日本家政学会誌
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54 巻, 10 号
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
  • 小西 史子
    2003 年 54 巻 10 号 p. 789-800
    発行日: 2003/10/15
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    The purpose of this study is to investigate whether or not the father-child communication can be improved by intensifying of child-child communication in a particular home economics class in elementary school. For this purpose, home economics class, where the students were to have a discussion time over subjects such as menu planning and cloth planning, was given for two years to the 5th grade students till they completed the 6th grade course. All the students had sufficient opportunity to communicate with each other in their efforts to find a solution to a respective problem. Thirty-three students of the class were studied with respect to the following items : communication with father, communication with mother, communication with friends, self-confidence, and frequency of helping with housework. The results were as follows; 1) The scores indicating the communication with father, communication with mother and communication with friends in July of their 6th grade were respectively increased from the scores in April of their 5th grade. 2) The scores indicating their self-confidence were significantly increased in April of their 6th grade, whereas the frequency of helping with housework remained unchanged.
  • 伊藤 葉子
    2003 年 54 巻 10 号 p. 801-812
    発行日: 2003/10/15
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    本研究では, これまでの親性準備性に関する研究を基に「子ども・子育てに関する意識」「同性の親への同一化」「自分の性の受容性」を測る尺度を作成し, 調査を実施した.その調査結果の分析から, その発達的変化や男女差を明らかにした.また, 先行調査で開発した「対子ども社会的自己効力感」尺度との関連性を検討した.
    その結果, 以下のことが明らかになった.
    (1) 「子ども・子育てに関する意識」は「子どもへの親和」「親になることの受容性」からなる2因子構造であり, 「子どもへの親和」がより重要な構成要素である.
    (2) 「子ども・子育てに関する意識」及び「子どもへの親和」「親になることの受容性」は, いずれも中学から高校へと高くなる.また, 男子よりも女子の方が高いが, 男女差は高校に入って学年が上がると縮まる傾向にある.
    (3) 「同性の親への同一化」は男子よりも女子が高く, 男子は学年が上がると共に低くなる.また, 「自分の性の受容性」は男子よりも女子が低い.
    (4) 「同性の親への同一化」は, 「子どもへの親和」及び「親になることの受容性」とゆるい正の相関関係にあるが, 「自分の性の受容性」と「子どもへの親和」及び「親になることの受容性」には相関関係がほとんどみられなかった.
    (5) 「対子ども社会的自己効力感」と「子どもへの親和」には, かなり高い正の相関関係が見出された.
  • 浜口 順子
    2003 年 54 巻 10 号 p. 813-825
    発行日: 2003/10/15
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    Today the term 'Sodachi' is used more and more frequently among the practitioners and researchers of the early childhood education in Japan. This brings up a question whether or not its counterpart, a psychological term Hattatsu, ' which has been used in the educational field for many years, is taken over by Sodachi.' A questionnaire survey, in which 365 practitioners answered, shows distinct differences in the image and usage of the two terms, i.e., differences were detected in their usage in discussing educational interdependency, dynamism, abilities, developmental stage, and also in cases of conversation with parents. The questionnaire respondents may be classified into Group H (those who use the term Hattatsu more frequently) and Group S (those who use the term Sodachi more frequently) as well as into generation categories of 20s, 30s, and 40s and above. It is safe to state that there seems to be new significant implications in the usage of Sodachi' in the practical field of early childhood education.
  • 安田 みどり, 尊田 民喜, 長谷川 のぶみ, 熊川 景子
    2003 年 54 巻 10 号 p. 827-832
    発行日: 2003/10/15
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    コーヒーを用いて, 銅の除去に対して最適な条件 (コーヒー1g, 撹拌時間30分, 撹拌温度25℃, pH6) を確立し, 銅を含めた9種類の重金属について除去率を決定した.また, コーヒー殻についても同様の実験を行った結果, コーヒー殻の方がコーヒーよりも高い除去率を示し, 特に鉛とカドミウムについては除去率が90%を超えることがわかった.
