栄養と食糧
Online ISSN : 1883-8863
ISSN-L : 0021-5376
32 巻, 1 号
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  • 五島 孜郎
    1979 年 32 巻 1 号 p. 1-11
    発行日: 1979/12/10
    公開日: 2010/02/22
    ジャーナル フリー
  • 小田 圭昭, 富岡 芳雄
    1979 年 32 巻 1 号 p. 13-19
    発行日: 1979/12/10
    公開日: 2010/02/22
    ジャーナル フリー
    大根を10日間塩蔵したときの成分, とくにペクチンの変化と, それに関係する2, 3の酵素活性の変化をしらべ, 以下の結果を得た。
    1) 塩蔵に伴い, 水分の減少, 灰分の増加を示したが, 塩蔵5日目ぐらいでほぼ平衡に達した。粗たん白, 粗繊維, 可溶性無窒素物, 粗脂肪には変化は認められなかった。
    2) 炭水化物成分の量, 水溶性, 0.2%シュウ酸アンモニウム溶性各ペクチンの量には大きな変化は見られなかったが, 0.5%シュウ酸アンモニウム溶性ペクチンは減少する傾向を示し, 0.05N塩酸溶性ペクチンはやや増加した。
    3) ポリガラクチュロナーゼ活性は, 塩蔵3日目以後検出することはできなかった。α-アミラーゼの活性は, 塩蔵期間を通じて変化しなかった。
    4) ペクチンメチルエステラーゼの活性は, 塩蔵2日目から急増し, 5日目に最高に達した後, 急速に減少した。ペクチンのメトキシル基含量は塩蔵によって減少し, とくに0.05N塩蔵溶性ペクチンでその傾向は著しかった。各ペクチン分画のウロン酸含量には変化は認められなかった。
    5) 0.05N塩酸溶性ペクチンのDEAE-セルロースイオン交換クロマトグラフィーで, 主成分の保持容量は約50ml増加した。
    6) 0.05N塩酸溶性ペクチンの粘度は塩蔵に伴って増加した。
    7) 大根のカルシウム含量は増加した。
    以上の結果から, 塩蔵による大根の物性の変化には, 大根ペクチンのメトキシル基含量の減少に伴うペクチン粘度の増加と, カルシウム含量の増加に伴うペクチンの網状化度の高度化が大きく影響しているものと推定した。
  • 山本 由喜子, 豊島 良吾, 村松 敬一郎
    1979 年 32 巻 1 号 p. 21-28
    発行日: 1979/12/10
    公開日: 2010/02/22
    ジャーナル フリー
    5%L-チロシンを含む10%カゼイン食 (10C5T) にカゼインまたはメチオニンとスレオニンを添加するとチロシン過剰障害は克服されるが, これらの効果を明らかにするため, 14C-チロシンを用いてその酸化能を測定した。
    本実験では, 10C5T食にカゼインまたはメチオニンとスレオニンを添加した飼料 (30C5Tおよび10C5TMet Thr) を幼ラットにad libに与え, 1または2週間後12時間絶食させ最終飼料を一定量 (3.0g) 摂取させた直後L-チロシン-U-14Cを腹腔内注射し, 呼気14CO2の排出を10時間にわたって測定した。その結果呼気への14CO2排出はいずれの群も早く, 14C-チロシン投与後1~2時間で最大になり以後急速に低下した。またチロシン添加群 (10C5T, 10C5T Met Thr, 30C5T) は全群とも呼気14CO2の排出率が高く, 一方チロシン無添加群 (10C, 10C Met Thr, 30C) は体たん白質やTCA可溶分画に多く取り込まれた。チロシン添加群間で比較すると, 10C5T群にくらべてカゼイン (30C5T) またはメチオニンとスレオニン (10C5T Met Thr) の添加により呼気への14CO2の排出率は増大せずむしろやや低下した。これは, 高チロシン食を一定量摂取直後一時的にチロシン酸化能が増し, チロシン添加群はいずれも呼気CO2への排出率が高くなったためと考えられる。
    一方, 10C5T Met Thr群は体たん白質への14C-チロシンの取り込みの促進がみられ, 尿中への放射能の排出は各群とも大差なく投与量の2~4%にすぎなかった。また全体の回収率は98~104%であった。
  • 林 国興, 冨田 裕一郎
    1979 年 32 巻 1 号 p. 29-34
    発行日: 1979/12/10
    公開日: 2010/03/26
    ジャーナル フリー
    本実験の目的は, マウスの成長ならびに肝臓アルギナーゼ活性に対する甲状腺ホルモンの作用と成長段階および摂取たん白質レベルとの関係を明らかにすることである。
