年群では「仕事」は「収入のため」であり, 高年齢ほど男では「当然の義務」が増加した.ネパールでは「仕事」は「家族のため」で「義務」が少なかった.「トラブルや問題の解決方法」はネパールでは「年長者の助言に従う」が有意に多かった.日本男では「仕事の成功や収入」を心配し, 「現在の生活は快適でなくても満足」が有意に多かった.ネパールでは男女とも「来世の幸福」「財産」を心配し, 「現在の生活は快適」であった.「社会的弱者への援助」は2地域間で有意差があった.結婚等の祝いはネパールでは「地域の人たちと」「家族, 親戚, 友人と」であった.「伝統的習慣」や伝統評価に肯定的な考えはネパールの方に多かった.
    ネパールの調査地域では「個人」より共同体に対する意識が強く, 家族や地域という今も伝統的な習慣が絆や心の支えとなっていることが示された.これに対して, 日本では年代また男女によって各自の生活価値観が多様化して「個人」を重視する意識が強い.これらの調査結果により, 本研究の目的であるネパール人の生活態度が日本人と違うと感じられた点をほぼ説明できた.
  • 池田 ひろ
    2001 年 52 巻 5 号 p. 401-409
    発行日: 2001/05/15
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    コシヒカリ, 日本晴, ゆきひかりを用いて, 炊飯中に溶出される糖成分の動向と食味との関係について調べた.
    (1) 炊飯中に溶出される固形物は主に糖類で, 加熱温度40~70℃と80~98℃の間に溶出される量が最も多く, 98℃時の量が最大で, 消火時, 蒸らし後に減少した.
    (2) 溶出固形物量は, 米粒の糊化の進行と密接な関係があることが分かった.
    (3) 溶出固形物中のアミロース含量は, 試料米のアミロース含量に影響され, 最も少ないのはコシヒカリで, 次いで日本晴, ゆきひかりであった.
    (4) 飯粒表面の粘りの強弱と溶出固形物量には関連性が認められた.
    (5) 溶出固形物をゲル濾過した結果, 3試料米共にアミロース区分よりもアミロペクチン区分の割合の方が大きかった.また, 中でもコシヒカリのアミロース区分の割合が最も少なく, アミロペクチンの長鎖長の割合は最も多く, 鎖長も長い傾向であった.
    (6) 官能検査の結果から, 米飯の外観は溶出固形物量と関連していることが示唆された.飯粒表面の外観がコシヒカリ米飯のつやの良さや口ざわりに影響を与えていることが明らかとなった.
    以上のことから, 炊飯過程で溶出された糖成分の大部分は加熱中に吸収されるが, 一部は飯粒表面にでんぶんとして残存し, これが米飯の表面のつやや粘りに影響を与え, ひいては米飯の食味に影響を与えていることが分かった.
  • 森 由紀, 大森 敏江, 木岡 悦子
    2001 年 52 巻 5 号 p. 411-420
    発行日: 2001/05/15
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    靴は足を護り, その役割を補助するものであるが, ややもすればデザイン優先の流行に流されているように思える.そこで, 若年女子の靴の選択と着用に関する意識を調査するとともに, 最近流行している厚底靴を取り上げ, その問題点を検証しようと試みた.若年女子7名を被験者に, 歩行時の足圧分布を測定するとともに, 前脛骨筋, 腓腹筋の筋電図分析および歩容の観察などを行い, ウォーキングシューズおよび裸足との比較から, 厚底靴が歩行にどのような影響を与えるのかについて検討を加え, 次のような知見を得た.
    (1) 若年女子の靴に対する意識は, 機能性よりもデザインを優先したものであり, 足への負担を感じながらも無理をして靴を着用している実態が窺えた.
    (2) 厚底サンダルでは, ウォーキングシューズに比して足底にかかる総荷重値が大きい上に, 圧力が加わる面積が小さいために, 荷重を分散する効果が少ないことがわかった.
