日本小児外科学会雑誌
Online ISSN : 2187-4247
Print ISSN : 0288-609X
53 巻 , 5 号
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おしらせ
追悼文
秋季シンポジウム記録
原著
  • 奥村 健児, 入江 友章, 山本 裕俊
    2017 年 53 巻 5 号 p. 998-1003
    発行日: 2017/08/20
    公開日: 2017/08/20
    ジャーナル フリー

    【目的】先天性横隔膜ヘルニア(CDH)は,近年の周術期管理の進歩により予後が向上した.しかし,一般に治療成績を論ずる際には左CDHの成績が多分に結果に影響しており右CDHに焦点を当てられることは少ない.今回,当施設で経験したCDH症例について,一般に報告されている予後因子が左右それぞれのCDH症例に該当するかを比較検討し,右CDHの臨床像を研究した.

    【方法】2002年から2015年までの間に当施設で経験したCDH 39例を対象とした.これらを左右の発症側ごとに,胎児診断の有無,分娩施設,入院期間,合併症,予後などについて比較検討した.

    【結果】発症側は右CDH 7例,左CDH 32例であり,患者背景で有意差がみられたのは肝臓の胸腔内脱出のみであった(右100% vs. 左21.9%;p<0.001).術後合併症として左CDHでは治療を要した胃食道逆流症が5例発症していたが右CDHにおいては認めなかった.生存率は右57.1% vs. 左78.1%(p=0.344)で,左CDHにおいては胎児診断30週未満,出生体重2,500 g未満,肝臓の胸腔内脱出,修復時の人工膜使用が有意に予後に相関していたが右CDHに関しては相関する項目はなかった.

    【結論】右CDHに関して,有意差こそないものの左CDHと比較して胎児診断率が低く,予後が不良の傾向がみられた.一方,左CDHで予後と相関が見られた項目は右CDHで同様の所見は認めなかった.右CDHに関しては独立した病態と認識する必要性も考えられた.

  • 竜田 恭介, 石本 健太, 古澤 敬子, 古賀 義法, 財前 善雄
    2017 年 53 巻 5 号 p. 1004-1008
    発行日: 2017/08/20
    公開日: 2017/08/20
    ジャーナル フリー

    【目的】当科において経験した腸回転異常症(以下本症)の新生児・乳児例と年長児例について比較検討し,年長児における本症の特徴,留意点について明らかにする.

    【方法】1990年1月~2015年12月において当科で治療を行った本症について後方視的調査を行った.1歳未満の新生児・乳児群(以下A群)と1歳以上の年長児群(以下B群)にわけ,背景因子,病悩期間,症状,中腸軸捻転,手術,術後合併症について比較検討した.

    【結果】対象は45例で,A群38例,B群7例であった.背景因子について有意差を認めたのは,B群で出生体重が有意に大きいことのみであった.症状は,A群では胆汁性の嘔吐と胃管排液が最も多かったのに対し,B群では間歇的腹痛と非胆汁性の嘔吐と胃管排液が多かった.病悩期間はA群では0日~2か月と比較的短期間であったが,B群では急性に発症した1例を除いた6例で3~12年と長期間に及んでいた.中腸軸捻転の頻度,捻転の程度については両群間に有意差は認めなかったが,B群において捻転部位の線維性癒着などの慢性的な捻転を示唆する所見を認めた.術中出血量はB群において有意に多く,更に手術時間もB群において有意に長かった.術後合併症は,両群間に有意差は認めないものの,B群において癒着性イレウスが多い傾向にあった.

    【結論】年長児における本症は症状,病悩期間,術中出血量,手術時間,術後合併症などにおいて新生児・乳児期とは異なる特徴を有しており,年長児例の特徴を充分理解して治療に当たる必要がある.また慢性の消化器症状のある年長児例の診察では,このようなことを念頭において検査し,腸回転異常症を見落とさないことが重要である.

