脳卒中
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38 巻 , 6 号
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原著
  • 前田 世絵良, 矢坂 正弘, 鶴﨑 雄一郎, 三間 洋平, 前田 亘一郎, 上床 武史, 桑城 貴弘, 湧川 佳幸, 岡田 靖
    2016 年 38 巻 6 号 p. 387-392
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/11/25
    [早期公開] 公開日: 2016/03/09
    ジャーナル フリー
    【目的】脳梗塞急性期症例において可溶性フィブリンモノマー複合体(soluble fibrin monomer complex: SFMC)を定量測定し,抗血栓療法導入前後の推移を検討する.【方法】脳梗塞急性期87 症例(男性48 例,女性39 例)を心原性脳塞栓症で抗凝固療法を導入した21 例(CES 群)と非心原性脳梗塞で抗血小板療法を導入した66 例(non-CES)に分類し,抗血栓療法導入前後のSFMC 値を測定し比較した.【結果】SFMC は治療前後でCES 群では有意な低下を認めた(p=0.018)が,non-CES 群では有意差はなかった(p=0.175).SFMC 異常高値者の割合は治療前後でCES 群では有意な低下を認めたが(p=0.004),non-CES 群では有意差はなかった(p=0.24).【結語】SFMC は心原性脳塞栓症における抗凝固療法導入時の効果判定の指標に有用と考えられる.
  • 河内 正人, 摺河 寿美, 宮谷 理恵, 佐々木 純子
    2016 年 38 巻 6 号 p. 393-399
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/11/25
    [早期公開] 公開日: 2016/03/09
    ジャーナル フリー
    【背景および目的】一地方病院におけるrt-PA 静注療法の取り組みと治療成績を報告する.【方法】全職員への啓発,専属看護師確保,内科の協力体制確認を行い,2010 年4 月から4 年間に32例にrt-PA 静注療法を行い,治療効果,合併症,転帰を80 歳以下18 例と81 歳以上14 例で比較した.またKPSS の有用性を検討した.【結果】診療体制はよく機能した.治療後24 時間までの神経症状の改善,36 時間以内の頭蓋内出血,3 カ月以内の死亡率に年齢群間で有意差は認めず,3 カ月後のmRS 0–1 は80 歳以下が有意に多かったが(44.4% vs. 0%),mRS 0–2 では両群間に有意差は見られなかった(44.4% vs. 21.4%).KPSS 導入により来院時からCT までの時間は有意に短縮された.【結語】各診療機関の実情に合わせた診療体制の構築が必要である.高齢であることを理由にrt-PA 静注療法の適応外とすべきではない.
  • 小野 健一郎, 有本 裕彦, 大川 英徳, 高原 喬, 田之上 俊介, 清水 昭
    2016 年 38 巻 6 号 p. 400-406
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/11/25
    [早期公開] 公開日: 2016/03/09
    ジャーナル フリー
    【目的】軽症虚血性脳卒中患者で,頭蓋内血管狭窄/ 閉塞の有無別に経静脈的血栓溶解療法の効果を検討する.【方法】2008 年以降7 年10 カ月間,rt-PA 治療可能時間内にMRA/CTA 検査が施行されかつNIHSS 1–4 点であったものを抽出した.【結果】83 例が該当し対照マッチングを行った.24 時間後NIHSS 値および退院時mRS はrt-PA 施行32 例でそれぞれ−1,1 と非施行32 例の0,2 と比較し有意に低下した.血管狭窄/ 閉塞群中rt-PA 施行11 例の24 時間後NIHSS 値は−2 と非施行11例の0 と比較し有意に低下,血管非閉塞群中rt-PA 施行11 例は−1 低下したが,非施行11 例の変化量0 と差はなかった.【結論】軽症虚血性脳卒中に対するrt-PA 療法は有効で,頭蓋内責任血管に狭窄/ 閉塞がある症例はより症状改善の効果が期待でき,実施を考慮すべきと考えられた.
