栄養と食糧
Online ISSN : 1883-8863
ISSN-L : 0021-5376
27 巻, 1 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
  • 小石 秀夫, 飯田 敏行, 芦田 輝子, 奥田 豊子, 吉村 寿入
    1974 年 27 巻 1 号 p. 1-5
    発行日: 1974/02/28
    公開日: 2010/02/22
    ジャーナル フリー
    成年男子学生4名に, 吸収窒素量にして0g, 3.6g, 5.2g, 7.6gおよび9.5g/dayの各種たん白レベルで約1週間食餌を与え, 同時に毎日10mgのriboflavinを与えて窒素とriboflavinの出納を検討した。さらに各食期で窒素出納が平衡を維持したとき, 約20gの全卵たん白質を与え, 前後3日間ずつの窒素出納とriboflavin出納の変化より, 体内の窒素量の変化とriboflavinとの関係を検討した。
    その結果,
    1. 吸収窒素量が多いほど体内に保留されるriboflavin量は多くなる。
    2. 過剰にたん白質を投与すると, riboflavinの排泄量は減少し, 体内保留量は増加する。投与されたたん白質の一部はriboflavinとともにおそらくはflavoproteinとして体内に蓄積する。過剰に投与されたたん白の窒素1g当りのriboflavin体内保留量は, 無たん白食期を除き食餌性吸収窒素量と負の相関関係がある。
    riboflavinの体内保留量とそれにともなうたん白質の蓄積量との間には正の相関関係があるが, 食餌性吸収窒素量が0g, 3.6gおよび5g/day以上の群は異なった相関関係を示す。
    3. 以上の成績より, flavoproteinが体内の易動性たん白質の重要な部分を占めることを推論し, かつ, これがたん白摂取量変動にともなってたん白代謝を調整する緩衡の作用を示す機能的な貯蔵たん白の役割を果たすと考えた。
  • 祐川 金次郎
    1974 年 27 巻 1 号 p. 7-11
    発行日: 1974/02/28
    公開日: 2010/02/22
    ジャーナル フリー
    Saccharomyces lactisから分離されたラクターゼ製剤の牛乳に対する利用性を検討し, つぎのような結果を得た。
    1) ラクターゼの力価は35, 800ONPG/g. グルコースの定量はFarb-Testを用いた。
    2) ラクターゼ0.5, 1.0および2.0mg/mlをそれぞれ加えて, 37℃, 0~60分間反応させた場合, 1.0mg/mlの条件では約30分間で牛乳中の乳糖は完全に加水分解される。
    3) 用いたラクターゼ製剤は, 牛乳たん白質に対して分解作用を示さなかった。
    4) ラクターゼ処理乳は, 95℃, 10分間以上の加熱で褐色化する。
    5) ラクターゼ処理乳の風味上の欠陥は認められない。 甘味度はラクターゼ処理条件にともなって増加する。
  • 大中 政治, 毛利 高二, 臼井 史生
    1974 年 27 巻 1 号 p. 13-19
    発行日: 1974/02/28
    公開日: 2010/02/22
    ジャーナル フリー
    基礎代謝測定時と同じ条件の下で測定された臥位安静時代謝は体温その他, 身体的機能の日内変動や代謝過程の推移に伴って, どのような逐時的変化を示すかを追求し, 大要次のような結果を得た。
    1) 臥位安静時代謝は基礎代謝測定後逐時的に増高し, 16時, 19時および22時にはそれぞれ10%, 17%, および20%の亢進を示した。 この代謝亢進は体温の上昇度やRQの低下度からある程度推定できるが, 19時以後では全血比重や血中ケトン体が増大することにより推定値よりも高い代謝亢進を示した。
    これは脱水や脂肪の異常代謝によるストレスなどによるものではないかと考える。
    2) 臥位安静時代謝とその逐時的変化を招来すると考えられる諸要因との間には時系列的に次のような相関関係がみられた。
    血漿FFA0.98 最高血圧0.82
    血中ケトン体0.97 体温0.79
    血糖-0.95 全血比重0.99
    RQ-0.90 脈拍数0.74
    また, 因子分析の結果, 脂肪代謝に関係のある因子と水分代謝に関係のある因子がおのおの独立した因子になっていることがわかった。
    3) 16時に150mlのぬるま湯を与えたところ, 一時的に体温が下降し, 血糖および血漿がFFAが上昇し, 全血比重が低下して水分代謝に多少の影響がみられたが, 安静時代謝の逐時的変化過程には大した影響がみられなかった。
  • 川端 晶子, 澤山 茂
    1974 年 27 巻 1 号 p. 21-25
    発行日: 1974/02/28
    公開日: 2010/02/22