    最初に, 成長段階との関係を明らかにする目的で, 23, 33および60日齢の雄マウスにL-サイロキシンナトリウム (10μg/100g B. W. 腹腔内注射) あるいは2-チオウラシル (飼料に0.05%混合) を投与することにより, それぞれhyperthyroidismおよびhypothyroidismの状態にし, 7日間, ad-lib feedingによって飼育して, 増体と肝臓アルギナーゼに対する影響を調べた。
    その結果, サイロキシンによって, 増体は23日齢では促進され, 60日齢では抑制された。また, 33日齢ではチオウラシルによって増体が抑制された。
    肝臓アルギナーゼ活性は, 成長段階にかかわりなく, サイロキシンによって減少し, チオウラシルによって増加した。
    次に, 摂取たん白質レベルとの関係を明らかにする目的で, たん白質含量の異なる飼料 (5~35%) を給与した25日齢の雄マウスに, 先の実験に準じて, それぞれサイロキシンを投与し, 増体と肝臓アルギナーゼに対する影響を調べた。
    その結果, たん白質の摂取が十分な条件では, サイロキシンによって増体が促進されたが, たん白質の摂取が不足の条件では, サイロキシンによって増体は抑制された。肝臓アルギナーゼ活性は, たん白質の摂取が十分な条件では, 先の実験と同様に, サイロキシンによって減少したが, たん白質の摂取が不足の条件では, 逆に, サイロキシンによって増加した。
  • 片山 (須川) 洋子, 森田 信子, 西坂 明美
    1979 年 32 巻 1 号 p. 35-39
    発行日: 1979/12/10
    公開日: 2010/02/22
    ジャーナル フリー
    小腸のeverted sacにおける果糖の輸送が白ネズミを高果糖食で飼育した場合に増大することを観察した。
    1) 5週齢のSprague Dawley系雌白ネズミを高果糖食または高ブドウ糖食で2週間meal-feeding (9時~12時) した。
    2) 小腸のeverted sacを作製し, 反応液中に1mM果糖, 20mM NaFを加えて37℃でincubationし, everted sacへの果糖のとりこみを経時的に測定した。
    3) everted sacへの果糖のとりこみは, 高果糖食で飼育された白ネズミでは高ブドウ糖食のものよりも大きい値を示した。
    4) NaFの添加によってeverted sac中のATPase活性が高果糖食群では低下した。とくにNa+, K+-ATPaseの低下が著しかった。
    5) 反応液に2, 4-dinitrophenolを添加すると, everted sacへの果糖のとりこみが減少した。
  • 梶本 五郎, 池辺 洋子, 吉田 弘美, 山庄司 志朗, 古武 弥人
    1979 年 32 巻 1 号 p. 41-46
    発行日: 1979/12/10
    公開日: 2010/02/22
    ジャーナル フリー
    数種のアミノ酸の代謝産物について, 豚脂に対する抗酸化性をAOM試験で求め, 当該物質の電子供与能を調べ抗酸化力を測定する方法としてDPPH法を用い検討した。
    1) Trpからセロトニンまでの代謝産物の抗酸化性は, 5-OH-インドール酢酸およびセロトニンなどが強い抗酸化力を有していた。
    2) Proならびにその代謝産物の抗酸化力はPro, 5-OH-Pro, ピルビン酸, グリオキザル酸の順であった。
    3) Pheならびにその代謝産物の抗酸化力は, ホモゲンチジン酸, 2, 5-OH-フェニールピルビン酸などが高く, Pheのみ抗酸化効果にAOM試験とDPPH法の両測定間で相違していた。
    4) 含硫アミノ酸代謝産物の抗酸化性は, システインとホモシステインが強い抗酸化力を示した。
    5) Thrならびにその代謝産物のうち, ケト酪酸を除いて両測定法で求めた抗酸化力は, Gly, アミノ酪酸などが高い抗酸化効果を示した。6) アミノ酸代謝産物のうち, 抗酸化力にすぐれていたホモゲンチジン酸, ホモシステイン, 3-OH-An. Aなどを選び, また, 対照にδ-Tocを用い180℃で5時間加熱後の熱安定性をAOM試験で比較した。ホモゲンチジン酸, 3-OH-An. Aはδ-Tocよりも熱安定性が高く, 逆にホモシステインは低かった。
  • 中谷 千絵, 唐沢 郁夫
    1979 年 32 巻 1 号 p. 47-53
    発行日: 1979/12/10
    公開日: 2010/02/22
    ジャーナル フリー