症例報告
  • 今津 愛介, 藤本 茂, 熊本 将也, 大﨑 正登, 金沢 信, 田川 直樹, 大屋 祐一郎
    2016 年 38 巻 6 号 p. 407-412
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/11/25
    [早期公開] 公開日: 2016/03/09
    ジャーナル フリー
    症例1 は77 歳の女性.糖尿病の既往があり,某日起床時に右上下肢の脱力を自覚し,翌日も症状が持続したため当科に入院となった.症例2 は66 歳男性.某日起床時から急激な浮腫の進行と歩行障害,呂律不良を主訴に来院され入院となり,入院3 日目に右片麻痺と右上下肢の感覚障害を指摘された.両症例ともにネフローゼ症候群の診断基準を満たし,MRI 拡散強調画像で両側散在性の急性期梗塞巣を認めた.症例1 では両側椎骨動脈狭窄を認めた.共に心房細動は伴わず,経食道心エコーで左房内もやもやエコーと大動脈弓部粥腫病変を認めた.ネフローゼ症候群に伴う過凝固状態が動脈硬化病変や心臓内の血栓形成に関与した可能性が考えられ,抗凝固療法を継続した.ネフローゼ症候群では左房内もやもやエコーや弓部粥腫を高頻度に有している可能性が推察され,脳塞栓症の原因診断に経食道心エコーが有用であると考えられた.
  • 濵田 広之, 和田 晋一, 三間 洋平, 矢坂 正弘, 桑城 貴弘, 岡田 靖
    2016 年 38 巻 6 号 p. 413-417
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/11/25
    [早期公開] 公開日: 2016/03/09
    ジャーナル フリー
    症例は82 歳男性.非弁膜症性心房細動に対しリバーロキサバン10 mgQD による抗凝固療法を受けていた.2014 年某日に急性発症の意識障害と右片麻痺を呈し最終内服3 時間後に救急搬送された.発症約1 時間で撮影した初回頭部CT で血腫量10 ml の左視床出血を認め,収縮期血圧140 mmHg 未満を目標に降圧療法を行い,第IX 因子複合体製剤1,000 単位を静注した.プロトロンビン時間(PT-INR)は1.33 から1.14 へ短縮したが,来院約3 時間後の頭部CT では血腫量は21 ml と増大した.リバーロキサバン内服中の脳出血に対し降圧療法と第IX 因子複合体製剤によるプロトロンビン時間の緊急是正を行ったが,血腫増大を認めた症例を報告する.
  • 山本 雄貴, 垂髪 祐樹, 山崎 博輝, 武内 俊明, 古川 貴大, 宮崎 由道, 山本 伸昭, 和泉 唯信, 梶 龍兒
    2016 年 38 巻 6 号 p. 418-422
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/11/25
    [早期公開] 公開日: 2016/03/09
    ジャーナル フリー
    症例は40 歳主婦.過多月経による重度の慢性貧血(ヘモグロビン1.1 g/dl)があり,合計20単位の赤血球輸血を受けた.2 週間後に突然の頭痛と全身痙攣を来し搬送された.MRI 所見からPRES(posterior reversible encephalopathy syndrome)を合併したRCVS(reversible cerebral vasoconstriction syndrome)と診断し,保存的治療を行った.経過中に一旦は軽快していた症状および画像所見の再増悪がみられたが,最終的には後遺症を残さずに退院した.慢性貧血患者に輸血を行う際には,合併症としてRCVS やPRES を発症しうることに留意し,頭痛や他の神経症状の出現時にはすみやかにMRI などの検査を行う必要がある.
第40回日本脳卒中学会講演
シンポジウム
総説
  • 原 淑恵, 山下 晴央, 中山 伸一, 松山 重成
    2016 年 38 巻 6 号 p. 423-428
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/11/25
    [早期公開] 公開日: 2016/01/29
    ジャーナル フリー
    要旨:脳卒中患者の予後改善のためには,施設や人員を有効に使用して迅速に質の高い脳卒中診療をいつでも提供する体制が必要である.また思い通りに診療を行える体制は医師のモチベーションの維持の上でも重要である.私たちは2 施設を兼任しながら脳卒中診療を行っているが,救急医と連携し,2 つの科,施設の間で患者や情報をフレキシブルにやり取りすることで時間のロスやマンパワーの不足に対応している.私たちの施設でのシステムを報告し,実際の治療症例を提示して検討する.また,救急医へのインタビュー調査を行って,救急医から見た脳神経外科医の評価,求められているもの,について考察した.