    ジャーナル フリー
    1) 追熟によって, 澱粉から糖への成分転換が行なわれ, とくに7日目以後が顕著である。 試料間における糖含量の大きな差は認められなかったが, フィリピン産バナナの糖含量が比較的高かった。
    2) pHおよび酸度の変化では, 5日目ないし7日目にややpHが低く, 酸度を増す傾向にあり, climacteric riseの現象との一致の傾向を推測できる。
    3) バナナ果実の果肉と果皮の割合は, 平均して, 果肉60.7~62.2%, 果皮39.2~37.8%である。
    4) 追熟に伴い, 全ペクチン量は漸減し, とくに追熟後半で減少する傾向にあるが, 本追熟条件において適食期である9日目の全ペクチン含量は, エクアドル産バナナ果肉0.55%, フィリピン産バナナ果肉0.66%, 台湾産バナナ果肉0.68%であった。
    抽出区分の比率では, P-S区およびH-S区は, 追熟によって減少し, W-S区は増加するが, これは, 果肉が漸次軟化していくことを実証している。 バナナのペクチンを利用する調理加工には, 最も適した追熟条件を選定する必要があろう。
    5) 果皮中のペクチン含量は概して少なく, 追熟中の変化も顕著ではない。 抽出区分ではH-S区が最も多く, プロトペクチンの多いことを示している。
  • 豊田 正武, 山内 邦男
    1974 年 27 巻 1 号 p. 27-31
    発行日: 1974/02/28
    公開日: 2010/02/22
    ジャーナル フリー
    人個乳の酸凝固性の相違に影響する要因を検討するため, pH4.6で酸凝固しやすい個乳試料と酸凝固しにくい個乳試料について, 電気泳動パターン, 電気伝導度, プロテアーゼ活性を比較した。ゲル電気泳動パターンから, 酸凝固しにくい人乳のほうがカゼイン含量が少ないと思われた。酸凝固しにくい人乳の場合, 概して電気伝導度およびプロテアーゼ活性が高く, 10%TCA可溶性窒素化合物も多いようであった。また塩添加により人乳は酸凝固しにくくなったが, 乳糖を添加しても酸凝固性は変化しなかった。これらの結果は, 人乳の酸凝固性がおもにそのカゼイン含量, 非たん白態窒素化合物含量または塩イオン濃度等から成るさまざまな要因により相互に影響されることを示している。
  • 中原 経子
    1974 年 27 巻 1 号 p. 33-36
    発行日: 1974/02/28
    公開日: 2010/02/22
    ジャーナル フリー
    1) 植物性食品中の蓚酸含量をBergermanとElliotのインドール比色法で測定した。この結果蓚酸を多く含んでいるもので無水物として1%以上にアカザ, ツルナ, 煎茶, 1~0.5%にホウレンソウ, ショウガ根, フダンソウ, タケノコ, ハマボウフウ, ミョウガ, イタドリがあった。
    2) ミツバについては2月の市販温室物で微量であったが, 8月の採取品では総蓚酸0.135%と多くなっていた。
    3) コンニャクイモ, タケノコにも多いが, 市販コンニャクでは0, タケノコ水煮缶では0.165%と少なかった。
    4) キノコ類4種では少なかった。
    5) イモ類は0.1%前後の蓚酸を含んでいた。
    6) 以上は生の食品中の蓚酸で, これは調理加工によりかなり除くことができるので, 多いものはゆでたり水にさらすと摂取時にはかなり少なくすることができる。
  • 中原 経子
    1974 年 27 巻 1 号 p. 36-38
    発行日: 1974/02/28
    公開日: 2010/02/22
    ジャーナル フリー
    1) 緑茶中の蓚酸含量をBergermanとElliotのインドール比色法により測定した。その結果可溶性蓚酸を多く含むものは玉露, 粉茶, 芽茶であり, 次に抹茶, 煎茶, くき茶にも多く, 番茶は少なく玉露の1/2, ほうじ茶はさらに少なく玉露の約1/5であった。
    2) 緑茶浸出液中の蓚酸含量は, 3gの葉に100℃, 180mlの蒸留水を加えて1分間浸出したが, その結果, 粉茶, 抹茶はとくに多く, 100ml中17mg前後, 玉露では8.5mg煎茶は4.7mgであった。これも番茶, ほうじ茶が少なく, 蓚酸の点からは番茶やほうじ茶をのむほうが好ましい。しかし煎茶でも180mlを茶わん1杯として約8.5mgの蓚酸であり, とくに多く摂取しなければ心配するほどの量ではないものと思われる。
    3) 浸出時間による蓚酸の溶出量では初めの5分に7.7mgでこれは15分の約73%であった。
    4) 浸出回数による蓚酸の溶出量では, 初めの2回に合わせて全溶出量の76%と多くが溶出された。
    5) 浸出温度による蓚酸の溶出量では, 80℃において100℃の場合の81%が溶出された。
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