本研究では供給主体の異なる集合住宅のあるニュータウンにおいて, 居住者対象にコミュニティに関する調査を行い, コミュニティ生活の現状と意識を明らかにし, コミュニティ形成の要因を探った.その結果を要約すると以下のとおりである.
(1) コミュニティ生活や意識のそれぞれの項目を別々に取り上げて, その現象面をみてみると, 住宅種別や属性による影響がみられる.また, それぞれの項目の間でも関連がみられる.
(2) 住戸外に出ることをコミュニティのはじまりと位置づけたが, その回数は, 男女別では女性で, 職業別では無職で多い傾向がある.
(3) 近隣コミュニケーションは, 男女別では女性で, 末子年齢が6~11歳で, 職業別ではパート労働の層で活発である.居住年数を経て活発になるが, 10年程度で落ちつく.きっかけは住居が近いことの他に子供, サークル, 自治会等が関係している.
(4) 自治会・管理組合などの居住者組織への関心は, 分譲, 公営, 公団の順に高い.年齢が50歳代までは上がるにつれて高くなり, 居住年数を経て高くなる.また, 役員の経験がある方が高い傾向がある.
(5) コミュニティ活動のタイプは, 公団では最も消極的なタイプが多いが, 今後の希望を含むタイプも多い.分譲では他の対象に比べて最も活発なタイプが多い.属性別では, 40歳代で最も活発であり, 近隣コミュニケーションと同様に, 女性のパート労働の層で活発なタイプが多い.また, 多様なサークルの存在やきっかけづくりがコミュニティ活動を活発にすることにつながる.
(6) 集会所の使用頻度は, 公営および, 集会所が棟内にある分譲Bで高い.年齢別では40歳代で, 職業別ではパート層で, 居住年数では10~16年未満の層で高い.
(7) 近隣コミュニケーションへの態度を分別する要因を数量化II類により分析した結果, 末子年齢, 住戸外に出る回数, コミュニティ活動のタイプの順に影響が大きいことがうかがえた.
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