脳卒中
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17 巻 , 5 号
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  • 後藤 淳
    1995 年 17 巻 5 号 p. 393-402
    発行日: 1995/10/25
    公開日: 2009/09/16
    ジャーナル フリー
    脳血管調節におけるLarginine-NO産生系の役割を明らかにする目的で, NO合成酵素阻害薬NG-rnonomethyl-L-arginine (L-NMMA) 投与の脳軟膜血管への影響を麻酔成猫26匹において頭窓法を用いて検討した.LNMMA10mg/kg (40μmol/kg) の経舌動脈脳動脈内投与 (n=10) により全身血圧の有意な上昇を認め, 太い脳軟膜動脈, 細い軟膜動脈, 軟膜静脈で有意な血管口径の減少を認めた.このL-NMMAの効果は, 120μmol/kgのLarginine動脈内投与で拮抗され, 同量の光学異性体D-arginineでは拮抗されなかった.LNMMA1mMによる脳表灌流 (n=16) で, 太い軟膜動脈と細い軟膜動脈に有意な血管口径の減少を認めたが, この時全身動脈血圧と軟膜静脈口径には有意な変化を認めなかった.脳軟膜動脈は, L-NMMAの血管内膜側投与と血管外膜側投与によりいずれも有意な収縮を認めたが前者の効果の方がより迅速であった.以上より, 脳軟膜血管のbasal toneの維持に特に内膜側L-arginine-NO産生系が重要な役割を担うことが示唆された.
  • 猪股 園江, 本間 温, 長尾 省吾
    1995 年 17 巻 5 号 p. 403-409
    発行日: 1995/10/25
    公開日: 2009/09/16
    ジャーナル フリー
    くも膜下出血 (SAH) 後の脳血管の増殖性器質的変化 (増殖型血管症 : PA) の惹起物質が血性髄液中に存在し, それが血小板由来増殖因子 (PDGF) である可能性につき実験的検討を行った.ネコの経眼窩的中大脳動脈 (MCA) 破綻によるSAHモデルで, t-PA髄腔内投与によるくも膜下血腫の早期溶解を行った.2週後にSAHモデルで観察されたMCA壁の増殖性変化が明らかに抑制されていた.さらにPDGF (B-dimer, 1μg) の髄腔内投与により, 2週後にSAHと同様の器質的変化が発現した.またPDGFの免疫染色でSAH早期に外膜側が陽性を呈した.以上の結果より, SAH早期にPDGFが脳血管の外膜側より作用し, PAの発生に関与している可能性が示された.この観点より髄腔内線溶療法はPAの発現予防にも有効と考えられる.
  • 新井 康通, 小松本 悟, 奈良 昌治, 潮田 隆一
    1995 年 17 巻 5 号 p. 410-417
    発行日: 1995/10/25
    公開日: 2009/09/16
    ジャーナル フリー
    脳血管病変について, 3D-CT angiography (3D-CTA) を施行し, その臨床的有用性について検討した.対象は6例 (平均年齢62.0±15.0歳) で, 動脈瘤4例 (中大脳動脈2例, 椎骨動脈と脳底動脈各1例), 血管内腔の狭窄が2例 (前大脳動脈, 及び椎骨動脈各1例) である.
    3D-CTAは, SIEMENS社製SOMATOMPlusを用いてデータを収集し, surface rendering法にて三次元血管像を再構築した.3D-CTAはMRAと比べると, 血管狭窄部位や動脈瘤頸部の正確な形状把握が可能であった.DSAと比べても, 空間分解能は見劣りしなかった.しかし, 血管壁の石灰化と内腔の造影剤との鑑別が困難であるなどの欠点もあった.
    3D-CTAは, 非侵襲的に, 脳血管病変を立体像として観察できることに最大の利点があり, 臨床的有用性を認めた.
