親世帯と子世帯の同居は日本の伝統的な住まい方であるが, さまざまな社会状況の変化により, その在り方も変化してきている.
特に, 昭和40年代の高度経済成長期に急激な人口流入があった大都市及びその近郊地域では, 近年, その子世代が世帯形成期を迎えており, 地価高騰に伴う住宅取得難という事情もあって親世帯所有の土地に二世帯同居型の住宅を建築するケースが増加している.これらは, 「家」制度の元で伝統的に行われてきた親子世帯の同居とは違った新しい価値観での親子同居である.
旭化成ではこの新しい親子同居の住まいとして, ひとつ屋根の下でも親世帯, 子世帯がお互いの独立性を保ちながら快適に暮らすことのできる「二世帯」を昭和 48 年より提案してきた.
当研究所は, 二世帯住宅について, 建築学をはじめ, 心理学, 家族社会学など学際的な調査・研究を行い, 二世帯同居家族のより豊かな暮らしの実現に寄与することを目的として 1980 年 (昭和 55年) 5 月に設立された.
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