日本家政学会誌
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53 巻, 5 号
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  • 真部 真里子, 橋本 慶子
    2002 年 53 巻 5 号 p. 407-415
    発行日: 2002/05/15
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    The significance of annual events in Japan changed after World War II. We studied how people in urban areas were concerned with annual events in order to clarify the factors effecting the view of annual events. The events in which many people participated satisfied the requirements as follows : befitting to the spirit of modern life, usefulness for the education of children, helpfulness in communication among family members and friends or effective as a commercial strategy. On the other hand, the events, which were recently introduced into Japan or were based on the agricultural rites, were unfamiliar with people in urban areas. The view of annual events varied according to generations, which were caused by the difference of social situations, such as World War II and the crest of rapid economic growth in childhood.
  • 後藤 明日香, 塚本 幾代
    2002 年 53 巻 5 号 p. 417-422
    発行日: 2002/05/15
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    遺伝的にビタミンC (V.C) を合成できないODSラット (14週齢, 雌) を用いて, V.C欠乏が骨に及ぼす影響を調べた結果, 以下のことが判明した.
    (1) V.C補足食餌 (V.C-free飼料とV.C添加水) で2週間飼育後, V.C-free食餌 (V.C-free飼料とV.C無添加水) で1週間飼育したC1群, V.C補足食餌で1週間飼育後, V.C-free食餌で2週間飼育したC2群, V.C-free食餌で3週間飼育したC3群, いずれのV.C欠乏群も, V.C一補足食餌で3週間飼育した対照群と同程度の体重増加を示した.
    (2) 骨形成マーカーであるアルカリホスファターゼ (ALP) 活性は血清と大腿骨中で, C1, C2, C3いずれのV.C欠乏群でも対照群との差が認められなかった.
    (3) 骨吸収マーカーである酒石酸抵抗性酸ホスファターゼ (TRAP) 活性は, C2, C3群の血清及び大腿骨において対照群の1.4~1.8倍に有意に上昇した.
    (4) 大腿骨のカルシウム (Ca) 量とヒドロキシプロリン (Hyp) 量も, C2とC3群において対照群の約90~80%に有意に減少した.
    (5) in vitroの骨芽細胞株 (MC3T3-E1) の培養実験においてV.CはALPの発現に必要とされているが, 十分に分化した骨芽細胞とコラーゲンマトリックスがすでに存在している成熟ラットの大腿骨においては, V.C欠乏によって, ALP活性の減少は認められず, TRAP活性が上昇した.
    これらの結果は, 生体のV.C欠乏時においては骨形成の減少ではなく骨吸収の増加が, 骨CaとHypレベルの減少を引き起こしたことを示唆するものである.
  • 盛田 明子, 中沢 文子
    2002 年 53 巻 5 号 p. 423-429
    発行日: 2002/05/15
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    The palatal pressure while eating gelatin, agar and carrageenan milk jelly was measured with three transducers embedded on an artificial palate installed in the human mouth. Mastication with the tongue and the palate naturally shifted to mastication with the teeth at a palatal pressure of around 20-50 kPa for the three jellies with two subjects tested. This critical pressure differed between the subjects. The first pressure pulses for the three jellies were compared with stress-strain curves measured by a compression machine with a compression rate of 10 mm/s. The stress at the breaking point for each jelly obtained by the palatal pressure measurement almost agreed with that of the machine measurement. The initial gradient of the curves for the apparent Young's modulus and for the breaking time of the three jellies were similar to those obtained from the stress-strain curves. A single-break pattern was shown on the stress-strain curve from mechanical measurements, while a multi-break pattern was observed for the palatal pressure measurements with each jelly.
  • 炊飯に関する基礎的研究 (第4報)
    丸山 悦子
    2002 年 53 巻 5 号 p. 431-436
    発行日: 2002/05/15
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    炊飯過程におけるでんぷん分解酵素の変動とオリゴ糖の生成について関連性を検討した.
    (1) 炊飯初期において, G1およびG4, G5, G6, G7などのオリゴ糖が生成され, これにはα-アミラーゼの関与が示唆された.
    (2) 炊飯過程における80℃より高い温度域では, G4以下の低分子のオリゴ糖の増加がみられ, これには耐熱性β-アミラーゼや枝切り酵素が作用していることが推定される.
    (3) 生成された低分子オリゴ糖は, 炊飯の全過程で活性を示したα-グルコシダーゼにより, 逐次, G1に分解されることが示唆された.