  • 中村 仁, 松山 知弘, 杉田 實
    1995 年 17 巻 5 号 p. 418-424
    発行日: 1995/10/25
    公開日: 2009/09/16
    ジャーナル フリー
    脳虚血病態におけるNMDA型グルタミン酸レセプターの関与を検討する目的で, 砂ネズミ一過性脳虚血モデルを用い, 虚血負荷後経時的に海馬のNMDA型グルタミン酸レセプター (NMDAR1) mRNAの変動をin situ hybridization histochemistryにて検討した.遅発性神経細胞死をもたらす5分間の前脳虚血負荷後, 海馬CA1錐体細胞でのNMDARIm RNAシグナルは1日目から発現の低下がみられ, グリア細胞では逆に発現が充進していた.CA1錐体細胞脱落後はおもにグリア細胞での発現のみが観察された.2分間虚血負荷後には神経細胞におけるNMDARI mRNA発現には変化がみられずグリア細胞でのみ発現の充進がみられ, これは負荷後1週間持続して認められた.このことは致死的負荷では神経細胞のNMDAレセプターのdown regulationを示唆する.また遅発性神経細胞死, 虚血耐性獲得双方の過程にグリア細胞でのNMDAレセプターの発現が大きな影響をもたらすことが示唆された.
  • 神田 明美, 北村 伸, 永積 惇, 赫 彰郎
    1995 年 17 巻 5 号 p. 425-430
    発行日: 1995/10/25
    公開日: 2009/09/16
    ジャーナル フリー
    脳塞栓症一次予防療法の観点から, 非弁膜性心房細動 (NVAF) 54例を対象に凝血学的分子マーカーとしてthrombin antithrombin III複合体 (TAT), fibrinopeptide A (FPA), plasmin-α2 plasmin inhibitor complex, D-dimer, β-thromboglobulin (β-TG), platelet factor-4 (PF-4) の6項目について測定, 心房細動による脳塞栓症の危険因子としての経胸壁心エコー図検査による左房径, 心拍出量, ejection fraction, および収縮期, 拡張期血圧との相関を検討した.また動脈硬化性疾患の既往の無い正常洞調律46例を対照とした.NVAFでは対照に比較してTAT, FPA, β-TG, PF-4が有意に高値.このうち, TATは脳塞栓症の危険因子と報告されている左房径と有意な相関があった.TATは脳塞栓症発症の予知因子として有用である可能性があると考えられる.
  • 小林 祥泰, 小出 博巳, 卜臓 浩和, 山口 修平, 岡田 和悟
    1995 年 17 巻 5 号 p. 431-433
    発行日: 1995/10/25
    公開日: 2009/09/16
    ジャーナル フリー
    脳ドック受診者における2年連続の脳卒中発症調査を行った.対象は脳ドックを受診してから1年から5年経過し, 健康状態が確認できた582名 (脳卒中既往のない554名 (平均58.6歳) および軽症脳卒中既往のある28名 (61.8歳)) である.MRIは0.15Tまたは0.2Tで水平断, 冠状断, 矢状断を撮影し, 潜在性脳梗塞 (SBI), 脳室周囲白質高信号域 (PVH) を判定した.結果 : SBIの頻度は15.7%で加齢と共に増加した.脳卒中発症率はSBIなし群467名中4例 (0.86%) に比し, SBI群では87名中6名 (6.9%) と有意に高率であった.脳卒中の内訳は脳梗塞8名, 脳出血2名であった.脳卒中発症群では高血症既往および年齢が有意に高く, 脳卒中家族歴も高い傾向がみられた.糖尿病既往, 血清脂質などには差を認めなかった.多変量解析でもSBIを有する例が脳卒中発症のhighriskgroupであることが示された.
