日本家政学会誌
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41 巻, 11 号
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  • 金 和子, 久保田 紀久枝, 小林 彰夫
    1990 年 41 巻 11 号 p. 1023-1030
    発行日: 1990/11/15
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    日本の家庭でよく作られる天ぷら, 野菜妙め, カレーの調理時に生じる臭気成分をTenax GCに吸着させ, GCおよびGC-MSによる分析で検討した.その結果, 天ぷら臭, 野菜妙め臭, カレー臭にそれぞれ115,107,104以上の成分が認められ, そのほとんどの主要ピークを同定または推定した.調理臭の, 居住空間へ及ぼす残存臭気の影響は, 調理臭により異なり, 天ぷら臭, 野菜妙め臭, カレー臭ではとくに天ぷら臭の影響が大きかった.臭気成分的にみても, 悪臭を有する共通な成分は少なく, 居住空間を汚染する悪臭成分は, 各調理の固有成分によるものと思われた.天ぷら臭気は臭気成分の種類, 生成量とも多く, なかでも, 油の酸敗成分である2-ペンチルフラン, ヘプタジエナールやデカジエナールの生成量が多い.これらの成分が天ぷらを揚げたあとに残存する悪臭の主因と思われた.油を使用する調理のさいには, 酸敗臭成分の除去だけでなく, その生成量を抑える調理法も有効と思われた.
  • 倉賀野 妙子, 和田 淑子
    1990 年 41 巻 11 号 p. 1031-1037
    発行日: 1990/11/15
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    物理化学的性質の異なる油脂5種 (ナタネ硬化油, パーム油, ヤシ硬化油, 魚硬化油, ナタネ油) を用いてクッキーを調製し, 生地ならびにクッキーの物性に及ぼす影響を検討した.
    生地のクリープ曲線を解析して算出した粘弾性係数 (フック体の弾性率, フォークト体の粘弾性率, ニュートン体の粘性率) および油じみは, 用いる油脂の固体脂指数に依存しており, 固体脂指数が大きいほど, 生地は硬くて, 流動変形しにくく, 油じみは少ない関係にあった.
    クッキーのみかけの破断エネルギーおよびみかけの破断応力は, 油脂の固体脂指数が大きいと大きな値を示し, ショートネスに乏しい, 硬いクッキーとなる傾向を示した.しかしながら, 固体脂指数以外の要因の影響も無視できないことが示唆された.固型脂を用いたクッキーでは, みかけの破断エネルギーが小さいほど, 油じみは少ない傾向を示し, クッキーのショートネスに関与する要因の一つは小麦粉成分との親油性ではないかと推察された.
  • 粒状組織化大豆タンパク質の調味特性 (第2報)
    小竹 佐知子, 木村 あゆみ, 畑江 敬子, 島田 淳子
    1990 年 41 巻 11 号 p. 1039-1047
    発行日: 1990/11/15
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    押出し成形によって得た粒状組織状大豆タンパク質 (TSP-A) を加熱膨潤後凍結乾燥して多孔質化程度の異なる2種類の試料 (TSP-BおよびC) を調製し, 内部構造の違いが調味特性に及ぼす影響を保水性, 硬さおよびマトリックスの変化より調べた.これらの試料は窒素溶解性およびアミノ酸組成にはほとんど差がなく, タンパク質を90%前後含むものである.水浸漬を対照として, ショ糖, 食塩, 酢酸, 乳酸の0.1~1.0M水溶液および食塩濃度で0.1~1.0Mに調製した醤油希釈液に浸漬した結果次のことが明らかになった.
    (1) 多孔質化により, TSPの保水性はいずれの調味液に浸漬した場合も増加した。増加の程度は調味料により異なり, 水およびショ糖水溶液浸漬での効果が最も大きく (5倍), 続いて食塩水溶液および醤油希釈液浸漬 (2倍) であった.酸類水溶液浸漬はTSP-Aにおいても保水性が高かったので, 多孔質化による効果は少なかった (1.5~2倍).
    (2) TSPの保水性は, 調味液浸漬後のマトリックス膨潤量に依存した.また, TSPの膨潤には試料内部の空隙の存在が影響した.