  • 今泉 孝章, 浦尾 正彦, 田中 奈々, 宮野 武
    2017 年 53 巻 5 号 p. 1009-1013
    発行日: 2017/08/20
    公開日: 2017/08/20
    ジャーナル フリー

    【目的】尿膜管遺残に対し,近年多くの施設で腹腔鏡下尿膜管摘出術が行われている.しかし,腹腔鏡による摘出は,腹膜損傷による術後腸管癒着を来たす可能性があり,その対策については未だ一定の見解が得られていない.今回我々は,臍輪アプローチによる腹膜外尿膜管摘出術(trans-umbilical extraperitoneal tunneling法:以下TET法)を考案した.本術式は整容性にも優れ,腹膜損傷も最小限であることから有効性が高いと考え報告する.

    【方法】2005年10月~2015年10月,当院で尿膜管摘出術をTET法で施行した23症例を対象とし,手術時間,出血量,術後経過を後方視的に検討した.

    【結果】対象となった23症例の平均年齢は17.9歳(3か月~44歳),そのうち小児13例,成人10例であり,男女比は15例:8例であった.平均手術時間は101分,平均出血量は7.3 gであり,術後入院期間日数は平均4.4日であった.術後創部感染や臍炎の再発,術後腸閉塞などの合併症は認めなかった.

    【結論】TET法は,臍輪内の1か所の創部であり整容性に優れ,腹膜損傷も最小限であり術後腸閉塞のリスクを回避できる有効な手術法であると考えられた.Retractor Ringによる組織牽引は,術野の展開を良好にし,尿膜管剥離に大変有効であった.また,腹腔鏡スコープによる尿膜管観察は,確実な診断と無用な剥離の予防に有効であった.

  • 鴻村 寿, 安田 邦彦, 水津 博
    2017 年 53 巻 5 号 p. 1014-1018
    発行日: 2017/08/20
    公開日: 2017/08/20
    ジャーナル フリー

    【目的】肝臓が全脱出した巨大な臍帯ヘルニアに対する治療は,現在でも難渋することが多い.われわれは全肝脱出巨大臍帯ヘルニアに対して,Wound Retractorを用いて脱出臓器を押し込まないよう留意したAllen-Wrenn法(Allen-Wrenn変法)が有効かどうか検討した.

    【方法】2010年から2015年に当院入院した全肝脱出臍帯ヘルニアの5例(A群)と,肝非脱出の腹壁異常5例(B群)を比較検討した.羊膜を切開してWound Retractorを腹腔内に挿入し,サイロを皮膚が充分盛り上がるまで牽引すること,脱出臓器を腹腔内へ押し込まないことなどに留意したAllen-Wrenn変法を行った.

    【結果】A群(男児2例,女児3例)の平均在胎週数37週3日,平均出生体重2,182 g,腹壁欠損孔は平均6.5 cm,B群(男児4例,女児1例)の平均在胎週数34週6日,平均出生体重2,140 g,腹壁欠損孔は平均2.6 cmであった.A群では全身状態不良な1例のみに生後2日でサイロ装着を行い,その他4例では出生当日にサイロを装着した.B群では全例出生当日にサイロを装着した.A群のサイロ装着期間は平均6.8日(5~8日)で,全例比較的容易に腹壁閉鎖が可能であった.B群では平均6.0日(3~10日)で,両群間のサイロ装着期間に有意差を認めなかった.

    【結論】本術式は全肝脱出巨大臍帯ヘルニアにおいても低侵襲であり,肝非脱出の腹壁異常と同様に簡便に安全に短期間で腹壁閉鎖することができた.また,特別な器具や手技を必要とせず,どのような施設であっても施行可能であるため非常に有効な治療戦略と思われる.

