日本家政学会誌
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49 巻, 7 号
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  • 共分散分析手法を用いて
    崔 賢淑
    1998 年49 巻7 号 p. 749-759
    発行日: 1998/07/15
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    以上, 共分散分析を行った結果, 調整済み定数項のF値の比較より, 近代的食品で1人あたり消費量の格差のみられない項目は, 鶏肉であったのに対して, 両国間で格差を示したのは, 果実, 肉類, 牛肉, 豚肉, 鶏卵であることが明らかとなった.これらの品目のなかで, とくに肉類は所得水準と比例関係がなく, 韓国の独自的食文化が強く残存していることがわかった.
    また, 両国間で格差を示した品目の共通要因をみると, 果実は所得の影響だけが認められ, 肉類, 牛肉, 豚肉は所得, 価格, 消費習慣の効果が認められている.
    上述した結果から韓国の食生活の近代化のパターンは日本のそれにもっとも近いものであるが, 同時に違いのあることが明らかになった.
    これらの近代的食品に対して, たとえば伝統的食品の穀類をみると, 所得, 価格の影響を受けているが, 1人あたり消費量は両国間で格差を示している.また, 計測期間中, 穀類は両国とも減少傾向にあるが, 韓国の場合にはそれほど減少していないことが注目される.以上の分析結果から, 経済発展にともなう韓国の食生活の近代化は, 日本の食生活の近代化と同様の経路をたどってきているが, しかし, いくつかの顕著な違いのあることが明らかとなった.
  • 倉持 清美, 柴坂 寿子
    1998 年49 巻7 号 p. 761-768
    発行日: 1998/07/15
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    The function of preschoolers communication by preschoolers in relation to visiting each other is examined. Their activities during the 2-year preschool education were recorded on videotape. Studying their chit-chat on the tape, we identified the reference to visiting each other. Date were analyzed from three aspects, that is, a contextual factor, topic-making pattern, and human relations in preschool.
    The preschoolers managed to visit each other in various contexts in their free time. By analyzing topic-making patterns, we found that their reference meant a lot more than simply making arrangements for visiting. More often than not, the reference was made in order to show close relations to their peers for instance. It was also used as threat. The reference to visiting each other was influenced by human relations in the kindergarten. The results suggest that the reference to visiting each other is important for preschoolers to maintain good peer relations.
  • 大瀧 ミドリ, 中塚 綾子
    1998 年49 巻7 号 p. 769-774
    発行日: 1998/07/15
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    1歳児とその母親41組を対象として, SSPを施行した.SSPの各場面における対象児と母親の距離を移動位置検出装置により計測し, SSPの第7場面の施行時間によって, 対象児を母親と分離可能な群と不可能な群に分けた.SSPの各場面が有するストレス, 母子間距離, 愛着行動・探索行動の潜時における関係および2群間の差異について分析し, 以下の結果を得た.
    (1) 子どもが, 強いストレスを体験した後の再会場面で, 母子間距離は顕著に縮小することが明らかになった.
    (2) 母子同室場面における母子間距離は, 分離可能群の方が不可能群よりも有意に大きいことが明らかになった.
    (3) 母子分離場面より母子同室場面における母子間距離の方が, 子どものストレスのよい指標となることが明らかになった.
    (4) 分離可能群は, 母親とdistance interactionを行うと共に, 短時間の愛着行動の表出によって, 情緒的安定を得ることができた.このことによって, 分離可能群の母子間距離が, 不可能群より拡大する可能性が認められた.
  • 福原 桂, 金子 佳代子
    1998 年49 巻7 号 p. 775-781
    発行日: 1998/07/15
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    無線式エネルギー代謝計測システムを用いて, 家事活動時の身体活動量を測定し, 以下のようなことが分かった.
    (1) 個別の家事活動について, 酸素消費量の多い家事活動では, 心拍数も高値であり, 逆に酸素消費量の少ない活動では, 心拍数も低かった.家事活動時のエネルギー消費量およびRMRについては, これまでに報告されている数値との問に大きな違いはみられなかった.
    (2) 「壁の拭き掃除」と「モップがけ」について, 力を入れた場合には, 有意に身体活動量は増加した.また, 立位の姿勢で行う「炊事」や「庭の掃き掃除」のエネルギー消費量は, 比較的低く, 腰を落とした姿勢では, 「草とり」よりも, 「雑巾がけ」の方がエネルギー消費量が高かった.
