日本家政学会誌
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71 巻, 1 号
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報文
  • 雙田 珠己
    2020 年 71 巻 1 号 p. 1-11
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/01/24
    ジャーナル フリー

     本研究の目的は, 上肢の障害状態に適したボタンの種類とボタン穴の組み合わせを明らかにすることである. 障害のある人6名と健常な女性14名が, 3種類のボタン (四つ穴ボタン, 足付きボタン, タックボタン) と2種類の穴 (横穴, 縦穴) の組み合わせをテストし, 筋電図を用いて手の負担を数値化した. その結果, 健常者の掛ける操作では, 両手の第一背側骨間筋の筋活動量は17~19%MVC程度, 浅指屈筋の筋活動量は14~15%MVC程度を示し, 外す操作の値よりも多かった. 縦穴の筋活動量は横穴よりも少なく, 足付きボタンの感覚評価が高かった. また, 筋活動量と感覚評価には弱い負の相関がみられた. 一方, 障害のある人がボタンを掛ける操作では, 重いまひのある人を除いて, 第一背側骨間筋の活動量は健常者の平均よりも概ね少なく, また, 障害のある人のほとんどで浅指屈筋の活動量は15%MVCを超えた. まひの軽い人は足付きボタンの感覚評価が高く, まひの重い人は筋活動量の少ないタックボタンの感覚評価が高かった.

  • ―教育学部および生活環境学部学生を対象とした家庭科教育に関する調査―
    藤平 眞紀子, 久保 博子
    2020 年 71 巻 1 号 p. 12-30
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/01/24
    ジャーナル フリー

     中学校, 高等学校の家庭科における住居・住生活分野の学びにおいて, 将来の生活を創造する学びの提供, 学びの方法を考察するため, 中学校, 高等学校の家庭科における住居・住生活分野の学びの現状を詳細に把握し, 住居・住生活分野がどのように捉えられ, 日常生活との関わりを持って学びの意味が意識されているかについて検討した.

     その結果, 学習状況はあまり芳しくなかったものの, 住居・住生活分野の学習が住まいや住環境への興味や関心を高め, 日常生活で実践されている傾向を読み取ることができた. また, 住居・住生活に自主的にかかわり, 責任ある立場に立つことが, 住生活への意識や行動に影響を与えていることが明らかとなった. 家庭科における住居・住生活分野の学びの重要性を示すためには, ディベートや見学, 学外講師による授業展開も効果的と考えられる. また, 限られた時間内での学習となるため, 分野や項目を連携させていくことも必要である.

資料
  • 山田 麻子, 田辺 里枝子, 星野 亜由美, 野田 聖子, 中岡 加奈絵, 中野 弘子, 上西 一弘, 五関 (曽根) 正江
    2020 年 71 巻 1 号 p. 31-39
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/01/24
    ジャーナル フリー

    目的) 3歳児健康診査時の母親の骨量と食習慣や生活習慣との関連について, 骨粗鬆症予防を目的に検討を行った.

    方法) 東京都内保健所における3歳児健康診査に来所した母親269名を対象に, 身体状況, 食習慣や生活習慣などについて自記式質問票を用いて調査し, 踵骨の骨量測定を超音波法にて行った.

    結果) 骨量の指標であるStiffness Indexが中央値以上の骨量高値群では骨量低値群に比べ, 運動習慣がある者の割合が有意に高いことが示された (p=0.026). 運動習慣の有無で2群に分け食習慣について検討したところ, 「運動習慣あり」群は「運動習慣なし」群に比べ, 欠食している者の割合が低く (p=0.031), 牛乳を毎日200 mL以上飲む者の割合が高いことが示された (p=0.018). さらに, 骨量低値群では骨量高値群に比べ, 骨折経験のある者の割合が有意に高く (p=0.006), 「骨折経験あり」群では「骨折経験なし」群に比べて外に出て日光に当たる頻度が低かった (p=0.006). また, 「骨折経験あり」群では「骨折経験なし」群に比べて, 緑黄色野菜の摂取頻度で「ほとんど食べない」と回答した者の割合が高値を示した (p=0.006).

    結論) 出産後の骨量が回復する時期に, 適度な身体活動と適切な食生活が骨量維持や骨折予防のために重要であることが示唆された.

  • 楠 幹江, 山田 俊亮, 戸田 真南
    2020 年 71 巻 1 号 p. 40-48
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/01/24
    ジャーナル フリー

     本研究は, カンボジア・シェムリアップ州バイヨン中学校で実施したスカート製作に関するものである. これまでの経験を踏まえて, グループ学習にICTを活用することを加えて, その効果を検証した. カンボジアにおいて被服製作授業を実践する上で, ICTの利用とICT教材の内容の充実によって, 言語を介さなくても補完しうる, あるいは, 少人数の指導者でも実現できる可能性が示された. 一方, ICT教材は自習学習としての効果はあるが, 協働で行う作業についての効果はあまりみられない結果となった. ICT教材を有効に活用する協働のあり方が今後の課題として示された.

シリーズ 研究の動向 42
シリーズ 研究の動向 43
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