症例報告
  • 永薮 和也, 小野 滋, 河原 仁守, 馬場 勝尚, 薄井 佳子, 柳澤 智彦
    2017 年 53 巻 5 号 p. 1019-1022
    発行日: 2017/08/20
    公開日: 2017/08/20
    ジャーナル フリー

    症例は6歳,女児.4歳時より左鼠径部の膨隆を認め,5歳8か月時に,左外鼠径ヘルニアの診断にてPotts法による根治術を施行した.術後,左鼠径部の膨隆の再発を認め再度外来受診された.内鼠径ヘルニアもしくは外鼠径ヘルニアの再発が疑われたが,術前の診察・超音波検査では診断が困難であった.再手術はまず,鼠径法によるアプローチを行った.内鼠径ヘルニアの所見は確認できたが,術後の癒着のため内鼠径輪の観察は困難であった.次に,腹腔鏡を用いて観察したところ内鼠径輪の閉鎖が確認でき,内鼠径ヘルニア領域の腹壁の脆弱性を認め鼠径法による所見と合致した.さらに,内鼠径ヘルニア領域だけでなく,内鼠径輪近傍にまで及ぶ広範な腹壁の脆弱性を認めたため,鼠径アプローチによるメッシュを用いた腹壁補強を施行した.その際,腹腔鏡下に腹壁の脆弱な範囲を正確に同定することが可能であった.術後,6か月が経過するが再発所見を認めていない.

  • 後藤 悠大, 堀 哲夫, 鈴木 恵子
    2017 年 53 巻 5 号 p. 1023-1026
    発行日: 2017/08/20
    公開日: 2017/08/20
    ジャーナル フリー

    神経線維腫症I型に随伴しない孤立性大腸神経線維腫を経験したので報告する.症例は11歳女児.間欠的な腹痛を主訴に当院救急外来を受診し,超音波検査で腸重積症と診断され入院した.注腸検査で結腸結腸型の腸重積を認め,非観血的整復を施行した際に陰影欠損を認めた.翌日腸重積の再発を認め造影CT検査を施行したところ重積腸管先進部に4 cm大の腫瘤性病変を認めた.再度非観血的整復を施行したが,10時間後に再々発を認めたため緊急手術を施行した.上行結腸に弾性軟の腫瘤を認め,上行結腸部分切除術を施行した.摘出した検体は免疫組織学的にS-100およびCD34が陽性であり神経線維腫と診断した.術後6日目に退院し,術後2年8か月現在再発は認めていない.孤立性小児大腸神経線維腫は初めての報告例であり非常に稀ではあるが,神経線維腫症I型を伴うか否かで術式・治療方針が異なるため注意が必要である.

  • 山根 裕介, 白石 斗士雄, 吉田 拓哉, 田浦 康明, 小坂 太一郎, 大畠 雅之, 江口 晋, 永安 武
    2017 年 53 巻 5 号 p. 1027-1031
    発行日: 2017/08/20
    公開日: 2017/08/20
    ジャーナル フリー

    小児大腸癌は診断時点で進行例が多く,予後不良と言われており,早期発見・治療が重要である.大腸癌の発症リスクに,5q21-22に局在するAPC遺伝子変異を原因としたAPC関連ポリポーシスがあげられる.APC関連ポリポーシスは家族性大腸腺腫症,Gardner症候群,Turcot症候群でみられることが一般的であるが,同部を含む染色体異常でも発症する.今回,5q欠失症候群(5q–)を有する若年男性に発症した直腸ポリープが,経過観察中断中に発癌したと考えられた直腸癌の1例を経験した.症例は19歳男性.生後4か月時,乳児健診で追視しないなどの異常を指摘され,5q–と診断された.9歳時,大腸内視鏡検査(CS)で大腸ポリポーシスを認め,定期フォローを計画していたが自己中断していた.19歳時,血便を主訴にCSを施行したところ,直腸に2型腫瘍を認め,生検で直腸癌と診断した.発癌リスクを有する場合,幼少期から厳重な経過観察が重要であると思われた.

