脳卒中
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35 巻 , 6 号
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総説
  • 今泉 俊雄
    2013 年 35 巻 6 号 p. 397-405
    発行日: 2013/11/25
    公開日: 2013/11/25
    ジャーナル フリー
    要旨:Cerebral microbleeds (MBs)は高血圧性のmicroangiopathy,amyloid angiopathy が原因であるが,外傷など他の原因による微小脳内出血もMBs として報告されている.MBs は深部MBs (後頭蓋窩を含む)と皮質-皮質下MBs に分類して検討され,関連する危険因子などが明らかになっている.また,apolipoprotein ε4 や炎症との関連が新たに分かり,MBs の複合的な成因が理解されつつある.MBs 保有者は,脳卒中(特に脳内出血,ラクナ梗塞)の発症率,再発率が非保有者に比較して有意に高く,脳卒中発症の代用マーカーとして重要である.しかし,脳内出血発症率が高いMBs 保有者の抗血栓療法についての指針はなく,抗血小板剤,抗凝固剤の使用に関して迷うことも多く,更なる検討が必要である.MBs は,アルツハイマー型認知症(AD),脳血管性認知症共に関連する.
原著
  • 小野 恭裕, 守本 純, 久松 芳夫, 蔵本 智士, 勝間田 篤, 河内 正光, 松本 祐蔵
    2013 年 35 巻 6 号 p. 406-410
    発行日: 2013/11/25
    公開日: 2013/11/25
    ジャーナル フリー
    要旨:【目的】当院での症候性もやもや病症例の初発例と再発例を比較検討した.【方法】初回発症例37 例と2 回目以降の再発症例12 例の合計49 例を対象にした.【結果】初発例群の年齢は平均33.8 歳で,発症病型は虚血型27 例,出血型10 例であった.初発例群では若年者は虚血型が多く,年齢上昇とともに出血型発症が増えた.3 カ月後のmRS は平均1.57 で,出血型発症例は予後不良であった.再発例群の年齢は平均52.9 歳で初発例群より高く,発症病型は出血型が大半で,3 カ月後のmRS は平均4.16 と高く,初発例群に比べ有意に予後不良であった.再発例群のなかでも出血型は虚血型に比べ,転帰不良であった.虚血型発症例では血行再建術を行ったものは,行わなかったものより有意に再発率が低かった.【結論】もやもや病の再発時は初発時に比べ予後不良であり,虚血型発症例では初発時の血行再建の有用性が示唆された.
  • 萩原 のり子, 横山 信彦, 井林 雪郎
    2013 年 35 巻 6 号 p. 411-417
    発行日: 2013/11/25
    公開日: 2013/11/25
    ジャーナル フリー
    要旨:【目的】脳卒中回復期における再発例の患者背景と治療方針の実態を調査し,その特徴を検証した.【方法】2008 年から2012 年に当院回復期リハビリテーション病棟に入院した脳卒中患者連続1,301 例のうち,入院中に再発を来し急性期病院へ転院した16 例を対象とし,再発時の臨床背景や抗血栓療法の状況を後方視的に検討した.【結果】16 例の原疾患は脳梗塞12 例,脳出血4 例で,初発病型別の再発率は心原性脳塞栓症が最も高率であった.再発時の病型は脳梗塞8 例,一過性脳虚血発作2 例,脳出血6 例で,初発から再発までの平均期間は108.8 日であった.抗血栓薬併用例での脳出血による再発はなく,入院30 日以内の早期再発は何れも虚血症状であった.【結論】急性期を過ぎた脳卒中患者では,ADL やリスクに応じてその後の治療方針を再検討する必要があり,個々の病状を勘案した再発予防策の決定は回復期診療を担う医師の重要な役割である.
