関東地方のPediment, あるいはPediment状地形と呼ばれている扇山・百蔵山,妙義山,筑波山付近の山麓緩斜面を比較検討し, Pedimentとの関係を明らかにした.
(1) 扇山・百蔵山の山麓緩斜面の背後急斜面は断層崖であり,緩斜面の部分は,桂川層とそれより新しい地層が,この地域の徐々な隆起と,雨洗およびsoil creep的な侵蝕営力の両者の作用をうけ形成された地形である.
この面の形成時代は多摩面形成期から立川面形成期にかけてである.
(2) 妙義山の山麓緩斜面はふるい火山斜面であり,緩斜面は中新統の侵蝕面である.この境に凝灰角礫岩が崖錐状に堆積したため,全体としてPediment状の地形となった.
この面の形成時代は武蔵野面形成期である.
(3) 筑波山付近の山麓緩斜面は背後急斜面の後退により形成された面であり,さらにこの面の形成後2段の扇状地が発達した.
この山麓緩斜面の形成時代は,筑波山山麓以外は下末吉相当面形成期であり,上位の扇状地は武蔵野面相当面形成期,下位のそれは立川面相当面形成期である.
(4) Pedimentは最大公約数的に「山地の平坦化の過程において連続的に現れる地形であり,山地を構成している岩石を截断して発達し,背後のより急な斜面との間に傾斜の不連続部のある山麓の侵蝕緩斜面」というべき地形であり,関東地方のこれらの山麓緩斜面のうち筑波山付近のそれはPedimentであるが,扇山・百蔵山と妙義山の山麓緩斜面はPedimentに似て非なる地形である.
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