日本においては, 「家族関係」のなかの祖父母・孫関係は重要である.しかしながら, まだ, 祖父母・孫関係の現状については十分知られているとはいえない.
本稿では, こうした祖父母・孫関係をとりあげ, 北陸地方の一都市における実情を報告しようとするものである.
第1報では, これまで, 祖父母・孫関係をとりあげた研究のいくつかをとりあげ, 諸知見を整理した.そこから, まず, 「祖父母・孫」関係の把握のしかたを, (1) 物的接触状況, (2) 情緒的側面の接触状況, (3) 祖父母についての知識・老人への一般的認識の各側面からみることにした.また, 「祖父母・孫」関係のありかたを規定する要因について, 11の規定要因をとりだした.
さらに, 別居している祖父母・孫の交流の実態と交流を規定する要因について, 調査結果から報告した.<BR.調査対象者は, 北陸地方の一都市における, 小学校5年生から中学校3年生までの児童・生徒, およびその保護者である.
結果は以下のようであった.
1) 交流実態
親世代と祖父母世代との関係は, 「電話」や「贈り物」また「趣味の認知」をみると, 孫世代との関係とは違う密接さを示し, なかでも, 親世代からの働きかけの強いことがわかる.孫世代と祖父母世代との関係は, 親世代と祖父母世代の関係ほどではないが, 「電話」や「贈り物」をみると祖父母世代からの働きかけがいくらか強いのがわかる.
2) 規定要因
本報告で問題にした調査対象者の子ども達 (孫) と別居している祖父母の交流を規定する要因に関していえば, 「物的接触」では, 「孫の住む地域」「孫の家族構成」「孫の家族の生活程度」「祖父母の年齢」「孫との距離」「祖父母の家族構成」「祖父母世代と親世代の関係のありかた」であろう.
また情緒面での接触についてみると, 「孫の年齢」「孫の家族構成」「祖父母の家族構成」「祖父母世代と親世代の関係のありかた」が注目される.
さらに相互の認知についてみると, 「孫の性別」「孫の家族構成」が注目される.
全体としてみれば, 対象の子ども達 (孫) の性別と年齢, さらに家族構成, つまり, 同居している祖父母がいるかいないかと, 交流対象である別居している祖父母の家族構成, つまり祖父母達だけで生活しているのか, 子ども夫婦や孫が同居しているのかという点が, 交流の質量を決める規定要因の一つとして重要であることがわかった.また子ども達の親夫婦が, 別居している祖父母といかなる関係を形成しているかも, 重要な規定要因の一つであることがわかった.
先行研究と比較してみると, 祖父母の家族構成, 孫の性別についていえば, 先行研究と同じ結果がでた.世代間の空間分離の程度, 孫の住む地域については一部同じで一部異なる結果がえられた.また新たに祖父母と親世代の関係, 祖父母の健康状態, 祖父母・孫の生活程度が関連があることがわかった.特に祖父母と親世代の関係が関連があることがわかった.
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