日本家政学会誌
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44 巻, 10 号
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  • 北陸地方の一都市を事例に (第1報)
    高田 洋子
    1993 年 44 巻 10 号 p. 823-830
    発行日: 1993/10/15
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    日本においては, 「家族関係」のなかの祖父母・孫関係は重要である.しかしながら, まだ, 祖父母・孫関係の現状については十分知られているとはいえない.
    本稿では, こうした祖父母・孫関係をとりあげ, 北陸地方の一都市における実情を報告しようとするものである.
    第1報では, これまで, 祖父母・孫関係をとりあげた研究のいくつかをとりあげ, 諸知見を整理した.そこから, まず, 「祖父母・孫」関係の把握のしかたを, (1) 物的接触状況, (2) 情緒的側面の接触状況, (3) 祖父母についての知識・老人への一般的認識の各側面からみることにした.また, 「祖父母・孫」関係のありかたを規定する要因について, 11の規定要因をとりだした.
    さらに, 別居している祖父母・孫の交流の実態と交流を規定する要因について, 調査結果から報告した.<BR.調査対象者は, 北陸地方の一都市における, 小学校5年生から中学校3年生までの児童・生徒, およびその保護者である.
    結果は以下のようであった.
    1) 交流実態
    親世代と祖父母世代との関係は, 「電話」や「贈り物」また「趣味の認知」をみると, 孫世代との関係とは違う密接さを示し, なかでも, 親世代からの働きかけの強いことがわかる.孫世代と祖父母世代との関係は, 親世代と祖父母世代の関係ほどではないが, 「電話」や「贈り物」をみると祖父母世代からの働きかけがいくらか強いのがわかる.
    2) 規定要因
    本報告で問題にした調査対象者の子ども達 (孫) と別居している祖父母の交流を規定する要因に関していえば, 「物的接触」では, 「孫の住む地域」「孫の家族構成」「孫の家族の生活程度」「祖父母の年齢」「孫との距離」「祖父母の家族構成」「祖父母世代と親世代の関係のありかた」であろう.
    また情緒面での接触についてみると, 「孫の年齢」「孫の家族構成」「祖父母の家族構成」「祖父母世代と親世代の関係のありかた」が注目される.
    さらに相互の認知についてみると, 「孫の性別」「孫の家族構成」が注目される.
    全体としてみれば, 対象の子ども達 (孫) の性別と年齢, さらに家族構成, つまり, 同居している祖父母がいるかいないかと, 交流対象である別居している祖父母の家族構成, つまり祖父母達だけで生活しているのか, 子ども夫婦や孫が同居しているのかという点が, 交流の質量を決める規定要因の一つとして重要であることがわかった.また子ども達の親夫婦が, 別居している祖父母といかなる関係を形成しているかも, 重要な規定要因の一つであることがわかった.
    先行研究と比較してみると, 祖父母の家族構成, 孫の性別についていえば, 先行研究と同じ結果がでた.世代間の空間分離の程度, 孫の住む地域については一部同じで一部異なる結果がえられた.また新たに祖父母と親世代の関係, 祖父母の健康状態, 祖父母・孫の生活程度が関連があることがわかった.特に祖父母と親世代の関係が関連があることがわかった.
  • 北陸地方の一都市を事例に (第2報)
    高田 洋子
    1993 年 44 巻 10 号 p. 831-837
    発行日: 1993/10/15
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    本研究から以下のことがわかった.
    1) 別居している祖父母と, 孫世代との交流の内容を規定する要因群として, 本調査結果からまず取上げられるべきは, 祖父母と孫の親, つまり祖父母とその子たちとの交流の内容, 別居している祖父母および孫の属する家族の構成, 別居の空間的距離, そして子ども達 (孫) の性別と年齢である.
    祖父母と親世代が金銭やサービスの面で交流があれば, 孫との交流も多くなる.また別居している祖父母が老夫婦のみか一人住まい, 孫が属する家族が核家族であることは交流の頻度を高くしている.別居の空間的距離についていえば, 遠くなるにつれて交流の頻度は低くなる.また, 概して, 孫が男子より女子の方が, 年齢が小さい方が交流の頻度は高くなる.
    2) 同居している祖父母と孫の交流を規定する要因として取上げられるべきは, 祖父母と親世代との関係の内容, 孫の性別・年齢, 祖父母の性別である.つまり, 親世代が祖父母といかなる交流を持続させているかが, 孫と祖父母との交流を規定しているということである.同居の中で, 家計, 空間つまり住居のつくり方および生活の分離の度合いが小さく, 共同の度合いが高い場合には, 「食事」「会話」といった孫との交流が増加している.祖父母世代と親世代の勢力関係もまた重要な要素である.例えば, 「重要な決定者」が祖父母である場合は, 孫は祖父母の注意をよく聞くようである.また「食事」や「会話」が多くなるのは, 「主観的勢力」が「同等」の場合である.また, 概して, 孫が男子より女子の方が, 学年が低学年の方が交流の頻度は高くなる.また, 祖父より祖母の方が交流頻度が高い.