  • 浅野 良夫, 下澤 定志, 蓮尾 道明
    1995 年 17 巻 5 号 p. 434-438
    発行日: 1995/10/25
    公開日: 2009/09/16
    ジャーナル フリー
    過去10年間に刈谷総合病院脳神経外科に入院した高血圧性脳出血患者500名のうち29名 (5, 8%) に再出血を認めた.その内訳は男18名, 女11名で, 再出血例はやや男に多く, 再出血時の平均年齢は約64歳であった.初回出血から再出血までの期間は3年以上の例が約半数 (52%) にみられた.再出血部位は初回出血の同側大脳半球7名, 対側大脳半球16名 (55%), 小脳テント上下6名で, 対側大脳半球に起こる傾向にあった.また, 再出血後のADLは初回出血後のADLよりも極めて悪化し, その予後は不良であった.さらに, 再出血の危険因子として高血圧既往22名 (76%), 低アルブミン血症あるいは低蛋白血症13名 (45%), 低コレステロール血症6名 (21%) を認めたが, 初回出血時手術の有無による再出血頻度の差はなかった.高血圧性脳出血の再出血予防には, 血圧のコントロールのみならず十分な栄養状態の管理と長期に渡る経過観察の必要性を示した.
  • 松本 祐蔵, 守山 英二, 目黒 俊成, 萬代 眞哉, 桜井 勝
    1995 年 17 巻 5 号 p. 439-445
    発行日: 1995/10/25
    公開日: 2009/09/16
    ジャーナル フリー
    香川県立中央病院に脳神経外科が開設された1972年7月以来, 1994年6月までの22年間に治療した615人の70歳未満のクモ膜下出血患者の治療成績を分析した.これらの患者を治療方針の変化に伴い, 時期別に4群に分けて検討した.この期間中の治療方針の最大の変化は, 待機手術から早期手術への移行であり, 平均手術時期はHunt and Kosnik gradeI-II患者で, Day 17.5からDay 1.5 (発症日 : Day0), gradeIII患者では, Day11.5からDay0.8と発症から手術までの時間が有意に短縮していた.これに伴いgrade III患者では手術施行率が, 71%から97.5%と増加し, 最終的な転帰も有意に改善していた.Grade I-II患者では手術施行率は待機手術が主流であった時代と変化がないものの, やはり転帰の改善が見られた.従来は手術の対象となることが少なかったgrade IVについても, 積極的な早期手術によって転帰の改善が認められた.現在の治療上の最大の問題点は, 急性期手術準備中の再出血であり, これらの患者の転帰は有意に不良であった.種々の脳血管攣縮対策により, 重篤な脳血管攣縮の発生は減少しており, 現在では死亡原因としてではなく神経脱落症状の原因として重要であった.
  • 細見 直永, 津田 能康, 市原 新一郎, 北代 雅也, 松尾 裕英
    1995 年 17 巻 5 号 p. 446-456
    発行日: 1995/10/25
    公開日: 2009/09/16
    ジャーナル フリー
    脳虚血後再灌流時のinduced hypertension負荷の持続時間とその昇圧程度による脳血流, 脳内エネルギー代謝, 脳比重に及ぼす効果の違いを検討した.脳血流はレーザードプラ血流計, 脳内エネルギー代謝は31P-NMRスペクトロスコピー, 脳比重は比重柱法により測定した.雄成熟砂ネズミ計84匹を用いて, 15, 30, 60分間のinduced hypertension (mild) 負荷 (25mmHg), 15分間のinduced hypertension (severe) 負荷 (45mmHg), 15分間のinducedhypotension (mild) 負荷 (30mmHg) の5群, およびcontrol群各14匹において検討を行った.脳虚血後再灌流時のmildな15分間の昇圧 (24mmHg) は脳浮腫および脳内エネルギー代謝 (PCr/Pi比, β-ATP/Pi比) を改善し, severeな昇圧 (46mmHg) および長時間 (30, 60分間) の昇圧は脳内エネルギー代謝の回復を遅延し, 脳浮腫を増大させた.以上の結果, induced hypertensionによる脳内エネルギー代謝の改善の程度, あるいは脳浮腫の増悪の程度はinduced hypertensionの持続時間と昇圧程度に規定されるものであることが考えられた.
