1993年に, フィレンツェで開催された第49回国際統計学会において, ジェンダー統計に関するセッションが設けられた.そこでは, 家計・消費統計の分野でのジェンダー統計あるいは, ジェンダー明示的統計の作成とその重要性と可能性が議論された.
本論文は, まずはじめに, ジェンダー統計あるいはジェンダー明示的統計とは何かを, 国際統計学会の文献をもとに考察した.
次に, 家計・消費面でのジェンダー明示的統計の日本における現状を日本の総務庁統計局の「1989年全国消費実態調査」を用いて検討した.
その結果, 収入に関しては, 不十分ながらジェンダー統計は得られるが, 消費に関しては単身男女の場合しか得られないことが明らかになった.
最後に, ジェンダー明示的家計・消費統計作成のための, 総務庁に提言すべき最も容易で明白な改善点を示した.
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