脳卒中
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2 巻 , 1 号
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  • 斉藤 武志, 田辺 貴丸, 宮坂 佳男, 大和田 隆, 矢田 賢三
    1980 年 2 巻 1 号 p. 1-7
    発行日: 1980/03/25
    公開日: 2009/09/03
    ジャーナル フリー
    症例は39歳男性.52. 5. 17, 突然, 頭痛,嘔吐,左半身の麻痺で発症し, 第7病日に当科へ入院した.入院時, 意識障害 (半昏睡) および顔面を含む左半身の片麻痺と感覚障害を認めた.右総頚動脈写上, “モヤモヤ” 病に特徴的な内頚動脈C1部の閉塞と脳底部の異常血管網および被殻部の巨大な脳内血腫を示す所見であった.緊急手術にて血腫を除去したのち直ちにSTA-MCA anastomosisを行った.術後の経過は順調で,左上肢にごく軽度の脱力を認めるのみで元の職場に復帰した.術後6ヵ月目に行った追跡脳血管写上,浅側頭動脈の著明な拡大を認め,これを介して中大脳動脈の全枝が造影されていた.また初回検査時に認められた“モヤモヤ” 血管群がほぼ完全に消失していた.この所見から,STA-MCA anastomosisによるbypass作製術が,“モヤモヤ” 病症例に対し,血行改善と再出血防止の両方の意味から有力な治療法になり得ることを指摘した.
    (1) 39歳男性.脳内血腫を伴った, いわゆる “モヤモヤ” 病症例に対し, 血腫を除去したのち直ちに, STA-MCA anastomosisを行ったので報告した.
    (2) 術後6ヵ月の追跡脳内血管写上, 術前認められた脳底部異常血管網のほぼ完全な消失とSTAの著明な拡大を認めた.この所見からSTA-MCA anastomosisによるbypass作製術が, “モヤモヤ” 病に対し, 血行改善と再出血防止の両方の意味から有力な治療法になり得ると考えられた.
    本論文の要旨は, 第3回日本脳卒中学会 (昭和53年, 秋田) にて発表した.
  • 立花 久大, 海老原 進一郎, 中原 克彦, 新美 次男, 岡安 裕之
    1980 年 2 巻 1 号 p. 8-13
    発行日: 1980/03/25
    公開日: 2009/09/03
    ジャーナル フリー
    虚血性脳血管障害患者の長期予後と脳循環との関係を全脳循環の立場から検討した.対象は発作後1~6ヵ月 (平均62.7日) の間に脳循環を測定した天幕上虚血性脳血管障害のうち, 機能予後に関するアンケート調査の解答を得た46例である.脳循環測定よりアンケート調査までの期間は2年以上で, 脳循環代謝諸量はN2O法慶大変法を用いて測定した.その結果, 歩行機能, 箸使用, 言語機能, 尿又は大便失禁のいずれにおいても, 機能予後良好群の方が, 機能予後不良群に比し, 脳循環代謝諸量が高値であった.多変量解析を用い検討すると, 尿又は大便失禁の有無が脳循環代謝諸量 (特に脳血流量) と最もよく相関した.以上より, 1ヵ月以上の慢性期における脳循環代謝諸量は天幕上虚血性脳血管障害患者の長期機能予後を推定する指標になりうると考えられる.
  • 芳賀 博, 松崎 俊久, 籏野 脩一
    1980 年 2 巻 1 号 p. 14-21
    発行日: 1980/03/25
    公開日: 2009/09/03
    ジャーナル フリー
    昭和44年より3年間にわたり12県で試みられた「脳卒中予防特別対策」は, いまだに十分な評価がなされていない.我々は, 今後の高血圧地域管理の参考とする目的でその効果について評価を試みた.特対地区と同一県内にある非特対地区を郡部, 市部にわけこれらを対照として昭和44年~50年にいたる45~64歳の脳卒中死亡率, 総死亡率の変化を比較検討した.その結果,
    1) 総死亡率, 脳卒中死亡率は, 特対地区, のみならず非特対地区においても著しく減少した.この傾向は女子にとくに強かった.