  • -首都圏におけるアンケート調査-
    早川 文代, 馬場 康維
    2002 年 53 巻 5 号 p. 437-446
    発行日: 2002/05/15
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    近年, 首都圏に広がった “まったり” という食感覚表現について, 首都圏の若年層を対象にアンケート調査を行い, 以下の結果を得た.
    (1) “まったり” は, ここ数年の間に同世代あるいはマスコミから新しく知った流行語である.
    (2) 本研究で対象とした首都圏の若年層には “まったり” に関して共通の概念が存在し, 食物名を用いて “まったり感” の尺度を構成することが可能である.
    (3) “まったり感” の強い食物は, カスタードクリーム, 生クリーム, バタークリーム, カルボナーラなどの甘い物や乳製品を含む物であった.
    (4) “まったり” と関係が強い形容語は, ねっとり, まろやか, 口にゆっくり広がる, こってり, などであった.
    (5) 食物名と形容語の結果を合わせて考えると, “まったり” は, ねっとりと粘度が高く, こくがある濃厚な味わいで, 甘味をもつことが多いと結論した.
    以上の結果により, あいまいな流行語である “まったり” の定性的, 定量的な把握が可能となった.
  • -京都地方のアンケート調査および聞き取り調査-
    早川 文代, 馬場 康維
    2002 年 53 巻 5 号 p. 447-456
    発行日: 2002/05/15
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    “まったり” について, 京都・滋賀地方でのアンケート調査および京都市内での専門家による聞き取り調査を行い, 前報の首都圏のデータと比較し, 以下の結果を得た.
    (1) “まったり” は, 京都高年層には方言として用いられているが, 京都若年層には, 首都圏若年層の流行語と同様に用いられている.
    (2) 方言としての “まったり” は, 食物名による尺度化の精度が悪く, 食物名で “まったり” を説明することは困難であるが, “まったり” している可能性が高い食物は, 栗きんとん, 白味噌などである.
    (3) 方言としての “まったり” は, 良いイメージをもつ誉め言葉であり, 感覚用語というよりも, 感性を表現する用語である.まろやかで, 口にゆっくり広がる, 穏やかで, 深みがあり, ほのかに甘い感覚である.
    (4) 若年層に用いられている流行語としての “まったり” は, 食物名による尺度化が可能で, カスタードクリームやバタークリームなどの, まろやかで, 口にゆっくりと広がる, ねっとり, こってりした感覚である.
  • 菅沼 恵子
    2002 年 53 巻 5 号 p. 457-463
    発行日: 2002/05/15
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    洗剤や洗濯機の内側洗浄力を簡便に評価する方法として, 汚染布を布に包んで洗浄力実験を行う方法を検討した.また, その方法を用いて数種の市販洗剤の内側洗浄力を渦巻型洗濯機と撹拌型洗濯機で評価した.その結果, 石けんは通常洗浄以上に温度依存性が高く, 低温では内側洗浄力が他の洗剤に比べて著しく低下するが高温では逆に最も高い.また, 酵素配合の合成洗剤Aは50℃付近で内側洗浄力が最も高く, 平均して他の洗剤よりかなり高かった.ライトデューティー洗剤である合成洗剤BとCは洗浄温度にほとんど依存せず, 内側洗浄力はほぼ一定だった.そのため低温では合成洗剤Aと同程度に高かった.
    洗濯機の効果については通常洗浄と同様に内側洗浄力でも渦巻型の洗浄効率が撹拌型より高かった.しかし, その傾向は石けんと合成洗剤とでかなり異なった.合成洗剤ではほとんど洗浄温度に依存せず, 通常洗浄との洗浄効率比は渦巻型でおよそ0.6前後, 撹拌型でおよそ0.4前後であり, 渦巻型の方が洗浄効率の低下率が低く, 内側洗浄力においては水流の影響が大きくなることがわかる.これに対して石けんでは洗浄効率比が洗浄温度に大きく依存し, 渦巻型で約0.3~0.7, 撹拌型で約0.15~0.65と幅広く変化し, かつ高温では両者の差が小さくなって水流による違いは通常洗浄と同程度になる.
    洗浄効率に及ぼす洗濯機と洗浄温度との寄与率を調べた結果, 通常洗浄ではすべての洗剤について両者とも4割程度の寄与率であるのに対して, 内側洗浄では石けんで温度の効果が極めて高くなり, 合成洗剤Aでは洗濯機の効果がやや高く, 合成洗剤BとCでは洗濯機の効果が著しく高くなった.
  • 台北市平価住宅における高齢居住者の居住様態と住意識に関する研究
    謝 嫣娉, 今井 範子
    2002 年 53 巻 5 号 p. 465-476
    発行日: 2002/05/15
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    平価住宅における生活支援に対する評価から, それらの改善や整備を検討した結果をまとめると, 以下のようである.