    (3) 実際の家庭においては, 複数の家事活動を並行して行っており, 家事活動全体を通してのエネルギー消費量は, 20歳代女子では0.044±0.006 (kcal/kg・min) であった.
    (4) 身体活動量をより簡便かつ精度よく測定する方法について検討した結果, 心拍数から推定する方法では, 推定値が実測値を上回る傾向が強く, 家事活動時には, 心拍数は高くても, その時のエネルギー消費量は低い場合の多いことが推察された.また, 簡易式エネルギー消費量計測器では, 実測値よりも有意に少なく計測し, 特に力を入れる活動や移動の少ない活動において, その差が大きくなる傾向が強かった.
  • ロールカラーについてのデザイン画上の衿形状とパターン形状との関係
    山川 勝, 植村 麻子
    1998 年49 巻7 号 p. 783-790
    発行日: 1998/07/15
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    The purpose of this paper is to establish a method of estimating the pattern shape (lengths and angles) of a roll collar from a fashion illustration. First, we made 132 kinds of patterns for roll collars, changing the depth of the collar line, collar width, and collar angle. Then we made clothes with such collars, and measured those figures by measuring each relevant length and angle. Then we took photographs, traced their outlines on paper, and used them as fashion illustrations. The task of making patterns from a fashion illustration is divided into two processes. The first is to grasp the three-dimensional length from the two-dimensional fashion illustration, and the second is to accurately estimate the pattern shape and length based on that data. Thus, we examined those two processes separately. The relationship between the information from a fashion illustration and each real shape is too complicated to explain by simple regression analysis. Likewise, the relationship between each real figure and collar pattern shape is also complicated. However, using multiple regression analysis, we could clarify their relationship and make some equations to estimate pattern shapes from a fashion illustration.
  • 久保 妙子
    1998 年49 巻7 号 p. 791-799
    発行日: 1998/07/15
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    本研究では供給主体の異なる集合住宅のあるニュータウンにおいて, 居住者対象にコミュニティに関する調査を行い, コミュニティ生活の現状と意識を明らかにし, コミュニティ形成の要因を探った.その結果を要約すると以下のとおりである.
    (1) コミュニティ生活や意識のそれぞれの項目を別々に取り上げて, その現象面をみてみると, 住宅種別や属性による影響がみられる.また, それぞれの項目の間でも関連がみられる.
    (2) 住戸外に出ることをコミュニティのはじまりと位置づけたが, その回数は, 男女別では女性で, 職業別では無職で多い傾向がある.
    (3) 近隣コミュニケーションは, 男女別では女性で, 末子年齢が6~11歳で, 職業別ではパート労働の層で活発である.居住年数を経て活発になるが, 10年程度で落ちつく.きっかけは住居が近いことの他に子供, サークル, 自治会等が関係している.
    (4) 自治会・管理組合などの居住者組織への関心は, 分譲, 公営, 公団の順に高い.年齢が50歳代までは上がるにつれて高くなり, 居住年数を経て高くなる.また, 役員の経験がある方が高い傾向がある.
    (5) コミュニティ活動のタイプは, 公団では最も消極的なタイプが多いが, 今後の希望を含むタイプも多い.分譲では他の対象に比べて最も活発なタイプが多い.属性別では, 40歳代で最も活発であり, 近隣コミュニケーションと同様に, 女性のパート労働の層で活発なタイプが多い.また, 多様なサークルの存在やきっかけづくりがコミュニティ活動を活発にすることにつながる.
    (6) 集会所の使用頻度は, 公営および, 集会所が棟内にある分譲Bで高い.年齢別では40歳代で, 職業別ではパート層で, 居住年数では10~16年未満の層で高い.
    (7) 近隣コミュニケーションへの態度を分別する要因を数量化II類により分析した結果, 末子年齢, 住戸外に出る回数, コミュニティ活動のタイプの順に影響が大きいことがうかがえた.
  • 石橋 源次, 堀 康二, 菊永 茂司
    1998 年49 巻7 号 p. 801-804
    発行日: 1998/07/15
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    アジアで市販されている, 砂糖キビおよび砂糖ヤシを原料として製造された未精製糖中の鉄量とその化学形態およびミネラル量について調べた.未精製糖は多くの鉄を含んでおり, しかもその多くは可溶性鉄で, イオン性鉄のうち2価鉄の占める割合も高かった.また, 各種のミネラルを豊富に含む有効なミネラル源であり, 生体にとって有効性の高い食品であると言える.