    コーヒー及びコーヒー殻の水溶液中のポリフェノールの分析から, コーヒー殻中の水溶性ポリフェノールはコーヒーに比べてかなり減少していることがわかった.また, SEMによる粒子の観察結果により, コーヒー及びコーヒー殻のいずれにも多孔質の微細構造がみられたが, コーヒー殻の方がコーヒーよりも多くの組織の断片が認められ, 表面積の増大が確認された.すなわち, コーヒー殻は水溶性ポリフェノールの減少と粒子中の金属吸着活性部位の表面積の増大によって, コーヒーを用いた場合より金属の除去率が高まったことが示唆された.
    以上の結果から, 本法は食品廃棄物を環境保全へ有効利用した優れた手法であるといえる.
  • 佐藤 秀美, 能々 久美子, 小西 雅子, 畑江 敬子, 島田 淳子
    2003 年 54 巻 10 号 p. 833-840
    発行日: 2003/10/15
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    家庭用ガスグリルの加熱の特徴を定量的に明らかにすることを目的に, 市販の両面焼きガスグリル5機種を対象に放射伝熱量及び対流伝熱量を測定するとともに, 食品を加熱し, その仕上がりに対し伝熱量及びガスグリルの仕様がどのように影響しているかを調べた.その結果, 以下の知見が得られた.
    (1) ガスグリルの庫内温度は, 加熱開始後1分までに300℃を越え, 15分後には460~580℃に達する.
    (2) ガスグリルの加熱能力の指標となる総伝熱量は, 機種により最大40%異なった.また, 総伝熱量に占める対流伝熱量の割合は, いずれの場合も放射伝熱量よりも大きく, 加熱開始1分後に77~100%, 5分後には59~74%であることがわかった.
    (3) ガスグリルの加熱能力は, 単に機器への入力で判断できず, 単位容積当たりの入力, 庫内の高さ及び焼き網とドア問の距離の影響を大きく受けていることがわかった.単位容積当たりの入力が大きく, 庫内の高さが低く, 焼き網とドア間の空間距離が長い機種ほど, 食品の水分蒸発速度は大きく, 着色速度が大きくなる傾向にある.
  • 中国都市集合住宅における世代同居家族の住生活と住意識に関する研究-四川省成都における-
    談 麗玲, 今井 範子
    2003 年 54 巻 10 号 p. 841-854
    発行日: 2003/10/15
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    本研究では, 世代同居家族を調査対象とし, 親世代, 子世代の生活スタイルと同居に対する意識を明らかにしようとした.結果を要約すると, 以下のとおりである.
    (1) 炊事, 洗濯等の家事行為は, 家族の協力で行う場合と, 片方の世代に負担が偏る場合の2つの傾向がみられた.洗濯物については, 成都では, 下着などの洗濯物にプライバシーを感じるという生活意識の存在が明らかになった.
    (2) 食事状況について, ほとんどの世代同居家族は, 平日, 休日ともに, 毎日少なくとも1回程度は親世代と子世代が一緒に食事し, 依然として親と共に食事することを重視していることが確認された.
    (3) 8割の世代同居家族は, 生活時間のずれが気にならないとしているが, 生活時間が気になる2割の家族では, 気になる時間帯は, 「起床時間」「就寝時間」という生活習慣に関わる時間帯が多い.
    (4) 月々の生活費は子世代のほうが負担している傾向がみられるが, 住宅の購入費は, 親世代が多く負担している傾向がみられる.経済面で多くの親世代は子世代に支援二していることがわかる.
    (5) 定年退職した大部分の親世代は, 昼間に, 子世代の手伝いをしている.生活の楽しみとして, 女性のほうが「家事をする」者が多いのに対して, 男性の方が個人趣味として「スポーツ」などをする者が多い.「女主内, 男主外」という伝統的な性別分業意識はまだ根強く残っていることがうかがえる.