    (1) 在宅サービス利用者は, 現状の在宅サービスに対し, 安心して自立生活ができるサポートであると評価している.在宅サービスシステムを一層活用できるように, 利用者の身体状況の評価基準を明確にすることやヘルパーの養成など, サービスの制度を整備する必要がある.また, 在宅サービスの利用者も, 在宅サ一ビスを受ける基準を正しく理解し, 身体状況の変化に応じた適切なサービス受けるようにすることも重要である.
    (2) 平価住宅の居住者はほとんど自炊しており, 給食サービスの利用者は少数である.給食サービスを利用しない理由として「味が合わない」が最も多くあげられている.平価住宅居住者の出身地は中国の各省出身者が多いため, 料理に対する味付けの好みも異なっている.給食サービスにおけるメニューの多様化が求められる.
    (3) 緊急救援システムは, 独居高齢者にとって自立生活していく上で安心感を持たせていることがわかる.今後, 独居高齢者に限らずに, 夫婦のみや家族と同居している高齢者にも提供し, 家族と高齢者とも安心な暮らしを提供することが大切である.
    (4) 平価住宅は購買施設を併設しており, 高齢者にとって, 買い物による身体的負担が軽減されている.また, 購買施設は住戸へ宅配サービスを行っており, このことは, 今後, 多くの高齢者が居住する他地域の購買施設においても, 充実させていくことが必要である.
    (5) 平価住宅の職員の職務は, 福祉に関するものを中心としているが, 実際には居住者の人間関係や行事などに多岐にわたって, 対処しなければならない状況にある.そのため, 住民は職員の職務内容に対する正確な認識が重要である.また, 住民と職員との交流を深めるため, 行事などの活動による交流を広げることも大切である.一方, 夜間による在宅サービスの提供, 緊急救援システムの設置, 人員の配置などの支援体制を検討することが必要とされる.
    (6) 平価住宅における行事への参加について, 行事への参加有無は, 高齢者の身体状況に依っている.そのため, 行事内容も工夫をし, 身体状況が良好ではない場合にも, 気軽に参加しやすい行事を行うことが大切である.また, 近隣住民との交流意識について, 多くの居住者は, 言葉が通じる人と話したいという要求がある.また, 平価住宅以外の近隣住民も公園に話しに来るという実態から, 地域生活空間における平価住宅は, 新たな交流の場所としての活用が期待できる.そのため, 居住者側と地域高齢者側との交流を促進するために, 地域への行事活動 (高齢者のレクリエーションなど) の提供を検討していく必要がある.
    (7) 近隣の交流状況は, 「親しく付き合っている」型, 「挨拶のみ」型, 「近隣と付き合わない」型という3つのタイプが存在している.まず, 「親しく付き合っている」型は, 近隣との交流方法として, 会話や趣味などを行い, 交流場所も個人住戸内を利用している.
    近隣関係は親密に付き合いをすることによって, 近隣による精神的・緊急的な生活支援を行いやすい.しかし, 高齢居住者の体力や精神を考慮すると, 適切な社会的支援も必要である.
    次に, 「挨拶のみ」型は, 廊下や公園などの公共空間でしか交流活動が行われない.身体状況が良好ではない場合は, 「親類・友人」や「平価住宅のスタッフ」からの手伝いが多い.しかし, 親類, 友人, 職員による支援は, 緊急時に行うことが難しいと考えられる.そのため, 在宅サービスの実施や緊急救援システムの設置などの社会的支援が重要である.続いて, 「近隣と付き合わない」型については, 近隣と付き合わないため, 身体状況が良くない場合には, 「親類・友人」による支えが中心になっている.しかし, 「挨拶のみ」型と同様に, 親類・友人による援助には限界があるため, 「近隣と付き合わない」型に対して, 在宅サービス・緊急救援システム・職員による注意などの社会的支援が必要である.
  • 福渡 努, 木戸 亜也子, 柴田 克己
    2002 年 53 巻 5 号 p. 477-481
    発行日: 2002/05/15
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    幼若ラットに小麦ふすまを摂取させたところ, 顕著な体重増加とNAD・NADPの合成が認められた.したがって, 小麦ふすま中には, 哺乳動物が高い効率で利用できる形のナイアシンが存在していることが明らかとなった.
  • 杉原 黎子
    2002 年 53 巻 5 号 p. 483-486
    発行日: 2002/05/15
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
  • 宇野 保子
    2002 年 53 巻 5 号 p. 487-489
    発行日: 2002/05/15
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
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