    (3) 厚底サンダルでは, 裸足やウォーキングシューズのように, 踵から接地しつま先で蹴り上げるという正常な歩行が妨げられ, 前足部への荷重の偏りが顕著であり, しかも荷重のかかり方が不安定となることが足圧分布から読み取れた.
    (4) 歩容の観察から, 厚底サンダルでは, すり足傾向の歩行となることが明らかとなった.
    (5) 厚底サンダルでは, 歩行時の腓腹筋の筋電図が有意に大であり, 歩行速度は低下した.
    以上より, ファッション性偏重の安易な靴づくりに対する見直しと消費者の意識改革の必要性を提起したい.
  • 杉田 洋子, 田中 美智, 高橋 裕子, 佐藤 由紀子, 山田 寛
    2001 年 52 巻 5 号 p. 421-427
    発行日: 2001/05/15
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    人が他者の身体シルエットについて, 身体のどの部位を見て好ましさの判断をしているかを知るために, 女子大生201名を対象として, 別の女子短大生のシルエッター写真100体中より抽出された普通体型10体に対する身体シルエットの好ましさを一対比較法によって比較判断する実験を行った.多次元尺度構成法による分析の結果, 他者の身体シルエットに対する女子大生の好ましさの判断には二次元的な側面があることが見出された.
    一方, 刺激として用いたシルエッター写真上の身体シルエットの写真計測値を求め, 回帰分析によって尺度化との関係について検討を行い, 視覚的なシルエットとしての身体のどの点に着目したか, 好ましさを決める客体の条件についての分析を行った.その結果, 身体シルエットの判断には好みにおいて二次元的な変数が見出されたが, いずれも身体の正面よりは側面からの観察によって得られ易い判断であるという興味深い事実が明らかになった.一つは身体シルエットの角度と関係があり, もう一つは厚みと関係があることがわかった.すなわち, 側面における腹部の角度が小さく厚みは少ない方, バストとヒップの厚みは多い方が好ましいと判断される身体シルエットであることが示された
  • 都築 和代, 飯塚 幸子, 光辻 佐枝子, 池田 麻子, 富田 純子, 栃原 裕, 大中 忠勝
    2001 年 52 巻 5 号 p. 429-438
    発行日: 2001/05/15
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    A questionnaire survey was conducted to investigate the thermal environment experienced by young children in both summer and winter. The questionnaire consisted of two parts; the basic and the fact-finding questionnaires. The first part was designed to reveal the detailed characteristics of environmental preferences for both young children and their mothers as well as mothers' behavior regarding thermoregulation and their living environments. The second part sought information regarding the measurement of room temperatures, the activities, clothing and mothers' thermal sensations at home. The second part including the measurement of room temperature was conducted four times (9-10 AM, 1-2 PM, 5-6 PM, 8-10 PM) on a chosen day in winter as well as in summer.
    The results are as follows.
    1) Over 90% of the case, use of the heating and cooling equipment depended on the mother's thermal sensation in winter, while, 50% of the case, mother's thermal sensation led the behavioral thermal regulation at home in summer. The choice of children's clothing depended on weather (80%), mother' s thermal sensation (40%), and room temperature (20%).
    2) The field survey showed that the average ambient air temperatures in the dwelling where mothers and their children lived were 18°C in winter and 28°C in summer.
    3) The young children's clothing was one or two pieces fewer than mothers' both in summer and winter. The average clothing insulation for mothers was estimated to be 0.35 clo and 1.05 clo in summer and winter respectively, while the clothing insulation for children was estimated to be 0.1 clo and 0.3 clo less than that for mothers in summer and winter respectively.
    4) The relationship between ambient air temperatures and the mothers' thermal sensations was good in both winter and summer. The neutral temperatures for mothers that were determined from respective liner regression were 16°C and 26°C in winter and summer respectively. The other neutral temperatures determined by mothers' clothing insulation were 21°C and 27 °C in winter and summer respectively.