    (6) 同居の動機については, 親世代は, 「養児防老」という伝統的観念から, 「年を取ったから」ということを大きな動機としており, 高齢期に子供との同居を当たり前のこととする親世代の意識がうかがえる.
    子世代の同居動機は多岐にわたるが, その中で「親の健康が心配なため, 面倒をみなければならない」 という義務意識からくるものが大きな動機になっている.
    (7) 同居の長所として, 「養児防老」「児孫続膝」 という伝統的観念から, 子世代との関わりを同居の長所として高く評価している.子世代は, 同居の親世代からの助けが得られる点のほか, 「寂しくない」という精神面も多くあげ, 親と同居することは「天倫之楽」とされ, 家族を大事にするという伝統は継承されていることがうかがえる.同居の短所は, 親世代, 子世代ともに「性格が合わないといざこざが起きる (親) 」「性格が合わないと日常会話が苦痛であり, ストレスになる (子) 」というような精神的な面が大きい.
    (8) 親世代, 子世代とも, 同居志向が多い.別居を志向する親世代, 子世代とも「ごく近い距離に住みたい」という希望が多く, 6割を占め, 近居志向がみられた.
    (9) 自分が病気になった場合, また, 親が病気になった場合, 7割の者が在宅介護を望んでいる。親族の介護をより支援するために, 「家庭病床 (家庭に医師や看護婦が派遣される) 」などの在宅介護のサービスが, 今後一層充実される必要がある.
  • -機能的ベネフィットと心理的ベネフィットに着目して-
    佐藤 真由美, 滝山 桂子, 益本 仁雄
    2003 年 54 巻 10 号 p. 855-866
    発行日: 2003/10/15
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    This study aims to clear several problems of commercial messages in television advertising on foods, and to advance request. Based on the actual conditions of the quantity and contents of the information, the authors try to examine from a viewpoint of functional and psychological benefits. The survey was conducted towards TV programs of two commercial stations in Niigata Prefecture for a week in June 2001. Food advertising number of 2 stations in one week was 2, 069 in total. Four groups were categorized : “processed foods, ” “drinks, ” “alcoholic drinks” and “sweets, ” of which the share of the first two categories was rather high, 36.6% and 34.0%, respectively. In terms of the information contents, frequently counted were the merchandise commodity information such as package/container as well as 'psychological benefits' such as free gift and health improvement. On the other hand, the contents related to 'functional benefit' such as quality/safety were few. The number of the information contents of the raw materials and nutrition components related to the food labeling was extremely few; below 10% of all TV food advertisement, the fact of which may be explained by the absence of legal obligation or self-imposed control of the food industry as regards the Japanese food labeling system so far as the TV commercial messages are concerned.
  • チルド保存期間及び再加熱と鶏肉の物性, 食味との関わり
    西念 幸江, 柴田 圭子, 安原 安代
    2003 年 54 巻 10 号 p. 867-878
    発行日: 2003/10/15
    公開日: 2010/03/12
    ジャーナル フリー
    真空調理には, 保存が可能という利点がある.しかし, 真空調理した食品の保存に伴う食味及び物性の変化についての検討が少ない.そこで, 本研究では保存期間が物性, 食味に及ぼす影響を検討した.さらに, 真空調理は保存後, 提供に際し, 原則として再加熱を行うため, 再加熱の物性や食味への影響を明らかにするのと同時に湯煎温度を検討した.
    (1) 再加熱湯煎温度を沸騰にすることは調理性や物性への影響が大きいことが確認され, 湯煎温度75 ℃と85℃を比較すると85℃が再加熱時間の短縮の上から有効と考えられた.
    (2) 保存期間の延長に伴い水分, 多汁性の減少によりパサつくことが推察された.また, 官能評価では12日が低く評価される傾向にあり, 物理的測定値と高い相関が認められた.これらよりレストラン等で真空調理した場合に用いられている「6日」は食味や物性の面からは妥当な保存期間であると示唆された. しかし, 6日以降の食味や物性の変化については今後の検討が必要と考えられた.
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