  • 嶋田 圭太, 李 光鐘, 林田 信太郎, 猪股 裕紀洋
    2017 年 53 巻 5 号 p. 1032-1036
    発行日: 2017/08/20
    公開日: 2017/08/20
    ジャーナル フリー

    乳児初期の急性腹症において術前診断は困難なことが多く,治療介入が遅れることがある.虫垂と後腹膜との癒着による内ヘルニアで絞扼性イレウスをきたし緊急手術を要した症例を報告する.日齢44,女児.37週1日,2,052 gで出生.呼吸障害あり先天性筋強直性ジストロフィと診断.日齢44に発熱,腹部緊満が出現した.注腸造影で結腸の拡張はなく,上行結腸は狭小化を認め回腸末端は描出できず,上部消化管造影検査では十二指腸水平脚より肛門側は描出できなかった.アシドーシス,炎症反応の上昇を認め,絞扼性イレウスを疑い緊急開腹した.虫垂と後腹膜が癒着して形成されたヘルニア門に,回腸が上行結腸の外側から陥入し循環障害をきたしており,小腸切除及び虫垂切除を施行した.乳児早期の急性腹症は術前診断が困難であるが,内ヘルニアによる絞扼性イレウスを念頭に置き時期を逸しない手術を考慮すべきである.

  • 柿原 知, 田中 潔, 武田 憲子
    2017 年 53 巻 5 号 p. 1037-1041
    発行日: 2017/08/20
    公開日: 2017/08/20
    ジャーナル フリー

    術前画像検査の結果により頸部アプローチで根治術を施行したGross C型(Kluth IIIb3型)食道閉鎖症の1例を報告する.症例は胎児期に右肺低形成を指摘されていた双胎の第2子の女児.在胎37週2日,2,080 gで出生した.出生後胸部単純写真でcoil up signを認め,食道閉鎖症と診断した.肺と気管支の形態と呼吸状態の評価後に根治術を行う方針とし,日齢0に胃瘻造設術を施行した.この時の気管支鏡検査で気管分岐部の13 mm上方に気管食道瘻(TEF)が認められた.CTで上部食道盲端とTEFが第2胸椎のレベルに確認された.頸部アプローチが吻合しやすいと判断し,日齢5に頸部アプローチで根治術を施行した.鎖骨上縁の1 cm頭側,正中より左寄り約3 cmの前頸部横切開で手術を行った.現在術後1年であるが良好に経過している.術前の気管支鏡検査とCT検査が病型の把握の他,手術アプローチを決定するために有用と考えられた.

  • 野中 裕斗, 鈴東 昌也, 向井 基, 野口 啓幸, 後藤 倫子, 中目 和彦, 加治 建, 家入 里志
    2017 年 53 巻 5 号 p. 1042-1048
    発行日: 2017/08/20
    公開日: 2017/08/20
    ジャーナル フリー

    症例1,男児.胎児超音波検査で左胸腔内に囊胞性病変を指摘され,37週3,452 gで出生後,左下葉CCAM I型と診断された.新生児期に症状を認めなかったが,月齢3で囊胞感染によると考えられる肺炎に罹患した.月齢6に左下葉切除を施行した際の所見で,炎症による著明な癒着を認めた.症例2,女児.胎児超音波検査で両側の胸腔内に囊胞性病変を認め,36週2,128 gで出生後,左下葉全体と右S2領域に囊胞性病変を認め,両側CCAM I型と診断された.新生児期に症状を認めず,月齢11に左下葉切除,月齢14に右上葉切除と二期的に手術を行った.両側症例では切除肺を最小限にとどめ,残存肺機能を最大限残すために,感染による正常肺への影響のない早期手術が必要である.症例2では術前に認めた体重増加不良が,術後に改善を認めており,成長障害の解決の観点からも早期手術の必要性が再認識された.