  • 中山間地域の棚田管理事業における地域間交流に関する研究 (第2報)
    前田 真子, 西村 一朗
    2001 年 52 巻 5 号 p. 439-449
    発行日: 2001/05/15
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    Following Part 1 issued 3 years ago, this study aims to clarify the present status and future tasks as well as the effects on the participants of “The Rice Terraces Ownership System” at Asuka. We conducted a questionnaire survey of 146 owners, above the age of 20, and 142 inhabitants of Inabuchi district whose age is over 20. It is necessary to revise the newly developed two plans in order to stay away from mannerism. It is vital to pay due attention to both the owners' and the inhabitants' opinions for creating better daily life. Participation in interaction activities including the system under study has brought forth significant effect on both the urban and local. As interactive projects such as this system spread and the number of participants increases, a lot of benefits are expected; the inhabitants' consciousness to life will be increased both in urban areas and the farming villages, leading to the betterment and revitalization of the living environments and community life.
  • 12名の事例分析から
    宮島 朝子, 西村 一朗
    2001 年 52 巻 5 号 p. 451-461
    発行日: 2001/05/15
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    本研究は在宅療養者12名の住居の実態と, そこでの住まい方や時間軸に沿った過ごし方を明らかにし, 在宅療養者の居住環境を検討することを目的に行った.その結果, 以下の結論を得た.
    (1) 療養者の寝室は1階で玄関の近くに位置しており, 外部者が出入りしやすい状況にあった.しかし, 療養室としての寝室を決める際に日当たりの良さは考慮されても, 保健医療福祉関係者の出入りのしやすさや介護のしやすさを認識している者はいなかった.
    (2) 日中の居場所は10名が寝室となっており, その背景には歩行が困難であることや寝室以外に適切な居室がないことが考えられた.また, 食事は身体的要因と環境要因の両方が, 排泄は主として身体的要因が, 入浴は身体的要因と環境要因の両方が相まって, それぞれの行為の可能性とそれを行う場に影響を及ぼしていた.
    (3) 時間軸に沿った過ごし方をみると, 就床時刻や起床時刻が遅く不規則なリズムで過ごしている者や, 総就床時間が10時間を超える者がいた.その背景として, 日中も寝室で過ごしベッド上で長時間テレビを視聴していることや, 活動レベルが低く外出頻度が少ないことが考えられた.しかし, 同居家族に早朝起床したり出勤する者がいる療養者は比較的早い時間に起床して規則正しい生活を送っており, 家族が規則的な生活リズムを起動する役割を果たしていると推察された.
    以上のことから, 自宅で療養生活を送る療養者には, 住まい方においても過ごし方においても安易に臥床してしまわない居住環境が必要とされる.そのためには, 日中はベッドや寝室から離れて安楽に身を置く場を確保することや, 活動の時間を作ったり規則正しい生活を送ることが求められる.保健医療福祉の専門家は療養生活の早い段階で, これらのことを助言していく必要がある.
    今回の研究では療養者が日中も寝室で過ごすことが, 結果的に総就床時間の延長に関わっていることが推察された.しかし, 睡眠に関する客観的データをとっていないため, 実際の睡眠・覚醒リズムは把握できていない.今後は睡眠時間や睡眠の質なども把握し, 療養生活における住まい方と過ごし方の関わりをより正確に把握していく必要がある。
  • 相本 艶子
    2001 年 52 巻 5 号 p. 463-464
    発行日: 2001/05/15
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
  • 小倉 妙子
    2001 年 52 巻 5 号 p. 465-466
    発行日: 2001/05/15
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
  • 五十嵐 由利子
    2001 年 52 巻 5 号 p. 467-468
    発行日: 2001/05/15
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
  • 菅原 悦子
    2001 年 52 巻 5 号 p. 469-471
    発行日: 2001/05/15
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
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