    (3) 多孔質化によりTSPは軟化し, その程度は多孔質化の程度に依存した.
    (4) TSPの硬さが, 試料内部の空隙の存在に強く影響を受けるため, 多孔質TSPの調味料による硬さの違いはTSP-Aに比べ小さかった.
  • -シューについて-
    淵本 幸恵, 四宮 陽子, 佐々木 恵子, 畑江 敬子, 島田 淳子
    1990 年 41 巻 11 号 p. 1049-1054
    発行日: 1990/11/15
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    シュー膨化過程を経時的かつ全体的に把握し, その特微をバターケーキ膨化との比較によって明確にし, 合わせて空洞発生の時期とその原因を明らかにした.
    (1) シュー焙焼中の体積増加は, 初期にはほとんどみられず, 最も温度上昇が速いシュー底部が100℃に達すると, 増加速度は急激に大きくなり, 最終的に体積は4~5倍増加した.一方, 多孔質膨化食品であるバターケーキの膨化の様相はシューとは異なり, 沸点以上における体積増加はほとんどなく, 最終的に体積は約1.8倍の増加にとどまった.
    (2) 焙焼中のシュー内部では, シュー底部の温度が沸点に達すると, その位置に空洞が発生し最終的な大きな空洞へと成長した.
    (3) 昇温速度を変えると, シューの膨化率は変化したが, 空洞については標準加熱と同様に形成された.
    (4) 以上の結果から, シューにおける空洞発生の原動力は, シューペースト底部が沸点に達することにより急激に発生した水蒸気圧であることが明らかになった.これに伴い, 空洞形成における水蒸気を内包する物性の必要性も示唆された.
  • 濱田 明美, 林 淳一
    1990 年 41 巻 11 号 p. 1055-1060
    発行日: 1990/11/15
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    日光法会にあらわれる膳組について, 膳組と客の身分・役職の関係を検討し, さらに膳組の格式を区別する要素について確認した.
    (1) 201例の膳組は, 4汁16菜から1菜までの15段階に区別され, 最も格式の高い七五三 (4汁16菜・膳が三つ) の膳組は日光門跡に供された.膳組の格式は朝鮮信使の来聘や勅使の参向の場合と同様, 客の身分・役職と饗応の目的によって区別されていた.
    (2) 膳組の格式を区別する要素では, 前報で確認された六つの要素のうち, 第1から第5の五つの要素が再確認された.さらに第7の要素として飯米の精白度が加わり, 以上七つの要素で膳組の格式を区別していることが確認された.
  • 小ノ澤 治子, 上甲 久美子, 小見山 二郎
    1990 年 41 巻 11 号 p. 1061-1070
    発行日: 1990/11/15
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    タンパク質分解酵素の活性に及ぼす, 15種の洗剤成分の影響を調べた第1報で報告した, 非イオン界面活性剤による同酵素の活性上昇の機講を速度論的に調べた.
    25℃, pH10.5で純品酵素ナガーゼと市販酵素試料カズサーゼによるカゼインの加水分解の初速をアルキルポリオキシエチレン, アルキルフェノールポリオキシエチレンの存在下で測定した.初速は活性剤濃度とともに上昇したが, それぞれの活性剤に固有のある濃度以下では, 上昇の程度は低かった.対応するカゼインと活性剤を含む溶液の表面張力を測定し, 拮抗阻害の逆型に従う活性上昇がそれぞれの系での活性剤のcmcより十分高い濃度領域で起こることを見いだした.
    基質加水分解の初速の基質濃度, 活性剤濃度による変化を速度論的に解析した結果, 非イオン界面活性剤による酵素の活性上昇の機構は, 活性剤ミセルと結合した酵素と基質の解離定数が, 活性剤ミセルと結合していない酵素と基質のそれの1/20程度になることによることを推定した.
    また, 非イオン界面活性剤によるプロテアーゼの活性上昇が, 高い基質, 活性剤濃度で起こることを市販酵素試料3種についても確認した.