  • 石本 健太, 古澤 敬子, 古賀 義法, 竜田 恭介, 財前 善雄
    2017 年 53 巻 5 号 p. 1049-1053
    発行日: 2017/08/20
    公開日: 2017/08/20
    ジャーナル フリー

    症例は11歳,Down症候群の男児.先天性十二指腸閉鎖症の診断で,他院にて1生日にDiamond吻合術を施行された.転居に伴い3生月に当科に紹介となった.経過は順調であったが,11歳時に黒色便と顔色不良を認め,当科を受診した.受診時,高度の貧血を伴う吻合部出血性糜爛を認めた.PPI内服による保存的治療で症状は軽快し,2か月後にPPI内服を中止した.しかし6か月後に吻合部潰瘍・糜爛の再発を認め,吻合部における食物や胆汁,胃酸の停滞が原因と考えられた.このためPPI内服に加えて,六君子湯や食事・体位指導を開始したところ,吻合部潰瘍の著明な改善を認めた.現在15か月経過しているが,症状の再発は認めていない.先天性十二指腸閉鎖症に対してDiamond吻合術を施行された症例では,吻合部狭窄を認めなくても消化液や食物残渣の停滞による潰瘍が発生しうるため長期間のフォローが重要であると考えられた.

  • 豊岡 晃輔, 中原 康雄, 片山 修一, 浅井 芳江, 上野 悠, 人見 浩介, 後藤 隆文, 青山 興司
    2017 年 53 巻 5 号 p. 1054-1058
    発行日: 2017/08/20
    公開日: 2017/08/20
    ジャーナル フリー

    症例は在胎24週6日,体重568 gで出生した一絨毛膜二羊膜性(monochorionic diamniotic,以下MD)双胎の第二児,双胎間輸血症候群(twin to twin transfusion syndrome,以下TTTS)の供血児.7か月健診で肝腫大を指摘され紹介となった.肝S5・6に腫瘤影を認め,肝芽腫PRETEXT IIと診断,化学療法と肝右葉切除術を行った.双生児は容姿と末梢血遺伝子検査からともにBeckwith-Wiedemann症候群(以下BWS)と診断された.BWSに関連する腫瘍発症リスクは同等と考えたが,MD双胎の一児のみに肝芽腫を発症した.患児は同胞に比べて出生時体重が低く,酸素投与と利尿薬投与期間が長かった.TTTSによる双児間の胎内環境の違いや新生児期集中治療の違いが肝芽腫の発症に関与した可能性が示唆された.

  • 齋藤 傑, 須貝 道博, 石戸 圭之輔, 小林 完, 木村 俊郎, 鍵谷 卓司, 吉田 達哉, 佐藤 健太郎, 袴田 健一
    2017 年 53 巻 5 号 p. 1059-1063
    発行日: 2017/08/20
    公開日: 2017/08/20
    ジャーナル フリー

    症例は日齢0の男児で,在胎40週2日,2,730 gで吸引分娩にて出生した.左頸部に腫瘤が認められ,呼吸障害を伴っており徐々に増悪したため,日齢2に気管内挿管を施行した.CT,超音波検査にて多房性腫瘤が認められ,リンパ管腫と診断し硬化療法を施行したが,縮小傾向は認められなかった.MRIにて傍咽頭間隙を中心とした多房性腫瘤が認められ,囊胞の一部が上~中咽頭にも認められた.上~中咽頭腫瘤が呼吸障害の直接的な原因と考えられたため,日齢31に内視鏡下腫瘤摘出術を施行した.病理組織診断は異所性グリア組織であった.新生児における傍咽頭間隙の異所性グリア組織の報告例は世界的にも20例未満であり,本邦報告例は1例のみである.画像上,リンパ管腫,奇形腫との鑑別が困難となるが,下顎骨変形を伴うことが特徴とされている.新生児における頸部腫瘤症例では本疾患を念頭に鑑別することが重要である.

