地理学評論
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33 巻, 7 号
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  • 松田 孝
    1960 年 33 巻 7 号 p. 345-362
    発行日: 1960/07/01
    公開日: 2008/12/24
    ジャーナル フリー
    I. 大森・羽田地区の工業の概況 (1) 全国でもつとも大きな機械工場の密集地域である. (2) 機械工揚の80%は従業員数29人以下の零細工場である. (3) この地区の機械工場の大部分は下請工場である.
    H. この地区における工業の成立過程
    (1) この地区は1930年代以前は主として農漁業,とくに海苔養殖業の地域であつた. (2) 工業地域化の最初の契機は,第1次大戦および関東大震災であつた. (3) しかし本格的な工業化は, 1930年代以後であつた.その主要な契機は戦争による軍事的重化学工業の発展と,政府によつて計画された大企業の要請による京浜運河および埋立地の造成である.運河および埋立地の建設により,漁業もできなくなり,地元民も工業化を余儀なくされた.
    III. 大森9丁目における機械工場の性格業種・規模などの点で大森・羽田地区とほぼ同様の傾向を持つ大森9丁目の工業の実態調査をおこなつた.
    (1) 規模零細で変動性が大きい. (2) 全工揚の40%は1935~36年に設立された. (3) 地元出身の工場主はきわめて少ない. (4) 全工場の94%は下請工場である. (5) 親工場の所在地.親工場中心の圏構造を示さない. (6) 抑圧された下請工場主と労働者の状態.この地区には失業ないし半失業労働者のプールが形成されており,これが不安定な中小下請工場群の存立の基盤になつている.また仕事の上で下請工場主間に,激しい競争と同時に強い依存関係が認められる.
  • 富岡 儀八
    1960 年 33 巻 7 号 p. 363-378
    発行日: 1960/07/01
    公開日: 2008/12/24
    ジャーナル フリー
    交通地理学関係の論著は,逐年漸増してきたが,海上交通の数理的・平面的研究は極めて少ない.本稿は瀬戸内海交通の主体をなす,機帆船交通の実態を数量的に分析し,交通圏の設定,交通形態・交通流の性格,さらに工業地帯化との関連性を考察した.研究結果を要約すると,次のようになる.
    (1) 内海機帆船交通は,片上-鳴戸線・福山-鞆線,岩国-長浜線の内海縦断線と,中島・大崎下島.大三島・生口島・因島・北木島の南側および直島・小豆島の北側を通る横断線をもつて, 5大交通圏に分割できる. (2) 交通形態は,消費財を主とする圏外交通と,生産財・製品を主とする圏内交通とに大別できる.主体は後者にある. (3) 交通量は,阪神圏内交通が圧倒的に多く,西部圏はこれに次ぐ.安芸・備中圏は圏外交通が優先する.圏外交通は,阪神圏と西部・四国圏問の交通が中心である. (4) 交通流は,北九州・四国地域の原料物資が阪神地域へ流動し,阪神地域で生産加工された半・完製品が,同圏内各地へ分散供給されるという交通方式が主流をなす. (5) 機帆船交通は,工業地帯化の顕著な地域に卓越し,工業地帯化の一翼を担う.また,圏内交通は工業地帯内交通と合致し,工業圏設定の1指標となる.
  • 中島 秀則
    1960 年 33 巻 7 号 p. 378-384
    発行日: 1960/07/01
    公開日: 2008/12/24
    ジャーナル フリー
    1) 大部分の小平坦地は,砂岩層の存在にもとづくStructural Terraceである.
    2) 小平坦地は砂・泥岩の互層からなる地域で,しかも相対的に厚い砂岩層(泥岩層の2倍以上の厚さ)に密接に関係している.なお小平坦地は地層の厚さだけでなく地層の傾斜と関係し,地層の傾斜が20度以上になると小平坦地の形成は困難である.このことから小平坦地の規模の大小は,砂岩と泥岩の厚さの割合と,地層の傾斜度によつて決定される.
    3) 本地域の砂泥岩の互層地域では,砂岩が泥岩に比べて風化・侵蝕に対する抵抗力が強い.このことが小平坦地地形の形成をはじめ,斜面形の決定に大きな要素ともなつている.
    4) 小平坦地の表面傾斜や傾斜方向などの状態は,小平坦地を形成する岩石(とくに地層の傾斜および砂岩と泥岩の厚さの割合,砂岩・泥岩の風化・侵蝕に対する抵抗力の強弱など)の状態によつて異なる.
    5) 1つの小平坦地が,砂岩層と泥岩層に関係して形成されている場合は,泥岩に関係している面は傾斜が急で,しかも,面の傾斜は地層の傾斜方向と一致せず,現河川の流水の影響をうけていて,平坦面の連続性がたたれる.
  • 1960 年 33 巻 7 号 p. 385-392_2
    発行日: 1960/07/01
    公開日: 2008/12/24
    ジャーナル フリー
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