  • 山内 康太, 小柳 靖裕, 岩松 希美, 熊谷 謙一, 藤本 茂, 鈴木 聡
    2013 年 35 巻 6 号 p. 418-424
    発行日: 2013/11/25
    公開日: 2013/11/25
    ジャーナル フリー
    要旨:【背景・目的】Scale for the Assessment and Rating of Ataxia(SARA)は脊髄小脳変性症における運動失調の評価を目的として作成された.脳卒中による運動失調をSARA にて評価した研究は少ない.本研究では急性期脳卒中におけるSARA の有用性について検討した.【方法】2011 年6 月から2012 月7 月までに椎骨脳底動脈領域の脳卒中による運動失調に対しリハビリテーションを施行した18 例を対象とした.発症1 週目におけるSARA,National Institute of the Health Stroke Scale(NIHSS),Functional Ambulation Category(FAC),Barthel Index(BI)および入院期間を調査し,SARA の有用性を検討した.【結果】発症1 週目におけるNIHSS とBIは相関を認めなかった(p=0.557,r=−0.148).しかしSARA とBI は有意な負の相関を認めた(p=0.001,r=−0.725).FAC に関しては,NIHSS との相関は認められず(p=0.582,r=−0.139),SARA とは負の相関を認めた(p<0.001,r=−0.800).NIHSS と入院期間に相関は認めなかった(p=0.550,r=0.151).SARA と入院期間は正の相関を認めた(p<0.001,r=0.874).【結論】脳卒中に伴う運動失調の重症度評価において,SARA はNIHSS に比べてFAC,BI,入院期間と相関が高く,有用であることが示唆された.
  • 石川 英一, 矢坂 正弘, 岡田 靖
    2013 年 35 巻 6 号 p. 425-431
    発行日: 2013/11/25
    公開日: 2013/11/25
    ジャーナル フリー
    要旨:【背景および目的】観血的医療処置時の抗血栓薬の適切な管理に関する研究(MARK study)において,処置時の抗血栓薬管理についてアンケート調査を行った.【方法】全国の国立病院機構の病院やセンターの診療科科長 を対象に郵送法で行った.【結果】抗血小板薬と比べ経口抗凝固薬は高率に中止・減量され,それぞれ全体の58%と66%であった.中止・減量時のヘパリン代替療法施行率は抗凝固薬で抗血小板薬より高い.抗血栓薬管理マニュアルがある診療科は35%に過ぎず,中止時に同意書を取得する診療科は12%であった.過去5 年間で,抗血栓薬を継続し大出血を経験した診療科は抗血小板薬,抗凝固薬いずれも8%台,抗血栓薬を中止し血栓・塞栓症を経験した診療科はいずれも約10%であった.【結論】抗血栓薬管理マニュアルの整備は約3 分の1,中止時の同意書取得率も約1 割と低く,周術期抗血栓薬管理法の確立は大きな課題である.
  • 白石 眞, 佐々木 直, 小野 元, 山田 浩史, 長谷川 泰弘
    2013 年 35 巻 6 号 p. 432-440
    発行日: 2013/11/25
    公開日: 2013/11/25
    ジャーナル フリー
    要旨:【目的】Maria Prehospital Stroke Scale(MPSS)を用いた救急隊員の病院前評価の理解度と普及が一都市の超急性期血栓溶解療法の転帰の変化と関連するか否かを検証する.【方法】川崎市消防局救急隊員に2007 年度と2010 年度にアンケートによる認知度の変化を調査し,この間のtPA 静注療法数や転帰との関連を評価した.【結果】調査期間中MPSS の使用に満足した率は38%から50%に,MPSS 採点に要す時間が1 分以内とする率は79.1%から86.4%に,市内のバイパス搬送システムが確立したと答える率は48%から66%に増加した.この間の搬送数は増加,搬送数の11〜14%にtPA 静注が施行され,mRS <2 の転帰は22.2%から39.0%に上昇した.【結論】救急隊員がMPSS を用いたトリアージは円滑に遂行され,搬送システムの理解の浸透とともにtPA 静注療法の成績向上がみられた.
  • 千田 譲, 伊東 慶一, 大山 健, 米山 典孝, 原 一洋, 中村 亮一, 野田 智子, 橋詰 淳, 熱田 直樹, 伊藤 瑞規, 渡辺 宏 ...
