わが国最大級のかんがい専用貯水池である香川県満濃池について, 15年間 (1958~1973年)の日貯水位資料から,利水上重要な意味をもつ貯水量の経時変動様相の解析を試みた.結果の要点は, 1) 貯水量を貯水量の満水貯水量に対する比
p (Eq. (1)) で示すと, 1.008~0.056と大きい幅で変動する. 2) 非かんがい期には,
p≥1.0が20旬,うち,貯水池からの無効放流量を示す
p>1.0が17旬もあり,しかも7/15年回も発生する. 3) 反対に,貯水池が空に近くなる,
p=0.056~0.074が9月中旬~11月中旬に, 2/15年回発生する. 4) かんがい開姶時には,ほぼ満水しているから,
p>1.0が5/15年回生起していて,無効放流があり,利水上考慮の余地があることを示している. 5) かんがい期間中の最小値,
pLは, 0.074~0.661となり,いずれも8月上旬~9月下旬に生起する. 6) 貯水量の渇水量を示す
p355 (Eq. (6)) は0.08~0.72で,
p≤0.23平均は0.15である. 7) 配水限界を示す貯水量として証文水量350.0×10
4m
3を採用すると
p=0.23となり,は5/15年回の割合で8月中旬~4月上旬に至る23旬に生起することになる.
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