日本家政学会誌
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53 巻, 12 号
選択された号の論文の5件中1~5を表示しています
  • -大学生を対象とした実証研究-
    奈良 由美子, 吉井 美奈子
    2002 年53 巻12 号 p. 1167-1175
    発行日: 2002/12/15
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    情報化の進展はわれわれの生活を大きく変えた.情報は生活の構成要素として大きなウェートを持ちながら位置付いており, ひとりひとりが高い情報倫理を持つことがゆたかな生活の構築に必要な条件と言えよう.本稿では, インターネットをめぐる情報倫理に焦点をあて, 情報の受信者であると同時に発信者でもある生活主体が, どのような情報倫理意識を持ち行為しているのか, またこれに影響をおよぼす要因は何かについて明らかにすることを試みた.大阪府下の大学生を対象に質問紙調査を実施し (有効回収票493票), インターネット上での情報倫理の意識と行動の実態, さらに日常生活におけるモラル, 共感性, 刺激欲求性およびインターネット利用頻度を調べた.主な結果は以下のとおりである. (1) 日常生活において道徳的に考えふるまうひとは, インターネット上でも倫理的に良好な意識・行為を示している, (2) 共感性の高いことは情報倫理の良好さと関連している, (3) 刺激欲求性の強いひとはインターネット上で非道徳的な行為をおこなう傾向にある, (4) インターネット利用頻度の高さはインターネット上での非道徳な行為の経験と関連している.
  • 安藤 真美, 三好 正満
    2002 年53 巻12 号 p. 1177-1184
    発行日: 2002/12/15
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    スルメイカ (Todarodes pacificus) の外套膜を-18℃で貯蔵し, (1) 凍結前, (2) 1日凍結, (3) 7日凍結, (4) 30日凍結の筋肉について, 解凍後の物性, 構造タンパク質, および組織構造を比較・検討した.破断強度は, 凍結期間の延長に伴い低下した.しかし, 凍結1日の筋肉においては, 表面的な硬化が認められた.フリードリップ量は凍結期間の延長に伴って増加し, そこに含まれるタンパク質量も増加した.さらに, 光学顕微鏡観察においては凍結期間の延長により筋組織内に空隙が増加する様子が認められた.一方, 水溶性および不溶性タンパク質量は変化が認められず, その組成にも変化がなかった.以上の結果より, 耐凍性が大きいとされるスルメイカ筋肉においても, 凍結処理が軟化現象を引き起こすことが明らかとなった.
  • 徐 正姫, 李 星林, 堤 伸子
    2002 年53 巻12 号 p. 1185-1192
    発行日: 2002/12/15
    公開日: 2010/04/23
    ジャーナル フリー
    本研究は, 日韓の大学生の消費者価値に関する実態調査を行い, 異文化比較を行うものである.以下の結果が得られた.はじめに, 消費者価値の尺度において, 長崎・ソウル・蔚山の大学生間で異なっていることが明らかになった.長崎の大学生は, 快楽主義が比較的高いレベルを示し, 物質主義が低いレベルを示した.人間主義, 家族主義, 未来志向のレベルはソウルと蔚山の間に位置している.ソウルの大学生は物質主義と未来志向で比較的高いレベルを示したが, 人間主義, 順応主義, 平等主義, 快楽主義と家族主義においては比較的低いレベルを示した.蔚山の大学生は人間主義, 権威主義, 家族主義において比較的高いレベルを示した.人間主義, 家族主義, 未来志向のレベルはソウルと長崎の中間に位置している.消費者価値の相違は3地域の大学生間で認められたが, 注目すべき点は両国間の違いがみられなかったことである.さらに, 消費者価値は次の4つのタイプに識別された : 〈1型現状満足型〉〈2型勢力志向型〉〈3型現状追求型〉〈4型未来志向型〉.長崎の学生は〈3型〉, 蔚山の大学生は〈2型〉, ソウルの大学生は〈1型〉に類別され, 3者は異なる消費者価値をもつことが明らかになった.
  • 山崎 吉郎, 田畑 武夫
    2002 年53 巻12 号 p. 1193-1196
    発行日: 2002/12/15
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    ナメコを原木およびオガクズを用いて栽培し, 一般成分および遊離アミノ酸組成を比較した.その結果, 水分, タンパク質, 脂肪, 灰分, 繊維および炭水化物のような一般成分については榾木ナメコとオガクズナメコとの間に大きな差異は見られなかった.遊離アミノ酸含量については榾木ナメコの方がより高い値を示した.甘味とMSG類似のアミノ酸については榾木ナメコの方が高い含量であった.更に, 苦味と無味なアミノ酸についても同時に榾木ナメコの方が高い含量であった.榾木ナメコとオガクズナメコのスープの味と香りについて官能検査を行ったところ榾木栽培したナメコは0.1%と1%の危険率で有意であった.
  • 水野 時子, 島田 信二, 丹治 克男, 山田 幸二
    2002 年53 巻12 号 p. 1197-1202
    発行日: 2002/12/15
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    大豆9品種 (青大豆2, 黒大豆2, 黄大豆5) を用い, 水 (水温20℃) と微温湯 (水温40℃) 1時間浸漬した後, 4時間室温 (20℃) に放置し遊離アミノ酸の変動を調べた.
    大豆の遊離アミノ酸総量は, 222.8~653.4mg/100g (大豆乾物中) であった.主なアミノ酸はアルギニン, グルタミン酸, アスパラギン酸, アラニンで, 特にアルギニンは遊離アミノ酸総量の27.0~57.1%であった.
    水浸漬大豆の遊離アミノ酸総量は, 506.7~1,435.9mg/100g (大豆乾物中) で, 大豆の遊離アミノ酸総量に比べ約2倍に増加した.特に, アルギニン, グルタミン酸, γ-アミノ酪酸が増加し, アスパラギン酸が減少した.
    微温湯浸漬大豆の遊離アミノ酸総量は565.7~1,523.6mg/1009 (大豆乾物中) で大豆の種類によって差が見られた.主なアミノ酸はアルギニンとγ-アミノ酪酸であった.
    以上の結果, 大豆の水や微温湯の浸漬によって, 呈味性物質である遊離アミノ酸が増加し, さらに機能性物質の一つであるγ-アミノ酪酸が増加することが示唆された.
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