    2013 年 35 巻 6 号 p. 441-447
    発行日: 2013/11/25
    公開日: 2013/11/25
    ジャーナル フリー
    要旨:【目的】回復期入院リハビリテーション(リハビリ)での脳梗塞branch atheromatous disease(BAD)の治療成績を検討した.【対象と方法】レンズ核線条体動脈領域(LSA-BAD)90 例と傍正中橋動脈領域(PPA-BAD)21 例に対し,入院時・退院時の脳卒中重症度(NIHSS),機能的自立度評価法(FIM),上肢・手指・下肢各Brunnstrom stage(BRS)を検討した.【結果】LSABAD群はPPA-BAD 群に比べ入退院時NIHSS は有意に重症であり,手指・上肢の機能改善は不良であった(p<0.05).LSA-BAD 群は入院時上肢・手指BRS の退院時3 段階以上の回復は稀だったが,両群とも退院時FIM は多くが100 点以上であった.【結論】回復期リハビリでのBAD を分類し検討することで,皮質脊髄路障害部位の違いによる運動麻痺と機能的自立度評価の回復過程を評価できた.
症例報告
  • 山内 貴寛, 勝村 浩敏, 野口 善之, 菊田 健一郎
    2013 年 35 巻 6 号 p. 448-452
    発行日: 2013/11/25
    公開日: 2013/11/25
    ジャーナル フリー
    要旨:rt-PA 静注療法後に新鮮梗塞巣,陳旧性梗塞巣および梗塞巣以外に脳内出血を認めた1 例を報告する.症例は73 歳男性.突然意識障害,構音障害,左不全片麻痺が出現し発症90分で搬入.到着時,症状は完全に回復しておりMRI 拡散強調画像では新鮮梗塞を認めず脳幹,基底核および深部白質に陳旧性梗塞が多発していた.来院175 分後に突然顔面を含む左不全片麻痺が出現した.拡散強調画像で右内包に新鮮梗塞を認め,症状再発80 分後にrt-PA静注療法を施行した.神経症状は改善したが,投与後CT で右内包の新鮮梗塞巣,橋の陳旧性梗塞巣および病変を認めなかった右側頭葉の3 カ所に脳内出血を認めた.入院9 日後のT2*MRI ではcerebral microbleeds (CMBs)が散在していた.rt-PA 静注療法後はCMBs や脳梗塞が多発している症例において脳内出血が同時多発する可能性がある.
  • 道傳 整, 橋本 隆男
    2013 年 35 巻 6 号 p. 453-456
    発行日: 2013/11/25
    公開日: 2013/11/25
    ジャーナル フリー
    要旨:症例は糖尿病のない90 歳女性で,急性発症した右半身の舞踏運動が1 カ月の経過で増悪した.発症4 週後の頭部MRI では新規病変を認めなかったが,6 週後の頭部MRI で左放線冠に新規梗塞,隣接する左被殻後部にT1 強調画像高信号を認めた.MRA では主幹動脈に高度狭窄を認めなかった.舞踏運動はハロペリドール内服にて改善した.高血糖に線条体のT1 強調画像高信号を伴って片側舞踏病を生じる病態は糖尿病性片側舞踏病として知られているが,本症例は糖尿病非合併例で,片側舞踏運動の発現より遅れて対側被殻・放線冠のMRI信号変化が出現した.線条体のT1 強調画像高信号は外側レンズ核線条体動脈領域の不完全な虚血によって生じたと考えられ,高信号の程度とその大きさは舞踏運動の程度と密接な相関はないことが示唆された.
  • 金田 章子, 勝田 俊郎, 塚本 春寿
    2013 年 35 巻 6 号 p. 457-462
    発行日: 2013/11/25
    公開日: 2013/11/25
    ジャーナル フリー
    要旨:もやもや病に副中大脳動脈(acMCA)起始部動脈瘤を合併した稀な症例を経験した.浅側頭動脈-中大脳動脈吻合術の際に,動脈瘤クリッピングを同時に行った. 術中所見にて,右内頸動脈C1 部・中大脳動脈M1 部やM2 上行枝,および左前大脳動脈A1 部にはもやもや病特有の壁の変化がみられたものの,acMCA には明らかな壁の変化を認めなかった.acMCA 自体,そのrecurrent な走行から,その起始部に強い血行力学的ストレスがかかっている.本例では,acMCA が後天的なもやもや病性変化によって側副血行路として発達した結果,起始部に血行力学的ストレスの更なる増大を来し動脈瘤が発生するに至ったと推測した.
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