一過性脳虚血発作 (TIA) の発生病理を知る目的で, 慢性期のTIAと脳梗塞における種々のヘモレオロジー的因子と血小板機能を検索し, 両者の発生病理上におけるこれらの因子の意義を比較検討した. (1) ヘモレオロジー的因子では, 両者ともに, ヘマトクリットの高値を主因とする血液粘度の高値を認めた. (2) 血小板機能では, 両者ともに, 血小板凝集能の充進, 循環凝集血小板の増加, および血漿von Willebrand 因子活性 (FVIIIR : WF) の増加を認めた. (3) しかるに, 両者の間にこれらの因子の有意差は認めなかった.以上より, TIAの発生病理上のこれらの因子の意義は, 脳梗塞と共通していると考えられた.すなわち, TIAの発生要因としては, まず, 血小板機能の充進が重要であり, 血液粘度の高値やFVIIIR : WFの高値は, それぞれ, 物理的, 化学的な機序を介して血小板機能を賦活していることが示唆された
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