    2) 脳卒中死亡率の総死亡率に占める割合は特対地区, 非特対地区を問わず減少した.
    3) 特対地区の脳卒中死亡率は, 非特対地区に比して低下する傾向をみた.しかし, 特対地区と非特対地区に共通の減少部分の方が遙かに大きく両地区の差, すなわち特対固有の効果は僅かであった.
    わが国で昭和44年以降3年間にわたって12県で実施した特対については, いまだ十分な評価がなされていない.本報告は, その効果についてできるだけ客観的な評価を行ない, 今後の地域高血圧管理の参考とすることを目的とした.効果判定には, 特対を施さなくとも自然に変化する部分を除去しなければならない.特対の正味の効果は特対地区と非特対地区の成績の差にある.そこで我々は, 特対地区と同一県内にある非特対地区を郡部, 市部にわけ, これらを対照として昭和44年~50年にいたる45~64歳の脳卒中死亡率, 総死亡率の変化を検討した。その結果
    (1) 総死亡率, 脳卒中死亡率は, 特対地区, 非特対地区ともに著しく減少した.この傾向は女子にとくに強かった.
    (2) 脳卒中死亡率の総死亡率に占める割合は特対地区, 非特対地区を問わず減少した.
    (3) 特対地区の脳卒中死亡率は, 非特対地区に比して低下する傾向をみた。しかし, 特対地区と非特対地区に共通の減少部分の方が遙かに大きく, 両地区の差, すなわち特対固有の効果は僅かであった.
  • 杉 東明, 山口 武典, 長木 淳一郎, 菊池 晴彦
    1980 年 2 巻 1 号 p. 22-27
    発行日: 1980/03/25
    公開日: 2010/01/22
    ジャーナル フリー
    両側頚動脈撮影が行われた73症例について, 頚動脈音記録 (carotid phonoangiography, CPA) および眼球容積脈波記録 (oculoplethysmography, OPG) を行い, 頚動脈狭窄の有無を非観血的に判定した.それらの結果を血管撮影でみられた狭窄の程度と比較し次の結果を得た.
    CPA, OPGで正常とされた42例のうち, 19例には全く頚動脈病変がなく, 19例は50%未満の狭窄であり, 計38例, 91%には有意な狭窄がなかった.CPA, OPG異常群31例では完全閉塞17例, 50%以上の狭窄8例で, 81%に有意な狭窄がみられた.
    一方, 血管撮影で50%以上の狭窄があった29例中25例, 86%はCPA, OPGで異常と判定され, 50%未満の44例中38例, 86%が正常と判定された.なお, 合併症は全くなかった.
    これらの方法は合併症がなく, 簡便で反復検査が容易であるため, 頚動脈狭窄患者のスクリーニング, 長期観察に極めて有用である.
  • 篠原 幸人, 吉井 文均
    1980 年 2 巻 1 号 p. 28-32
    発行日: 1980/03/25
    公開日: 2009/09/03
    ジャーナル フリー
    クモ膜下出血病初期に著明なlactic acidosisを呈した症例を報告する.症例は41歳男性。買物途中, 突然意識を消失し, 同日当院へ入院.血圧90/60mmHg, 呼吸数32/分, 網膜前出血
    (+), 両下肢は弛緩性麻痺.髄液血性.入院時, 動脈血pH7.343, Pco2 24.7mmHg, HCO3-13.1mEq/L, lactate>79mg/dl.血清amylaseが第5病日に一過性に増加し, 第9病日に死亡した.剖検上, クモ膜下腔に出血著明, 前交通動脈の動脈瘤破綻と考えられた.膵頭部に限局した急性膵炎及び後腹膜の軽度出血を認めたが, ともにlactic acidosis出現以後のものと判断した.
