本実験は成熟ラットを用い易動性たん白質の代謝についてたん白質の代謝プールサイズの観点から動力学的解析を行なった。精製全卵たん白質およびメチオニンを添加した
15N-クロレラたん白質で, それぞれ2種類の20%および5%のたん白飼料を調製し,
15N飼料は実験期間の最後にトレーサーとして用いた。動物は20%たん白質飼料を給与した区 (20%区), 20%たん白質飼料のあとに5%たん白質飼料を給与した区 (5%区), 5%たん白質飼料のあとに20%たん白質飼料を再給与した区 (R20%区) の3区に分け, それぞれの
15N代謝量を測定して次の結果を得た。
1) 窒素代謝プールの大きさ (mgN) は, 20%区286, 5%区249, R20%区304であり, これらの値は易動性たん白質の存在量を反映することが認められた。
2) 高活性たん白プール (mgN) は, 20%区208, 5%区119, R20%区222であり, 5%区で著しい減少がみられ, この区の易動性たん白質の減少とよく対応していた。
3) 低活性たん白プール (mgN) は, 20%区9,506, 5%区9,579, R20%区9,669であり, 相互に差異はみられなかった。
4) これらの値から, 高活性たん白プールの大部分と窒素代謝プールの一部分が易動性たん白質を構成していることが明らかにされた。
5)
15N回収率は5%区では体毛, 皮膚で高かったが, 20%区およびR20%区では膵臓, 小腸のたん白部分で高く, 易動性たん白質の代謝的流れの一部が示された。
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