  • 谷田貝 麻美子, 駒城 素子, 中島 利誠, 橋本 寿正
    1990 年 41 巻 11 号 p. 1071-1077
    発行日: 1990/11/15
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    The removal of process of oleic acid from fibrous substrates in aqueous solutions of sodium dodecyl sulfate (SDS) has been investigated using differential scanning calorimetry (DSC). The DSC heating curves for the fibrous specimens soiled with oleic acid and then washed with an aqueous solution of SDS have shown two distinct endothermal peaks; one is due to the melting of ice adhering to the specimens, and the other is due to the melting of oleic acid remaining on the specimens. A broad endothermal peak attributable to a liquid crystalline phase composed of SDS, water, and oleic acid on the specimens in the washing process has also been observed between the melting peaks of ice and oleic acid. The change of DSC curves with washing time suggests that the formation of a liquid crystalline phase would make some contribution to the removal of oleic acid.
  • 生野 晴美, 駒城 素子, 中島 利誠
    1990 年 41 巻 11 号 p. 1079-1084
    発行日: 1990/11/15
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    Chromatic value b* in CIE colorimetric system of cotton fabric dyed with two typical stilbene type Fluorescent Brightening Agents (FBA) showed similar behavior to visual whiteness evaluated by white scale, so b* and visual whiteness reached maximum at the same FBA concentration on fabric. The fluorescence intensity at dominant wavelength (440 nm), however, did not agree with visual whiteness in the range of high concentrations. The effect of self-quenching or reabsorption on the change of fluorescence spectrum with FBA concentration showed as follows :
    (1) While the effect of self-quenching is small, reabsorption significantly influences on the fluorescence spectrum in the short wavelength region.
    (2) The contribution of reabsorption considerably changes at the region of FBA concentration where b* or visual whiteness reaches maximum.
    The concentration of FBA on fabric which leads to the maximum of visual whiteness, can be estimated from the relative changes of fluorescence intensities at two wavelength maxima (420, 440 nm) where reabsorption affected.
  • 渡辺 紀子
    1990 年 41 巻 11 号 p. 1085-1090
    発行日: 1990/11/15
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    本報では, 白色ゼオライトが染色布に付着した場合の肉眼で識別しうる付着量と染色布の色相や表面反射率との関係について検討し, 次の結果を得た.
    (1) 官能検査による順位相関係数より, 濃色布は淡色布に比べゼオライトの付着の有無を容易に識別できることが認められた.
    (2) 濃色布では色相間の差は認めにくいが, 中色・淡色布においては, 有彩色布のほうが無彩色布よりゼオライトの付着の有無を容易に識別できた.
    (3) 官能検査とNa-ゼオライト付着量の測定結果より, 染色布に付いたゼオライトを「わずかに白い」と識別しうるゼオライト付着量の最少値は, 濃色布の場合において布1gあたり6~7mgであった.
  • -中学枝における「食物」指導のための試案-
    相坂 浩子, 渋川 祥子, 渡辺 薫, 金子 佳代子, 福場 博保
    1990 年 41 巻 11 号 p. 1091-1101
    発行日: 1990/11/15
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    小・中・高等学校の家庭科の献立指導において, バランスのとれた食事を整えることができるようになることをめざして, 一貫した指導を行う必要性から, 六つの基礎食品に対応した「六つの食品群別摂取量のめやす」を算出した.
    「六つの食品群別摂取量のめやす」は, 1日に摂取すべき食品群の種類と概量を, 6歳から80歳までの年齢別, 性別, さらに13~15歳については体位別に示した.
    この「六つの食品群別摂取量のめやす」が栄養的に適切なものであるかどうかについて検証するため, これをもとに13~15歳の男女にそれぞれ該当する献立案を作成し, 摂取栄養素量を算出して検討した.その結果, いずれの栄養素についてもほぼバランスよく摂取でき, また地域, 季節による摂取栄養素量の片寄りも認められないことが確かめられた.今後, 家庭科の授業で使用できる教材, 指導法を具体的に工夫して, 普及させることが望まれる.
  • 自治体, 地域はいかに高齢社会に備えているか
    加瀬 裕子
    1990 年 41 巻 11 号 p. 1103-1106
    発行日: 1990/11/15
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
  • 月田 みづえ
    1990 年 41 巻 11 号 p. 1107-1111
    発行日: 1990/11/15
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
  • 崔 在順
    1990 年 41 巻 11 号 p. 1113-1117
    発行日: 1990/11/15
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
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