    クモ膜下出血に伴ったlactic acidosisの報告は従来みられないが, 本例の場合は他に原因疾患がなく, クモ膜下出血自身に基づくlactic acidosisと推定された.lactic acidosisの存在は病気の予後を左右する重要な因子となりうるので, 本例は今後のクモ膜下出血の診断・治療に当って, 留意すべき点を数多く含む症例と考えた.
  • 関 隆郎
    1980 年 2 巻 1 号 p. 33-41
    発行日: 1980/03/25
    公開日: 2009/09/03
    ジャーナル フリー
    脳循環調節機序における自律神経系の役割を明らかにする目的で, 成熟猫13匹を用い, 強力なdopamine-beta-hydroxylase阻害剤であるfusaric acidの脳血管におよぼす影響を検討した.fusaric acidの静脈内投与により, 脳血管が拡張し脳血流は有意に増加した.次いで脳血管のCO2反応性をDBH阻害前後で比較した.Hypercapneaに対する脳血管拡張反応性は, DBH阻害後推計学的に有意に増大した.更にhypocapneaに対する脳血管収縮反応性についても, DBH阻害前後で比較した.DBH阻害後, 脳血管収縮反応性がやや増大する傾向をみせたが, 推計学的に有意ではなかった.
    以上のことより, 交感神経系は脳血管のtonusに関与しており, 更に脳血管のCO2 に対する拡張反応性に抑制的に作用しているといえる.
  • 小林 祥泰, 田崎 義昭, 神田 直, 古賀 平太
    1980 年 2 巻 1 号 p. 42-48
    発行日: 1980/03/25
    公開日: 2009/09/03
    ジャーナル フリー
    症例は36歳の主婦.脳出血にて死亡.剖検にて脳底部に無数の異常血管を認め, 内頚動脈は両側終末部で癩痕化し, 閉塞は起始部に及んでいた.内膜は硝子化を伴なった著明な線維性肥厚を示し, 内弾性板の断裂, 中膜の著明な菲薄化を認めた.アテローム, 炎症細胞は認められなかった.大動脈は特に弓部でアテローム斑が著明であり, 横隔膜穿通部に骨化を認めた.内膜肥厚の強い部位では中膜菲薄化, 外膜線維化, 栄養血管の内膜肥厚が著明であった.同様の変化を弓部分枝, 肺動脈等に認めた.以上の所見から本例の動脈病変は高安病と類似した血管炎と考えられる.しかし, 本例では内頚動脈終末部にも同様の機序によると思われる病変を認めた点で異なる.したがって広汎な全身性動脈炎が小児期に生じた可能性が強く, ウイリス輪閉塞症との関連からも興味深い症例と考えられる.
  • 朝長 正徳, 山之内 博, 東儀 英夫, 亀山 正邦
    1980 年 2 巻 1 号 p. 49-54
    発行日: 1980/03/25
    公開日: 2009/09/03
    ジャーナル フリー
    Binswanger病と極めて類似した病変 (Progressive subcortical vascular encephalopathy) を示した老年者45例につき臨床病理学的検討を行い, 次の結果を得た.
    1.本症が老年者で決して稀ではないこと (老年者剖検例の3.8%).
    2.神経精神症状として, 痴呆, 失禁, 片麻痺, 仮性球麻痺, 精神症状, パーキンソニズムなど, 従来, 臨床的に脳動脈硬化性痴呆, 脳動脈硬化性パーキンソニズム, 脳軟化症といわれたもののなかにこの様な例のあること, また, NPHの原因の一部に本症によるものが考えられること.
    3.本症の発症因子として, 高血圧の既往, 高度の脳動脈硬化, 白質小血管の肥厚狭窄に加えて, 老年者では血圧低下, 心疾患, 低栄養などの全身性合併症が大きな意義を有する可能性を指摘した.
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