地理学評論
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49 巻, 12 号
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  • 太田 勇
    1976 年 49 巻 12 号 p. 765-779
    発行日: 1976/12/01
    公開日: 2008/12/24
    ジャーナル フリー
    近代工業の発展が,相互に接触の少なかった民族集団にどのような影響を与えるかを,シンガポールのジュロンエ業団地の調査を通じて考察した.大規模な公営住宅を付設する工業団地の造成は,新しい形の職・住近接を生み,これが異民族相互の接触の度合いを強めている.低所得者用賃貸住宅の出現はとくにその効果を大きくした.新しい住宅政策の採用,ならびに古い社会組織に依存しない外資系工業の増加は,従来の民族集団の枠を徐々に取り除きつつある.この動向は住民側の自発的要求に基づくのでなく,各民族の伝統的行動様式を変えさせる外圧としての近代工業の発展に負い,まだ各民族間に深い交わりを生んだととを意味しない.しかし華人中心とはいえ,共通語(とくに英語)の普及,中産階級の台頭が新しい社会の成長を促していること,それを支えるのがジュロン工業団地の住民であることはまちがいない.
  • 竹内 淳彦
    1976 年 49 巻 12 号 p. 780-791
    発行日: 1976/12/01
    公開日: 2008/12/24
    ジャーナル フリー
    京浜工業地帯の一画をなす川口市は,鋳物業の町として古くから栄え,現在も鋳物業とそれを母体とした機械・金属工業が発達している.鋳物業は市の南部に機械・金属・木型などの工業と重合しながら分布し,しかも,それらの工業と生産工程上強く結合し,また,多くの下請群をもちながら鋳物を中心とする産業集団を形造っている.、一方,その納入関係は京浜全域に広く及び,京浜機械工業の核の1つとして特異な機能を担っている.鋳物を中心とする工業生産は,強い地縁関係をもつ経営者や従業者によって支えられており,その多くは南部の産業集団内部に居住し,職・住一体化した「産業地域社会」を形成している.このように,全体としては住宅地域化が進行している川口市の内部で,南部は他の地域とはまったく性格を異にしている.この産業地域社会の存在が,川口鋳物業を存続・発展させる重要な基盤となっている.
  • 千田 昇
    1976 年 49 巻 12 号 p. 792-807
    発行日: 1976/12/01
    公開日: 2008/12/24
    ジャーナル フリー
    天草島北岸地域に分布する海岸段丘の調査により,古有明海の形成時期とその後の地形発達を考察した.段丘面は高位よりH1,H2,M1,M2,Ap,Lの各面に分けられる.H1面とH2面はともに主として古第三紀層と前期更新世の佐伊津層を切る侵蝕面からなる.M、面は波蝕台起源の侵蝕面が主であるが,志岐トラフでは,一部で海棲貝化石を含む,厚い釜層の堆積面からなる.古有明海はM1面を形成した時の海域をさし,それは北部有明海の諌早地峡から東へのびる湾入と南部有明海の志岐トラフを通しての湾入からなっていた.その時期は下末吉期と考えられる.これ以後は海退に転じ,M2面はその初期に,また最終・最大海退期に近い時期にL面が形成された.L面はその末端が沖積面下に埋没するが,南部有明海に広くみられる-10~-20m面に連続すると思われる.M2面とL面の中間の時期に阿蘇火砕流が流入しAp面を形成した.
  • 1976 年 49 巻 12 号 p. 808-810,817_2
    発行日: 1976/12/01
    公開日: 2008/12/24
    ジャーナル フリー
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