日本家政学会誌
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39 巻, 2 号
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  • 津久井 亜紀夫
    1988 年 39 巻 2 号 p. 89-97
    発行日: 1988/02/20
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    わが国の代表的栽培種 (No.1-6) と YEN品種 (No.7-15) の15品種甘藷を用い, セルロース, ヘミセルロース, リグニン, ペクチンを定量し, その合計値を DF量とした.これらの値について品種別, 塊根肉色刷, 収穫年度別, 栽培地別の比較を行った.さらにDF量とデンプン量の相関を示した.
    1) 千葉農業研究センター (1981年度産) の甘藷塊根中のDF量は, 乾燥重量あたリセルロースが 2.28±0.87% (平均値±標準偏差, 以下同じ), ヘミセルロースが1.11±0.67%, リグニンが 0.40±0.11%, ペクチンが0.92±0.64%, DF量が 4.85±1.95%であった. DF/CFは1.83±0.48であった.
    2) 品種別 : 千葉農業研究センター (1981年度産) の代表的栽培種と YEN品種の, それぞれの平均値を比較すると, セルロース, ヘミセルコース, リグニン, ペクチンは, いずれもYEN品種が高い含有量を示した.
    3) 塊根肉色別 : ペクチン量は赤紫色系に, ヘミセルロース量とセルロース量は橙色系が高い含有量を示した.
    4) 収穫年度別 : 気温が高く, 日射量が多く, ある程度降水量に恵まれた年は塊根が肥大し, 収穫量も多かった.このような年の甘藷は平年に比べてセルコース, ヘミセルロースおよびヘキサメタリン酸可溶性ペクチン量のDFは少なかった.
    5) 栽培地別 : ヘミセルロースとリグニンの含量に差が認められたが, 他のDF量は差が認められなかった.
    6) DF量とデンプン量の間には負の高い相関が認められた.
  • 竹井 よう子
    1988 年 39 巻 2 号 p. 99-107
    発行日: 1988/02/20
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    鶏卵を用いた焙焼菓子の香りがよいことから, 鶏卵の中の, 香り向上作用を示す成分を検討した.卵黄, 卵白に分けると卵黄に, より効果的作用が存在し, 卵黄を溶媒抽出法によって7画分に分けると, タンパク質画分とリン脂質画分に作用が認められた.リン脂質画分と単純脂質画分をカラムクロマトグラフィーにより分画し, 薄層クロマトグラフィーにより成分を検討した.得られた画分のうちの5種とアルギニンを用いてグルコースとの焙焼テスト14種を行い, ヘッドスペースベーパーをガスクロマトグラフィーにより比較し, そのうちの3種について香気濃縮物を調製し, GC-MS分析を行いフラン化合物10種を含む28種の化合物を同定した.菓子香らしさを発現する成分として, フラネオール, シクロテン, 2, 5-ジメチルピラジンの存在が認められた.これら好ましい菓子香の生成には, アミノ酸やタンパク質などの窒素化合物, およびリン脂質など複合脂質の共存が有効であり, この場合単純脂質はその反応を促進することが示された.
  • 小麦でんぷん添加, 小麦粉の湿熱および脱脂処理の影響
    武田 紀久子
    1988 年 39 巻 2 号 p. 109-117
    発行日: 1988/02/20
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    小麦粉グルテン形成量の低下がスポンジケーキの膨化におよぼす影響を検討するため, (1) 小麦粉と小麦でんぷん混合粉, (2) 湿熱粉, (3) 脱脂粉を作製, 粉の成分特性およびスポンジケーキの品質を測定し, 次の結果を得た.
    1) 小麦粉に小麦でんぷんを添加した場合, 小麦でんぷんの増量に伴い, バッター比重, かたさおよび粘りの減少, ケーキ体積の増加, 最大膨化量および焼き縮み量の増加が観察された.
    2) 65~70℃湿熱粉では, 湿麸量の減少に伴い, バッター比重の減少およびケーキ体積の増加がみられた.
    3) ジエチルエーテル脱脂粉では, 湿麸量, バッター比重にはほとんど変化がなかったが, 最大膨化量, 焼き縮み量ともに大であり, ケーキ体積は小さかった.また, この脱脂粉ケーキの特徴は, 脱脂粉に抽出脂質を添加することにより消失した.
