日本家政学会誌
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50 巻, 4 号
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  • 須見 洋行
    1999 年 50 巻 4 号 p. 309-312
    発行日: 1999/04/15
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    納豆菌発酵によるビタミンK生産と, 納豆摂取時の同ビタミンの経時的な血中動態をHPLC法で定量した.
    発酵中のビタミンKとして主に植物由来であるフィロキノン (K1), あるいはメナキノン-4の濃度に変化はなかったが, 納豆菌由来のメナキノン-7濃度が著しく高まること, 特にわが国の市販納豆で最もよく使われている3種類の納豆菌の中で宮城野菌で発酵したものが最も高濃度であり, その値は37℃, 24時間で1,750μgMK-7/100g湿重量を示した.
    納豆5~100gの摂取でヒト血中のナメキノン-7濃度の上昇はdose-dependentであり (最高値は57.1±7.7ng/ml血漿), またその効果は長く, 48時間後でも摂取前の9倍以上のメナキノン-7濃度であった.一方, 今回の摂取量で血中の凝固-線溶系に変化は見られなかった.
  • ダイズ・インゲンマメとの比較
    山本 奈美, 田村 咲江
    1999 年 50 巻 4 号 p. 313-321
    発行日: 1999/04/15
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    煮熟したラッカセイの特性を明らかにするために, 物性の測定, 組織観察および官能検査を行い, ダイズおよびインゲンマメの場合と比較検討した.
    (1) ラッカセイのテクスチャーは, ダイズおよびインゲンマメと比較すると粘性が大きく, もろさの値が小さい傾向を示した.
    (2) 組織観察の結果, 煮熟後のラッカセイは生と比較して, インゲンマメと同様にデンプン粒が膨潤し, プロテインボディが加熱前の球状の形態を失っていた.リピッドボディは細胞内で大きく融合し, ダイズに比べるとサイズの大きい脂質滴を形成していた.また, 細胞壁の形態はマメの種類によってそれぞれ異なる特徴をもっていたが, いずれも煮熟後に細胞壁の中層部での分離が顕著であり, そのことが組織の軟化の原因であった.
    (3) 官能検査の結果, ラッカセイはダイズ, インゲンマメに比べて香り, 口どけのよさの点で有意に高い評価を得た.調味したラッカセイの煮豆は2種類とも好まれる傾向にあり, ラッカセイの煮豆としての利用が期待できる.
  • 田村 咲江, 山本 奈美
    1999 年 50 巻 4 号 p. 323-332
    発行日: 1999/04/15
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    アズキ, インゲンマメ, ラッカセイ, ダイズの4種類のマメから調製した生餡と練り餡について, テクスチャーの測定と官能検査を行い, 光学顕微鏡, クライオ走査電子顕微鏡, 低真空走査電子顕微鏡による, 餡および餡粒子の形態観察と, 併せてそれらの特徴を考察した.主な結果は次のとおりである.
    (1) 餡のテクスチャー測定における粘性の値は, 生餡ではラッカセイとダイズが高く, 練り餡ではいずれの餡も高い値を示した.付着性はラッカセイとダイズの練り餡において高い値を示した.
    (2) 餡の官能検査で「味の好ましさ」は, アズキ餡が最も高い値を示したが, その他の餡もプラス側の評価を受けた.インゲンマメ餡では「ざらつき」が最も大で, 粘性はラッカセイとダイズが大であった.「風味」の良さでは, 食べ慣れたアズキ餡に次いでラッカセイ餡が高い評価を受けた.
    (3) ラッカセイから得た餡粒子は, アズキ, インゲンマメの餡粒子に比べて円形度では大差ないが, 若干小型であった.ダイズの餡粒子は長径短径の差が著しく, 子葉細胞本来の形態を保持していた.
    餡粒子のクライオSEM観察によると, アズキ, インゲンマメの餡粒子は球状であるのに対して, ラッカセイとダイズの餡粒子は張りのない形を示し, これらの表面構造の差は餡粒子の形状と相まって, なめらかさの評価に影響するものと考えられた.切片の光学顕微鏡観察からは, デンプンや脂質, タンパク質の存在状態や細胞壁の性状に差があることがわかった.
    (4) 生餡と練り餡の低真空SEM観察により, 餡粒子問に存在する物質の状態を観察することができた.これらは粘性や付着性に関係すると考えられた.またラッカセイ餡では, 餡粒子外に脂質が漏れ出ているのが観察され, これが風味の良さと粘性に関与していると考えられた.
  • 高橋 智子, 大越 ひろ
    1999 年 50 巻 4 号 p. 333-339
    発行日: 1999/04/15
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    本研究では, 嚥下補助食品としての市販増粘剤を添加し, テクスチャー特性の硬さを市販ヨーグルト程度にそろえた粘稠な液状食品について, 飲み込み特性と力学的特性の関係について検討した.飲み込み特性は官能評価により, 力学的特性はテクスチャー特性, 流動特性および動的粘弾性により得た.