    3) 地域, 健康状態, 生活程度は, 同別居いずれにおいても, ある傾向を確認しえたが, 上記で取上げた要因群ほど明確なものではない.
  • 赤米の理化学的特性について
    小川 宣子, 中村 優希, 田名部 尚子
    1993 年 44 巻 10 号 p. 839-844
    発行日: 1993/10/15
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    日本古来に栽培されていた赤米の調理や加工品を開発するために, 「縁喜米」赤米について, 見かけのアミロースの割合, 水分含量, 加熱吸水率, 膨張容積及びヨード呈色度から理化学的性状, 組織構造, 色素について調べた.赤米 (縁喜米) とうるち米 (コシヒカリ) はエステラーゼアイソザイム型は同じであった.赤米の水分含量は, 11.0%とうるち米・もち米に比べて少なく, 見かけのアミロース含量は10.2%であった.歩留り96%赤米の加熱吸水率, 膨張容積は, うるち米に比べて小さく, 歩留り92%赤米ではうるち米と差がなかった.炊飯液の赤米のヨード呈色度はうるち米より大きく, デンプンの溶出量が多かった.赤米粒内部中央部胚乳のデンプン細胞配列はうるち米よりもやや緻密の傾向にあった.赤米の玄米中の赤い色素は, pH 2~9の条件下で呈色に変化は見られなかった.
  • 木村 友子, 加賀谷 みえ子, 福谷 洋子, 菅原 龍幸
    1993 年 44 巻 10 号 p. 845-854
    発行日: 1993/10/15
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    鶏肝臓糠漬の実用的な利用法として糠漬の好ましい調製条件を探究する目的で, 糠床の食塩濃度を検討し, 更に焼酎及び砂糖を添加した糠床を調製し, 鶏肝臓を72時間漬け込み, この間の糠漬の食味と理化学的性状の変化及び保存性について調べ, 次の結果を得た.
    (1) 糠床の食塩濃度4%に漬けた糠漬の食塩含量は1.2-23%の範囲で嗜好的に好まれた.しかしこの糠漬の保存性ではAw値は0.96-0.95, 細菌数は105/gにとどまるものの食肉加工基準の50万/g以下の設定の上限値を示した.
    (2) 食塩濃度4%糠床における焼酎の最適添加量は28%で, この糠漬の物性の硬さの値は高くなり, 嗜好的にも好まれ, 細菌数は104/gレベルに抑制された.ちなみに焼酎56%添加糠漬ではアルコール濃度が高く, 嗜好性が低下した.
    (3) 美味しい糠漬の調製条件は調製糠40%, 塩4%, 焼酎28%, 蒸留水6%, 砂糖22%の糠床に48時間漬けた肝臓であった.この糠漬は対照の砂糖のみ無添加の糠漬に比べ, 色調の赤味度・彩度の値が高く, 硬さが適当で, 肝臓特有の臭気もほとんど緩和され, 風味もあり嗜好的に優れ, Aw値0.92, 細菌数104/gで, 保存性も高かった.
  • 樫野 悦子, 藤井 富美子
    1993 年 44 巻 10 号 p. 855-860
    発行日: 1993/10/15
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    Effects of α-, β-and γ-cyclodextrin (CD) on the removal of a mixed oily soil consisting of triolein and cholesterol were investigated. While the removal of the soil by sodium dodecyl sulfate, SDS, increased gradually with the washing time, the removal by the CD's was independent. The removal by β-and γ-CD increased with the concentration, resulting in the order of the effectiveness, γ-CD> β-CD >α-CD≈slight at 15 mM.
    Addition of the CD's to the solution of SDS shifted the critical micelle concentration (cmc) to higher concentrations. The effect of the CD's was observed on the removal of the soil by the mixed solution at higher concentrations than cmc of the solution. The effects were in the order, γ-CD>β-CD>α-CD≈0.β-CD removed selectively cholesterol in the mixed soil.
    A two-step washing consisting of washing first with SDS and then with CD showed a better performance than that with CD-SDS mixed solution.
  • 住まいの汚れおよび手入れの実態調査
    佐藤 孝逸, 御屋敷 圭子, 重弘 文子
    1993 年 44 巻 10 号 p. 861-869
    発行日: 1993/10/15
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    The amount of dirt in a house is affected by daily behavioural patterns of the occupants. The amount and type of house cleaning reflect the house wives life style and personal consciousness. We have made a survey on sixty-two different places in a house regarding their cleanness, frequency of their cleaning, the way of cleaning, awareness of the cleanness and laboriousness of cleaning. Results are summarized as follows.
    1) Heavily soiled places of a house are kitchen fan, range hood, window groove, kitchen drain pipe, and fly screen. These places are not cleaned often due to the difficulty.
    2) The consciousness of the cleanness is high for kitchen counter, bathroom and bathtub, lavatory cabinet, and western style toilet bowl. These places are cleaned frequently.
    3) The frequency of cleaning, which largely depends on the difficulty, determines the degree of dirt of respective places.
