1) 日本の漁業者の分布形式は日本全體としての位置的な關係に於て決定されてゐる。
2) 日本の沿岸を漁業者の分布形式に基いて1.漁業者の多い地方, 2.漁業者の多い村と漁業者のゐない村との混在地域(西日本に多い) 3.灘式海岸4.内灣に分つ事が出來る。
3) 砂濱海岸の村には漁業者の少い村が多い。岸石海岸の村には漁業者の多い村が多い。その理由として砂濱海岸の村が(1)内灣,灘に多い事, (2)後背に耕地の廣い地方の海岸が多い事, (3)原始的漁法を行ふ人に適せぬ事等が考へられる。
4) 日本の漁業者の分布は漁獲高に支配されたものでなく,漁業人口の多い地方の一部が漁獲高に對して飽和状態にあるに過ぎない。
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