  • 岩本 俊彦, 木内 章裕, 馬原 孝彦, 久保 秀樹, 高崎 優
    1995 年 17 巻 5 号 p. 457-465
    発行日: 1995/10/25
    公開日: 2009/09/16
    ジャーナル フリー
    臨床的にビンスワンガー病 (B病) と診断された21例の頭蓋外-頸動脈病変, 下肢動脈病変を各々7.5MHz B-mode超音波断層法, Ankle Pressure Index (API) を用いて検索した.対照には穿通枝領域梗塞67例 (P群), 皮質枝領域梗塞52例 (C群) および頭部CT所見が正常の70例 (N群) を用いた.B病群は高齢 (平均79.9歳) で, 高血圧例が多く, その86%に頸動脈病変 (閉塞2例, plaqueのみ16例) が認められた.特に病変は両側頸動脈に高率 (71%) にみられ, その頻度はP群 (28%), C群 (44%) およびN群 (23%) より有意に高かった.特にplaque (P.) は高さと長さの比からmural P.とnodular P.に分類すると, B病ではnodularP.が高頻度 (0.5対頸動脈本数) にみられた (P群0.25, C群0.21, N群0.19).またAPI低値 (0.9未満) もB病の43%にみられ (P群36%, C群35%, N群20%), B病では動脈硬化が広範に進展している病態が示された.
  • 大熊 洋揮, 蛯名 国彦, 鈴木 重晴
    1995 年 17 巻 5 号 p. 466-472
    発行日: 1995/10/25
    公開日: 2009/09/16
    ジャーナル フリー
    地理的特殊性から脳卒中の疫学的調査に適すると考えられる青森県下北地区において, 破裂脳動脈瘤の発生状況に関し1988年4月~1993年3月の5年間の99症例をもとに検討を加えた.対人口10万人の年間発生頻度は男性17.7例, 女性25.4人, 全体21.7人であった.年齢別症例数は従来の報告と同様であったが, 年齢別の年間発生率 (対人口10万人) は男性では40~70歳代に36~44人とほぼ同率の発生率であったのに対し, 女性では高齢になるに従い発生率が上昇し, 70歳代以上で75人の発生率を示した.季節別の発生数では7~9月に比し1~3月, 10~12月に多くの症例を認めた.
    この結果より, 今後高齢化社会となるに伴い, 破裂脳動脈瘤が増加すること, 女性症例の比率が高まることが示唆される.また寒冷が脳動脈瘤の破裂に影響を与える一因子である可能性も示唆されたが, 確認のためにはより多施設での同様の検討が必要である.
  • 和田 邦泰, 橋本 洋一郎, 木村 和美, 内野 誠, 安藤 正幸
    1995 年 17 巻 5 号 p. 473-477
    発行日: 1995/10/25
    公開日: 2009/09/16
    ジャーナル フリー
    症例は, 43歳の女性で高血圧の既往なし.頭痛, 右片麻痺, 右半身の感覚異常で発症し, 来院時には昏睡状態 (JCS200), 四肢麻痺, 胸部X線写真での肺水腫, 低酸素血症を認め, 気管内挿管後に人工呼吸を開始した.頭部X線CTで第四脳室へ穿破した橋出血を認め, 心エコーや心電図で心疾患はなかった.第2病日に肺水腫は改善を示し, 第3病日には消失し, 呼吸状態は改善した.橋出血による神経原性肺水腫と考えられた.第52病日の脳血管撮影で異常所見はなかった.本症例では, 脳室穿破による脳室内圧の上昇, および血腫による延髄への圧迫が発症の引金となったと考えられた.橋出血に伴う低酸素血症では神経原性肺水腫も念頭におき, 適切な呼吸管理を行う必要があると考えられた.
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