    (1) デンプン系試料はグアガム系試料に比べ, ヨーグルトの経口評価のずり速度に相当する19.15 (s-1) における粘性率は低く, 降伏応力および貯蔵弾性率が小さく, 損失正接が大であることが認められた.硬さをヨーグルト程度にそろえた粘稠な液状食品では, 本実験の測定範囲において, デンプン系試料の方がグアガム系試料に比べ, より流動しやすいことが示唆された.
    (2) 官能評価では, いずれの液状食品においてもグアガム系試料はデンプン系試料に比べ, べたつき, 飲み込みにくく, また口中の残留感が多いことが認められ, グアガム系試料とデンプン系試料で異なる傾向がみられた.
    (3) 官能評価値間の関係より, べたつかず, 口中における残留感も少ない粘稠な液状食品が飲み込みやすいことが示唆された.また, 飲み込み特性をあらわす重回帰モデルより, 飲み込みやすさには, べたつき感の影響が大きいことが認められた.
    (4) 飲み込み特性と力学的特性の関係より, 飲み込みやすい粘稠な液状食品は, 19.15 (s-1) における粘性率が低く, 降伏応力および貯蔵弾性率が小さく, 損失正接が大きいことが認められた.また, 飲み込み特性を力学的特性値であらわした重回帰モデルより, 飲み込みやすさには, 貯蔵弾性率の影響が最も大きいことが認められた.
  • 鍋の材質および加熱条件が全粥の性状に及ぼす影響
    江間 章子, 貝沼 やす子
    1999 年 50 巻 4 号 p. 341-347
    発行日: 1999/04/15
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    The effects of cooking pot material and heating conditions on the physical and chemical properties of rice gruel were studied.
    It was found difficult to adjust the heat input to rice gruel cooked in a yukihira nabe (earthen pot) when the temperature reached over 100°C at the bottom of a pot. Rice gruel cooked rapidly was harder and stickier than when cooked slowly, particularly when a yukihira nabe was used as the pot. Rice gruel cooked slowly had a large amount of reducing sugar, mainly consisting of glucose. Rice gruel that was too sticky was not easy to swallow and was disliked. Rice gruel cooked in an aluminum pot was preferred to that in a yukihira nabe, although the application of the heat retaining method to the latter type of pot was effective.
  • 下分および通詞供応にみる食品 : 獣鳥鯨肉類
    大坪 藤代, 秋山 照子
    1999 年 50 巻 4 号 p. 349-359
    発行日: 1999/04/15
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    Korean delegations came to Japan 12 times from Keicho 12 (1607) to Bunka 8 (1811) during the 200-year Edo period. Banquets for the delegations reflected Japanese prestige, so the records on the banquet meals are valuable to investigate Japanese food culture during Edo period. Records of the banquets for the middle and lower classes of officers in the delegations at Tenna (1682), Shoutoku (1711), Enkyou (1748) and Houreki (1764) from the documents of the Tsushima clan were studied to identify the food and cooking methods used during the Edo period of Japan. There was a great difference in the frequency of use of chicken, pork and venison between the Korean and Japanese diets. Whale meat was not frequently served because it was not eaten in Korea. Meats on the whole tended to be boiled, rather than roasted, while beast meats tended to be roasted rather than boiled.
  • 正月の食生活の実態 (第2報)
    名倉 秀子, 大越 ひろ, 茂木 美智子, 柏木 宣久
    1999 年 50 巻 4 号 p. 361-369
    発行日: 1999/04/15
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    「ハレ」の日の食生活の変化を捉えるため, 1986年から1995年の正月三が日間の喫食実態調査を首都圏の女子短大生に行った.10年間, 3日間の喫食時刻の時系列解析により, 平準化傾向について以下の結果を得た.
    (1) 主食と汁物は高出現時刻において, 1.0件/人で幅がみられなかった.副食と嗜好食品では1.2~5.8件/人と, 時刻により1人当たり料理件数に幅がみられた.
    (2) 主食, 副食, 汁物, 嗜好食品, 雑煮およびおせち料理の時刻ごとの喫食比率は, ベイズ的平滑化法により年効果・日効果を含むトレンドが認められた.
    (3) 主食, 副食の喫食時刻は, 元日に10~12時と19時の2ピーク, 2日目および3日目に9時, 12時, 19時の3ピークの分布を示した.この喫食時刻は, 1995年に向け分散化傾向がみられた.
    (4) 正月の行事食料理は元日の10時頃によく喫食され, 喫食時刻と料理内容が日常と異なるものであることが女子短大生の調査から明らかになった.また, 3日目に向け喫食時刻と料理内容は日常の食生活パターンに近づいた.この傾向は, 10年間でより強まる傾向を示した.