  • 小川 雄大, 田原 和典, 金森 豊, 竹添 豊志子, 大野 通暢, 渡邉 稔彦, 菱木 知郎, 藤野 明浩, 義岡 孝子
    2017 年 53 巻 5 号 p. 1064-1067
    発行日: 2017/08/20
    公開日: 2017/08/20
    ジャーナル フリー

    症例は3歳女児,繰り返す発熱と咳嗽を主訴に近医を受診した.胸部X線検査で右上肺野に腫瘤性病変を認め当院紹介となった.胸部CT検査では右胸腔内に巨大な腫瘤を認め,縦隔は左前方に偏位していた.腫瘤は脂肪成分が主体で造影効果を認めず脂肪芽腫が疑われたが,悪性疾患も否定はできず,呼吸器症状の増悪もみられたため準緊急的に摘出術を行った.腫瘍は黄色調の広基性腫瘍であり基部は第4~5肋間であった.第5肋骨の変形と胸壁との強固な癒着が見られ,同部位が原発と考え,肋骨骨膜及び壁側胸膜も合併切除し腫瘍を摘出した.術後病理診断は脂肪芽腫であった.脂肪芽種は3歳以下の乳幼児の四肢に多く胸壁原発の報告は少ない.本例は術後再発率が低くないdiffuse typeで,胸壁に腫瘍残存の可能性があったことから,慎重な経過観察が必要である.

  • 濵田 洋, 濵田 吉則, 白井 剛, 髙橋 良彰, 坂口 達馬, 中村 有佑, 諸冨 嘉樹, 權 雅憲
    2017 年 53 巻 5 号 p. 1068-1072
    発行日: 2017/08/20
    公開日: 2017/08/20
    ジャーナル フリー

    鼠径管内に発生した非常に稀な海綿状血管腫(静脈奇形)の症例について報告する.症例は11歳の男子.乳児期からの左鼠径部腫脹を主訴に当院紹介となった.左鼠径ヘルニアの術前診断のもと鼠径部切開による手術を施行した.しかし,鼠径管内に青く透見される腫瘤を認めたため,精索静脈瘤を疑い初回手術を終了した.その後,再手術にて腫瘤全摘出を施行し,海綿状血管腫と診断した.小児の精索周囲に発生した血管腫は,本症例を含め文献上2例の報告に過ぎない.鼠径ヘルニアの術前検査における身体診察,病歴聴取は慎重に行うべきである.後方視的に,超音波検査で血管腫の特徴的所見である後方陰影の増強を認め,非典型的な鼠径ヘルニアにおいて重要な所見であると考えられた.

  • 天野 日出, 川嶋 寛, 田中 裕次郎, 出家 亨一, 藤雄木 亨真, 鈴木 啓介, 森田 香織, 岩中 督, 内田 広夫
    2017 年 53 巻 5 号 p. 1073-1078
    発行日: 2017/08/20
    公開日: 2017/08/20
    ジャーナル フリー

    症例はBeckwith-Wiedemann症候群の女児.4か月時に超音波検査で肝腫瘤を指摘され,CTで肝外側区域に長径3.7 cmの腫瘍を認めた.肝芽腫PRETEXT Iの診断で,シスプラチン単独療法4コースを行った.腫瘍縮小後,6か月時に腹腔鏡下肝部分切除術を施行した.臍を逆Y字型の皮膚切開で開腹しマルチチャンネルポートを挿入し,左右側腹部には5 mmポートを挿入し3ポートで手術した.肝十二指腸間膜をテーピング後,腹腔鏡用超音波探触子を用いて切離線を決定した.太い脈管はクリップで処理しながらvessel sealing systemで肝実質を離断し,標本は臍創部から摘出した.合併症はなく経過は良好で,術後にシスプラチン2コースを施行した.術後2年再発を認めない.適切な手術器具の使用により,小児肝芽腫において腹腔鏡下肝部分切除を安全に施行できた.

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