  • 中冨 浩文, 越智 崇, 斉藤 延人
    2016 年 38 巻 6 号 p. 429-433
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/11/25
    [早期公開] 公開日: 2016/01/29
    ジャーナル フリー
    要旨:成体大脳の側脳室周囲組織,いわゆる脳室下層と海馬歯状回には,自己複製能と多分化能を保持した神経幹細胞が生涯にわたって存在し,新たな神経細胞を産生し続けることが,ヒトを含めた様々な哺乳動物種において確認されている.内在性神経幹細胞による神経新生は,脳損傷により亢進すること,そして損傷部位の再生に寄与することが明らかとなっている.そして本来活発な神経新生がみられない部位にも内在性神経幹細胞が存在し,脳損傷により活性化され再生に寄与することも明らかとなった.これら内在性神経幹細胞による再性能を高めるための有望な手段の一つとして,脳室内への増殖因子投与があげられる.今回,我々が行ってきた,成長因子脳室内投与による成体内在性神経幹細胞の動員の研究の結果を報告する.
  • 橋本 洋一郎, 伊藤 康幸
    2016 年 38 巻 6 号 p. 434-441
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/11/25
    [早期公開] 公開日: 2016/01/29
    ジャーナル フリー
    要旨:潜因性脳卒中は病因不明の脳梗塞を指しており,脳梗塞全体の25%程度を占める.その原因としては,潜在性発作性心房細動,卵円孔開存,大動脈プラーク,がんなどがある.潜因性脳卒中では,①病歴(現病歴,既往歴,家族歴),特に発作性心房細動の既往歴,②症候の的確な把握,③ D-dimer やBNP の測定,④ 12 誘導心電図,心電図モニター,Holter 心電図検査,長時間の心電図モニター,⑤ MRI (拡散強調画像)・MRA,⑥経胸壁心エコーや頸部血管エコー,⑥経食道心エコーやTCD によるbubble study(卵円孔開存などの検出),⑦下肢静脈エコー,⑧遺伝子検査を含めた特殊な検体検査も行う必要がある.植込型心電図記録計などのtelemonitoring,冠動脈CT,高解像度動脈壁MRI (頸動脈や頭蓋内血管壁の評価),経食道心エコー,D-dimer,がんのスクリーニングなどの高度診断機器を駆使する.
  • 秦 淳, 清原 裕
    2016 年 38 巻 6 号 p. 442-448
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/11/25
    [早期公開] 公開日: 2016/03/09
    ジャーナル フリー
    久山町研究によると,高血圧治療の普及に伴い脳梗塞発症率は男性では1960 年代から1990年代にかけて,女性では1960 年代から1970 年代にかけて大きく低下したが,最近その低下の程度が鈍化している.その原因として糖代謝異常,脂質異常症の有病率が時代とともに増加したことが挙げられる.40~79 歳の久山町住民を7 年間追跡した成績によると,HbA1c レベルの上昇にともない脳梗塞の発症リスクは直線的に上昇し,5.0%以下の群と比べて5.5%以上の群で有意差を認めた.つまり,糖尿病に至らない軽度のHbA1c レベルの上昇も脳梗塞発症の危険因子であることが示唆される.また,40 歳以上の住民を24 年間追跡した成績では,non-HDL コレステロール高値はアテローム血栓性脳梗塞発症の有意な危険因子であった.わが国の脳梗塞発症率をさらに低下させるためには,これら代謝性疾患に対する包括的な予防・治療が必要である.
  • 中島 誠, 渡邉 聖樹, 安東 由喜雄
    2016 年 38 巻 6 号 p. 449-454
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/11/25
    [早期公開] 公開日: 2016/03/09
    ジャーナル フリー
    超高齢化社会の到来に伴い,わが国の慢性腎臓病(CKD)と心房細動の有病率は増加してきている.互いに密接に関係をもつこれらの疾患は,それぞれが脳梗塞の独立した危険因子であり,かつCKD は出血性脳卒中の重要な危険因子でもある.このため,CKD 患者における抗凝固療法の導入については,現在も多くの議論がある.特に末期CKD 患者における抗凝固薬の安全性や有効性については,十分明らかにされていないのが現状である.一方非末期のCKD 患者においては,十分コントロールされたワルファリンや新規経口抗凝固薬が有効である可能性を示す報告が増えてきている.個々の患者の背景を吟味して抗凝固療法の適応を検討するとともに,治療開始後にも腎機能の変化に十分留意することが肝要である.
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