大量調理における省エネルギーを考慮した調理機器の選択を行うために, フライパンとスチームコンベクションオーブン (200℃) を用いて鶏肉 (70 g×100切) を加熱する際のガス消費量を測定すると共に加熱後の鶏肉の品質評価を行った. 鶏肉10切から50切を加熱する際のガス消費量はフライパン加熱が最も少なかったが, 60切以上の加熱ではフライパン加熱がスチームコンベクション加熱を上回った. フライパン加熱した鶏肉の重量保持率は, スチームコンベクション加熱と比較し有意に低く, 破断荷重及び破断エネルギーは有意に高かった. 分析型官能評価では, 鶏肉の焼き色 (P<0.01) と硬さ (P<0.05) に有意差が見られ, フライパン加熱した鶏肉は焼き色が濃く硬いと評価された. 嗜好型官能評価ではフライパン加熱の焼き色が有意に好ましい (P<0.01) と評価されが, その他の項目ではフライパンとスチームコンベクション加熱に有意差は無かった. 給食施設においては調理する食材の量やメニューに適した調理機器を選択することで厨房内のエネルギー消費量の削減ができると考える.
肥満による代謝異常の発症には性差がある. 我々は, 高脂肪食摂取が体組成および腰椎の骨強度に及ぼす影響を, 雄と雌のラットで比較することを目的として研究を行った. 11週齢のSprague-Dawley系統の雌雄ラットをそれぞれ2群に分け, 基準食 (Cont.) または高脂肪食 (HF) を摂取させた. 実験食開始28日後, 雄雌ともHF群では内臓脂肪量がCont.群よりも有意に高かった. 腰椎の骨強度指標は, 雌ラットではHF群がCont.群よりも有意に低かったのに対し, 雄ラットでは両群で有意な差は認められなかった. 結論として, 28日間の高脂肪食摂取による腰椎の骨強度の低下は, 雄ラットよりも雌ラットで顕著であることを明らかにした. 高脂肪食が骨代謝の調節に及ぼす影響については, さらなる研究が必要である.
本研究では, これまで報告してきた岡山パクチーの栄養成分的な特徴が栽培環境によるものなのか, それとも品種によるものなのかを明らかにすることを目的とした. また, ハウス栽培, 露地栽培といった栽培方法による栄養成分の違いについても検討を行った. その結果, 栽培方法による成分の比較では, ハウス栽培ではビタミンC含有量が露地栽培と比較して低く, たんぱく質含有量は高かった. 品種の検討では, 岡山パクチーと他品種を同条件下で栽培し, 栄養成分の比較を行った. その結果, 一般成分やビタミンC含有量で大きな差はなく, 岡山パクチーの成分的な特徴は環境要因が大きいことが示唆された. 一方で, 岡山パクチーは還元型ビタミンCの割合や抗酸化能, ポリフェノール含有量が他品種と比較して高いことが明らかとなり, 岡山パクチーは抗酸化性の高い食品である可能性が示唆された.
空き家の増加は日本の深刻な社会問題である. この調査の目的は空き家の利活用についてのクラウドファンディングの活用の実態と, その理想的な在り方について明らかにすることである.
クラウドファンディングは, 補助金などが利用できない場合の資金調達において効果的な手段である. しかし, 見知らぬ他人の支援のみに頼って, 目標金額を達成することは困難である. 従って, 資金調達には利用可能な補助金を調査・利用するのみではなく, 支援者確保のため人々との関係を構築することが必須である.