  • 前川 昌子, 森 淳一, R. St. John MANLEY
    1998 年49 巻7 号 p. 805-810
    発行日: 1998/07/15
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    The dynamic viscoelastic properties of poly (p-hydroxybutyrate) (PHB) /cellulose propionate (CP) blend were measured. The broken surface of the films was observed by a scanning electron microscope (SEM). The following results were obtained. 1) The dynamic modulus (E′) of melt-quenched blend film is between those of PHB and CP. 2) The loss modulus (E″) for the blend showed broad a dispersion and the loss factor (tan δ) for the blend is kept as a high value above the glass transition temperature of PHB homopolymer. It implies some interaction occurs between both polymers in the blend. 3) The structure of the as-cast blend in the SEM photographs shows a texture with voids in which a lot of small grains (sub-micrometer) cohere exist. 4) The structure of the melt-quenched blend in the SEM photographs shows a matrix consisted of comparably smooth texture.
  • 阪神・淡路大震災の被災地の居住者の場合 : 京都在住者と比較して
    趙 萍, 町田 玲子
    1998 年49 巻7 号 p. 811-820
    発行日: 1998/07/15
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    本報告では, 震災の影響を強く受けた兵庫県と, 周辺都市でありながら震災の影響が少なかった京都府の中国帰国者世帯を対象にして, 住生活の実態と抱えている問題点を明らかにし, 兵庫における震災復興に向けての課題について考察することを目的としている.結果は以下の諸点に要約される.
    (1) 言葉のギャップは帰国者の住生活にマイナス影響を与えている.特に被災地の居住者の場合, その影響が大きい.すなわち, 言葉の障害がネックとなり, 帰国者の情報源を閉ざし, 帰国者が祖国である日本において生活に溶け込むことを困難にしている.中国帰国者が閉鎖的な立場に置かれているという現状を改善するためには, 帰国者のための日本語能力養成システムの充実が必要である.
    (2) 中国と日本の住まいの文化の違い (起居様式, 入浴習慣, 空間に対する意識, 生活習慣) が原因で, 帰国者特有の住生活上の問題が見られる.したがって, 中国と日本の住まいの文化, 生活習慣の違いを配慮した上での住宅供給政策, あるいは適切な住まい方のアドバイスが必要である.
    (3) 低収入で, 高齢者が多く, 日本語が不自由な帰国者 (子女である二世も含む) は生活弱者に位置づけられる.とくに被災地在住の帰国者は震災体験を通じて, 帰国者が自力で自立しようと思っても限界があり, 地域生活を共にする近隣の人々の理解や日常的なはたらきかけが欲しいと思っている.
    (4) 帰国者同士の間でも交流は必ずしも活発とは言えない.京都では民間ボランティア団体の「中国帰国者支援の会」があるので, 年に何回か交流会が催されるが, 兵庫の場合はそのような組織的な活動は活発ではないため, 帰国者には知られていない.今回の被災地における調査から, 「帰国者の間の繋がりを強くしたい」「帰国者自身の組織をつくるにあたって, 国や自治体からの支援が必要」との意見が聞かれた.なお, 帰国者は「親しい人がいない」「組織づくりに支援してほしい」という不満や要望を述べているが (4- (3)), これらの改善のためには, (1) 普段から帰国者と同地域の一般の日本人とのコミュニケーションが円滑にいくように地域の責任者ははたらきかけること, (2) 日本人でありながら, 言葉の分からない帰国者の事情を常に念頭に置く必要性を施策者や地域住民に意識させること, (3) 非常事態が生じた場合, 地域の責任者が配慮して避難所の所在などの情報を帰国者のところにも流すこと, などの点が考えられる.これらは今後の非常事態に備えての地域生活管理のあり方を考える際, 有効な参考資料になり得ると思われる.
  • 宮井 真千子
    1998 年49 巻7 号 p. 821-822
    発行日: 1998/07/15
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
  • 高地 貞雄
    1998 年49 巻7 号 p. 823-824
    発行日: 1998/07/15
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
  • 日暮 眞
    1998 年49 巻7 号 p. 825-826
    発行日: 1998/07/15
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
  • 村尾 勇之
    1998 年49 巻7 号 p. 827-828
    発行日: 1998/07/15
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
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