    クロロゲン酸の緑変機構を明らかにする研究の一環として, まず, 室温で, 数種のアルカリ性水溶液におけるクロロゲン酸の経時的な変化, およびクロロゲン酸と含窒素化合物との反応で起こる緑変について, 紫外・可視領域の分光測定的検討を行なった。
    pH 9付近のMenzel緩衝液, 炭酸ナトリウムアルカリ性水溶液におけるクロロゲン酸の吸収の最も強いλmaxは, 水溶液中での場合より, 42nm長波長領域ヘシフトすることが観察された。またクロロゲン酸の吸収スペクトルの経時的変動について, pH 9付近のMenzel緩衝液, 炭酸ナトリウム, 炭酸水素ナトリウムなどのアルカリ性水溶液中での検討から, クロロゲン酸は366nmにλmaxを示す黄色を呈する物質 (366物質) に変化し, このものを経て自動酸化されることが明らかになった。
    そして, 366物質があらわれているときにアラニン, フェニルアラニン, グルタミン酸およびメチルアミンなどを添加した場合だけ, 新たに可視領域に特徴的なλmax 675~695nmを示す緑色液が得られた。また, 上記緑色液のλmax 675~695nmの吸光度は, いずれの含窒素化合物を用いたときも, λmax 366nmの吸光度の減少に対応して増加していくことが認められた。
    したがって, pH 9付近のアルカリ性水溶液中で生じる366物質が, アラニン, フェニルアラニン, メチルアミンなどのアミノ基をもつものと反応し, 緑変することが明らかになった。
  • 八木 典子
    1979 年 32 巻 1 号 p. 55-60
    発行日: 1979/12/10
    公開日: 2010/02/22
    ジャーナル フリー
    PCB, DDTその他関連有機塩素系薬剤をラットに与えて飼育し, ビタミンB1代謝について検討し, 以下の結果を得た。
    1) PCB, DDT投与ラットでは, 血液および肝臓中ビタミンB1量が低下し, 血球・肝臓中transketolase活性も低下した。一方, TPP効果は上昇した。したがって, PCB, DDT投与ラットはビタミンB1欠乏の状態になっているものと考えられる。その他の薬剤には, このような作用は認められなかった。
    2) PCB投与ラットでは, 坐骨神経中, DDT投与ラットでは脳中のビタミンB1量が低下していた。
    3) PCB, DDT投与ラットでは, 屎中・尿中ビタミンB1には変化が認められず, ビタミンB1腸管吸収の障害はないと考えられた。
    4) 遊離の塩素はビタミンB1を直接分解し, trans-ketolase活性を阻害する作用があるが, PCB・DDTなどにはこのような作用はほとんどないことがin vitroの実験で明らかにされた。
  • 小此木 成夫, 清沢 功, 湧口 浩也, 早沢 宏紀
    1979 年 32 巻 1 号 p. 61-65
    発行日: 1979/12/10
    公開日: 2010/02/22
    ジャーナル フリー
    人乳のリパーゼの脂肪分解作用について, 新鮮な人乳60検体を用いて検討し, 次の結果を得た。
    1) 人乳中リパーゼは, Caや血清アルブミンによっては, ほとんど活性化されないが, コール酸, デオキシコール酸あるはタウロコール酸などの胆汁酸によって活性化され, 著明に高い脂肪分解活性を示した。
    2) コール酸の存在下で, 人乳リパーゼは, pH 7.8~8.8で最大の脂肪分解活性を示した。また, pH 9.5以上のアルカリ側では, ほとんど活性を示さなかったが, 酸性側では比較的安定であり, pH 4.0においても, 脂肪分解作用を示した。人乳リパーゼの活性は, 55℃, 10分間あるいは, 60℃, 2分間の加熱により消失した。
    3) 5μmolコール酸添加およびコール酸無添加反応系において, 37℃, 120分間インキュベートした場合, 人乳1.0mlから, それぞれ, 36.1±5.0μmol, 4.3±3.2μmolの脂肪酸が遊離した。このときの遊離脂肪酸生成量から, 算出される人乳脂肪の分解率は, それぞれ, 33.9±7.2%, 3.9±3.2%となった。
    4) コール酸を添加した場合, 人乳リパーゼの脂肪分解活性と泌乳期の間には, 危険率1%以下で有意な相関性が認められた (r=-0.437)。人乳リパーゼの脂肪分解活性と人乳の脂肪あるいは総窒素含量との間には, 危険率1%以下で有意な相関性が認められた (それぞれ, r=0.595, r=0.541).
  • 1979 年 32 巻 1 号 p. 74
    発行日: 1979年
    公開日: 2010/02/22
    ジャーナル フリー
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