地理学評論
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56 巻, 1 号
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  • 加藤 央之
    1983 年 56 巻 1 号 p. 1-16
    発行日: 1983/01/01
    公開日: 2008/12/24
    ジャーナル フリー
    北海道における日照時間・日平均気温を例にとり,各気候要素について短いスケールでの時間的変動(日日変化)の地域特性を把握し,そのような地域特性の生ずる原因を探ることを通して,各地域の気候特性を明らかにすることを試みた.ここでは,主成分分析法とクラスター分析法の手法を結合させて,地域特性を見出す方法を採用した.
    日照時間に関しては,大きく4つの変動形態が見出されたが,特に道東側の地域では,他の地域と比べ,やや異質な変動特性を持っていた.日平均気温に関しては,内陸と海岸での変動の差が明確に把握された.ある外的条件に対して,日照時間と日平均気温の特定の分布パターン同士が同時に卓越する例もいくつか見られたが,一般的には2つの要素が同じような水平分布パターンでは反応していなかった.
  • 田野 宏
    1983 年 56 巻 1 号 p. 17-34
    発行日: 1983/01/01
    公開日: 2008/12/24
    ジャーナル フリー
    本稿は,霞ヶ浦岸の沖積低地における蓮根生産について,栽培導入期の異なる2集落(土浦市田村・沖宿)の土地条件の差異が,蓮根経営にどのような影響を与えているかを明らかにしようとしたものである.
    霞ヶ浦岸の中でも土浦入北岸は,全国一の蓮根の集団産地であるが,特に減反政策以後に蓮田面積の増加が著しい.しかし,新たに産地化した栽培地の土地条件をみると,必ずしも蓮根生産に好適とはいえない水田が見受けられる.これらの水田を経営する農家は,蓮根に適した土地条件をそなえた水田を経営する農家と比べ,同程度もしくはそれを上回る生産費を投下しているにもかかわらず,単位面積当たりの収量が低いために,農業所得率・土地生産性・労働生産性において低位であることが明らかとなった。減反政策以後,栽培面積は拡大したものの,所与の土地条件の差が経営内容にも影響を与えているといえよう.この場合,転作奨励金が,結果として,土地条件の差によってもたらされる収益の開きを補完する役割を果たしており,新興産地の経営が転作奨励金に大きく依存している状況をうかがい知ることができる.
  • 伊藤 真人
    1983 年 56 巻 1 号 p. 35-49
    発行日: 1983/01/01
    公開日: 2008/12/24
    ジャーナル フリー
    蝶ヶ岳付近に発達した更新世の氷河地形と,その下流側の烏川流域に発達する新旧5つの堆積段丘群の分布を明らかにした.さらに,これら諸段丘を覆うテフラの層序関係,諸段丘と氷河地形の連続性などを検討し,氷期の地形発達史を考察した.
    立山火山起源とされているテフラDPm (約10万年B. P.) 降下以前に,蝶ヶ岳カールからの氷舌と常念沢からの小氷河とが合流して流下し,本沢モレーンを形成した.この時期に,下流側の谷は,アウトウォッシュである第2段丘礫層で埋積された.その後,氷河は後退し,蝶ヶ岳カール内のマメウチモレーンを形成するが,比較的はやい時期(DPm降下頃,あるいは降下以後)に消滅した.このモレーンの堆積後における谷底の下刻期をはさみ,立山火山起源のEPm (6~5万年B. P.) あるいは未詳火山起源のOPm (5~3.5万年B. P.) の降下前に,再度寒冷化がはじまり,周氷河作用によって岩屑が供結され,以前に形成された地形面を覆うとともに,第3段丘が形成された.
    上述のように,当地域に更新世の氷河が発達した時期(蝶ヶ岳氷期)はDPm降下以前と考えられ,ヴュルム氷期の最古期か,リス氷期に対比されるであろう.
  • 1983 年 56 巻 1 号 p. 50-52,55
    発行日: 1983/01/01
    公開日: 2008/12/24
    ジャーナル フリー
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