  • 交通量測定からみた児童の通学環境
    山本 善積, 友定 啓子, 小島 郷子
    1993 年 44 巻 10 号 p. 871-879
    発行日: 1993/10/15
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    児童の通学路は, 一方では, 自動車交通が増大するなかで, 身の安全といった基本的な点で問題視しなくてはならなくなっているが, 他方では, それだけに児童, 保護者, 学校関係者, 地域の居住者が優先的に働きかけようとする対象であろう.このような問題認識で行ったY小学校区における通学交通量の測定結果は, 次のように要約できる.
    (1) 集散地点には様々な種類の交通が集まり, 量的にも膨れる.児童にとっては, 自動車交通の集中, 交差する自動車の通行, それに安全施設の整備状況が危険の程度を左右する要因となる.Y小学校区では, 自動車交通の増加によって, いっそう危険性が高まっている.
    (2) 児童の通学環境をコントロールする一手段としての「スクールゾーン」の指定は, 規制時間内でも渋滞を生じるほどの交通量があり, 児童の安全を確保したものにはなっていない.その自動車交通量の大部分は通過交通である.
    (3) 自動車交通の多さは児童の通学行動に影響を与えているが, それは少なくとも次の2つの点で認められる.1つには, 通学集団が自動車の少ないところで形成され, 自動車交通の多いところでは, 児童が合流しても大きな単位にならないこと, もう1つは, 自動車を避けて指定された通学路以外の道を通学していることである.
  • 交通安全に関する行動と認識
    友定 啓子, 小島 郷子, 山本 善積
    1993 年 44 巻 10 号 p. 881-886
    発行日: 1993/10/15
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    Y小学校の通学路に関する児童と保護者の質問紙調査の結果, 次の点が明らかになった.
    1) 児童の通学行動について, 登下校で違いが認められた。下校時は登校時に比べて同伴者はより固定し, 集団規模は大きくなり, 歩行状態にゆとりが出てくる.下校時には通学路のアクセス機能に, 生活コミュニティ機能が付与されてくる.
    2) 家庭での車保有率は非常に高く全国平均を上回り, 道路網の不備から児童の通学と保護者の通勤は時空間的に重なり合っている.
    3) 通学路における歩行中のニアミス経験は児童は約25%で, 保護者は約60%, 保護者の運転走行中のニアミス経験は約45%, 保護者で何らかのニアミス経験を持つものが約75%であった.この通学路の交通環境はきわめて悪いと言える.
    4) にもかかわらず, 通学路内のスクールゾーンの危険性については約60%の児童が楽観視しており, 危険性の認識が不十分である.保護者については楽観視してはいないものの, スクールゾーン指定の有効性に対する評価は大きくわかれていた.なお児童の危険性の認識はニアミス経験の有無と交通量認識に関連が認められ, 保護者による安全指導は直接的な影響を与えていない.
  • 津久井 亜紀夫, 鈴木 敦子, 小口 悦子, 永山 スミ
    1993 年 44 巻 10 号 p. 887-891
    発行日: 1993/10/15
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    甘藷葉柄の一般成分およびDF量を定量し, 次のような結果が得られた.
    1) 品種別 : 4品種の甘藷葉柄上部の一般成分およびTDF量は差が認められなかった.成分中TDF量が最も多く, 特にNDFとADF量の多い野菜である.
    2) 他の野菜との比較 : 野菜類の固形物量は甘藷葉柄より少ない.一般成分は新鮮物当たりでフキのNFE以外甘藷葉柄が多く含まれていた.またTDF量は甘藷葉柄に多く, セルロース, ヘミセルロースの割合が多い.
    3) 部位別 : 固形物量は柄部が葉部の約2倍で柄部は葉部より粗蛋白質と粗脂肪が多く, 粗灰分とNFEの割合が少なかった。TDF, NDF, ADFおよびリグニンの割合が柄部に多く, 構成DFはヘミセルロースは約3倍, リグニンは約2倍である.葉柄上部の固形物は葉柄下部より僅かに多い.葉柄上部は葉柄下部より粗灰分が多く粗蛋白質, 粗脂肪およびNFEの割合が少ない.またTDF, NDF, ADF, リグニンおよびP-SDFは葉柄下部に多い.
    4) 採集月別比較 : 固形物量は9月が8月より少ないが, 一般成分量は, ほぼ同じ割合であった.またTDF量も同じであった.
    5) 茹でる前と茄でた後の比較 : 固形物量は茄でる前に比べ茹でた後は4.3%も減少した. 一般成分およびDF量が減少した.特にDFのP-SDFの減少が大きい.
  • 西村 一朗
    1993 年 44 巻 10 号 p. 893
    発行日: 1993/10/15
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
  • 川染 節江
    1993 年 44 巻 10 号 p. 894-896
    発行日: 1993/10/15
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
  • 日本における婚姻観の変遷と家族問題
    本村 汎
    1993 年 44 巻 10 号 p. 899-901
    発行日: 1993/10/15
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
  • 中村 悦子
    1993 年 44 巻 10 号 p. 901-902
    発行日: 1993/10/15
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
  • 遠藤 金次
    1993 年 44 巻 10 号 p. 903-906
    発行日: 1993/10/15
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
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