  • 木村 友子, 加賀谷 みえ子, 福谷 洋子, 小川 安子
    1988 年 39 巻 2 号 p. 119-125
    発行日: 1988/02/20
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    米粉蒸しカステラの実用的利用方法として, ガス高速レンジを用いてラスクに加工する目的で, 望ましい調製条件を追究し, さらに製品を缶とポリエチレンの容器に20±3℃で90日間保存して, その製品の性状, 食味の変化ならびに保存中の油脂の酸化について検討した.
    1) 望ましいラスクの調製法は製品の硬さや色調が優れ, 嗜好面からも有意に好まれる評価を得た125℃で20分間焙焼を最適調製条件とした.このラスクの折れ曲げ強度値と水分量においてy=23.08-1.29xの回帰式が得られ相関係数は-0.971の高い逆相関を示した.
    2) 大豆粉50%添加ラスクは米粉100%のラスクに比し, 1%の危険率で硬さが有意に好まれ, 色・風味に優れて糊化度も80%以上と高く, しかも栄養上望ましい.
    3) 90日間保存中の大豆粉50%添加製品は糊化度も80%と安定した値を保ち, しかも油脂の性状変化ではAV, PoV, CoVの値は経日とともに上昇したが, AVは1.0以下であり, 作成直後の製品に比し, 酸化促進の差はわずかで, 食味は総合評価で有意差なしと判定された.
  • セルロース繊維に対する熱処理効果 (第 2 報)
    中西 茂子, 山角 美恵子
    1988 年 39 巻 2 号 p. 127-137
    発行日: 1988/02/20
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    The studies on effects of thermal treatments on physical properties of the cellulosic fibers were continued to investigate effects of water on the physical properties of thermally treated cellulosic samples described in Part 1, since the participation of water can not be ignored.
    Investigations were successively carried out by observing tensile strength, elongation and swelling volume of the cellulosic samples thermally treated and followed by conditioning at 98 % RH to compare with those conditioned at 65% RH for an overall observation of combined effects of heat and water on tensile strength and elongation of cellulosic fibers.
    In higher humidities, thermally treated cotton showed a remarkable increase in tensile strength as well as in elongation because of a synergic effect of hydrogen bonds newly formed in the amorphous region by the thermal treatment and water molecules absorbed also in the amorphous region resulting in the formation of high order structure of cotton fiber.
    While in the case of viscose rayon, the water molecule gives a decrease in tensile strength but the thermal treatment contributes to increase in tensile strength to some extent through reduction of water content brought about by hydrogen bonds formed by the thermal treatment and left unbroken even after conditioning in any high humidity.
    In lower humidities on the other hand, contribution to increase in tensile strength is dominated by hydrogen bonds newly formed by heating, therefore, viscose rayon showed a considerable increase in tensile strength only if the water content is kept low, while cotton showed a reduction of increase in tensile strength without an aid of water.
    Furthermore, polynosic showed an intermediate behavior between cotton and viscose rayon in addition to similarities to both cotton and viscose rayon, but a typical behavior of polynosic is a markedly large reduction of tensile strength observed at 200°C and higher probably because of thermal and chemical degradations of the fiber.
    In most cases, elongation showed a correlation with tensile strength.
  • 縫い目の疲労について (第 1 報)
    石原 ミキ, 松川 三郎, 折戸 香詩子, 岩田 衣代
    1988 年 39 巻 2 号 p. 139-147
    発行日: 1988/02/20
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    ウールブロードを絹手縫い糸で, また晒木綿を綿手縫い糸で並縫いし, 繰返し引っ張った場合の縫い目の強度低下について次のごとき結果が得られた.
    1) 繰返し引っ張りによる縫い目の損耗には, 縫い糸が繰返し引っ張られることによる影響と, 織糸との摩擦による縫い糸の摩耗とが考えられ, 日常の動作や姿勢の変化で縫い目にかかる程度の荷重では, 前者はあまり大きくないが, 後者は非常に大きくなる場合がある.
    2) 繰返し引っ張りによる縫い輿の損耗は, 引っ張り荷重が大きいほど, また繰返し回数が増すほど大きくなるが, その程度は布と縫い糸の組合せによって異なり, ひずみ回復の大きなウールブロードを絹手縫い糸で縫った場合ではその影響がきわめて大きく現れたが, ひずみ回復の小さな晒木綿を綿手縫い糸で縫った場合は大きな損耗がみられなかった.
    3) ひずみ回復の大きな布地では織糸との摩擦による縫い糸の摩耗が大きくなりやすく, 縫い目開きが大きく現れる粗い針目の縫い目ほど, 引っ張り荷重や繰返し回数の増加に伴う縫い目の強度低下が大きくなる.
