ユーゴスラヴィアのアドリア海岸におけるボラの吹走時の大気の垂直分布について,天気図型と関連して調査した.山脈の風上側の地点としてザグレブ,風下側の地点としてスプリットを選び,低気圧型3種,高気圧型2種の別に気温・風速などについて集計した.その結果,判明した事実は次の通りである. (i) ボラの風向であるN~Eの風が出現しやすい高度は1,500~3,000mであり,風下側ではやや低い. (ii) この風向が出現しやすい高度の上限は,風速の極大の出現位置,気温垂直傾度のゆるい部分の上端,水平温度傾度のゆるくなる高度とほぼ一致する. (iii) N~Eの風の極大値のうち最下層のものの出現高度は,風上側で500~2,000m, 風下側では0~500mの場合が多い. (iv) 風上側ではこの高度より高い位置に逆転層のある場合が多い. (v) 逆転層の高度,風速の垂直分布などから,ボラを風下波動にともなう現象と考えて,ボラのモデルを考えた.
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