  • 藤原 康晴, 杉田 洋子, 福井 典代
    1999 年 50 巻 4 号 p. 371-375
    発行日: 1999/04/15
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    服装に対するふさわしさ評定における個人差とその評定の個人内のあいまいさを検討した.50種の服装の中から, カジュアルからドレッシィにいたる4種の服装を選定し, これらの各服装の「コンビニエンスストアに買い物に行く」「大学で授業を受ける」「親戚を訪問する」「結婚の披露宴に出席する」の各場面におけるふさわしさの評定をファジィ尺度を用いて測定した.
    各服装に対する個人内のあいまいさ (評定幅) は「カジュアル」あるいは「フォーマル」な場面で小さく, その中間の「ややカジュアル」「ややフォーマル」な場面で大きくなり, 評定が中庸のとき, あいまいさが増すことがわかった.
    服装に対するふさわしさの個人間の評定差 (評定値の標準偏差値) は, 評定が明確なとき, すなわち, 「非常にふさわしい」あるいは「非常にふさわしくない」と評定される場合は小さく, ふさわしさの評定が中庸の場合に大きくなった.評定における個人内のあいまいさと個人差を比較したところ, 評定が明確なとき, 両者の大きさはあまり違わないが, 評定が中庸のとき, 個人内のあいまいさよりも個人差のほうが大きくなることがわかった.
  • 高村 仁知, 近藤 聡子, 岡野 悦子, 荻野 麻理, 松澤 一幸, 山中 信介, 的場 輝佳
    1999 年 50 巻 4 号 p. 377-387
    発行日: 1999/04/15
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    市販の弁当類および総菜類についてミネラル含量の実態を調査し, 家庭食との比較を行った.市販弁当, 市販すし, 学食の食事ではNa (食塩) 以外のミネラルの充足率が低く, これらを常食した場合, Ca, Fe, K, Mg, Znの摂取は所要量を満たせない可能性が示唆された.特に, Caの充足率は50%前後と非常に低かった.また, 市販弁当, 市販すし, および市販総菜の食塩含量は家庭食, 家庭総菜と比べて高かった.したがって, 市販の弁当類および総菜類を利用する場合はCa等の摂取不足および食塩の摂取過剰とならないよう留意する必要が考えられる.
  • 佐々木 和也, 枝村 正芳, 武居 正和, 古川 貴雄, 清水 裕子, 清水 義雄
    1999 年 50 巻 4 号 p. 389-393
    発行日: 1999/04/15
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    This paper discusses a measurement for strain distribution on girdles using motion image analysis. The proposed method allows dynamic measurement of the strain distribution by non-contact measurement that does not affect subjects. In order to evaluate the strain distribution on the girdles, the methods of calculating tensile strain, shear strain and rotation by discrete displacement vector fields are explained. In experiments, we observe that a subject wearing the girdle drawn grid pattern raises the left leg. Grid pattern deformation provides discrete displacement vector fields, so that tensile strain and shear strain are obtained. Principal strain calculated by tensile strain and shear strain on the girdle shows changes of strain distribution after raising a leg. Consequently, it is confirmed that the girdle at the waist is strained when the subject starts to raise the left leg.
  • 一般教育としての開設の可能性と教員養成系学部における新展開
    鈴木 真由子, 飯田 範子, 岡部 道子, 加地 芳子, 佐藤 文子, 清水 歌, 田中 恒子, 野田 文子, 藤枝 恵子
    1999 年 50 巻 4 号 p. 395-405
    発行日: 1999/04/15
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    The current status of home economics courses in university general education was surveyed in order to clarify the possibility of incorporating home economics into general education programs. The direction for home economics education was discussed, and ways in which home economics education departments can participate in new courses in faculties of education were investigated.
    The following results were obtained :
    1) Fifty-nine point five percent of schools surveyed had home economics courses and was each characteristic of the department to which it belonged. In general education departments, interest was relatively high in borderline areas such as “environment” and “welfare.”
    2) The level of awareness of, or expectations for, home economics education in general departments is influenced by external conditions, i.e., the existence of home economics or education departments, or administrative organizations.
    3) There is consistent support for the validity of home economics in solving many problems related to student life. It is hoped that many students, particularly males, will learn home economics.
    4) An increasing number of home economics education departments are offering new courses in faculties of education. For these new courses to contribute to fresh developments in home economics and home economics education, the educational goals must be clear and the courses must respond to the needs of society.
  • 内田 青蔵
    1999 年 50 巻 4 号 p. 407-408
    発行日: 1999/04/15
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
  • 川村 和彦
    1999 年 50 巻 4 号 p. 409-413
    発行日: 1999/04/15
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
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