    4) 繰返し引っ張りによる縫い目の強度低下を小さくしたい場合は, 針目を小さくするほど有利であり, 従来新しい縫い目の強さを考える場合に重要とされた理想の針目数の選定は, 繰返し引っ張りによる縫い目の強度低下の点からもいっそう重要なことである.
  • 愛知・岐阜地方
    阪本 弘子, 佐野 恂子, 山田 令子
    1988 年 39 巻 2 号 p. 149-157
    発行日: 1988/02/20
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    愛知県・岐阜県に在住する女子短大生の母親424名を対象に, 和服の着用に関するしきたり, 結婚支度として和服を調製する程度, 衣裳みせの風習の3行動について調査し, 因襲にとらわれた日本の伝統的慣習がいかに受けとめられているかを考察した.方法としては, 和服に対する一般的態度とのクロス集計, 数量化第II類, 重回帰分析 (Fishbeiaの予測式) を行ったが, その結果は次のようにまとめられる。
    1) 和服着用に関するしきたりについて
    この行動意図は, 行動に対する態度よりも主観的規範の影響を強く受けて生起し, その結果, しきたりは改めたほうがよいという者が約半数であった.しかし, 残る半数は現状の肯定者であり, 古くからのしきたりは無視できないと考えられる.和服に対する一般的な態度との関係は, 好意的な者ほど現状を肯定しており, 主観的規範の影響も非好意的な者より強く受ける傾向が認められた.
    2) 結婚支度に和服を調製する程度について
    この行動意図は, 主観的規範よりも行動に対する態度の影響を強く受けて生起し, 「人並み」という中立的な者が大半を占める結果をみた.この行動も, 和服に対する一般的態度が好意的な者ほど, 「入並み~人並み以上」に調製しようとしている.また, 数量化第II類で分析した結果, この行動に強く影響を与えるアイテムは, 和服着用程度, 居住地, 世帯主職業, 世帯の全収入であった.
    3) 衣裳みせの風習について
    この行動意図は, 行動に対する態度と主観的規範が同程度に影響して生起するという特徴があるが, 結果としては衣裳みせはしないという者が大多数であった.和服に対する一般的態度との関係は, 好意的な者ほど, 衣裳みせを肯定している傾向が, わずかばかりみられた.
    今回の調査で取り扱った三つの行動は, いずれもその行動意図を形成する過程において, 自分の意志以外に世間体を配慮していることが明確である.このように本音と建前という相反する意識が交錯して実行に移るという一連の概念は, Fishbe海の予測式に示される (態度+規範=行動意図) に適合していると考えられた。さらに彼の予測式を特徴づける重回帰分析を適用することにより, 態度と規範の行動意図へのかかわり方を, 数量的に把握することができたといえよう.
  • 米ならびに米デンプンの調理科学的研究 (第13報)
    庄司 一郎, 倉沢 文夫
    1988 年 39 巻 2 号 p. 159-163
    発行日: 1988/02/20
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    もちおよびうるち玄米の古米の, 米ならびに米デンプンの理化学栓を明らかにする目的で, 一般成分, 白度, 糖類, ヨウ素吸収, アミ獄グラム, アミラーゼ活性などを調べ, 新米の米ならびに米デンプンとそれらの諸性状について比較した.
    1) ヨウ素の最大吸収波長は, もち米ではみられなかったが, うるち米では590nm付近にみられ, 吸収強度ではもち米は低く, うるち米は高かった.また, もちおよびうるち米とも, 古米になると吸収強度が若干低下した.
    2) アミログラムからは, 最高粘度では, 新米同士の場合はうるち米が高い値で, もち米は低い値を示すが, 古米同士ではもちおよびうるち米ともだいたい同程度の値となり, もち米では古米のほうが新米より4倍ほど高い値を示していた.
    3) アミラーゼ活性では, 新米同士の場合はもち米はうるち米に比して高く, 活性比が異なっていたが, 古米同士ではもちおよびうるち米ともに低く, とくに, もち米では低い値を示した.
    4) もち米の場合, アミログラムにおける最高粘度は新米は低い値で, 古米は高い値となる要因について考察し, アミラーゼが関与していることを推定した.
  • 大前 貴之, 渡邊 敬子
    1988 年 39 巻 2 号 p. 165-169
    発行日: 1988/02/20
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
  • 岸本 幸臣
    1988 年 39 巻 2 号 p. 171-174
    発行日: 1988/02/20
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
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