炭田における石炭生産状態を決定する有力な背景として,石炭市場の性格がある.炭田における石炭生産活動のよりよい研究のためには,石炭市場についての理解を欠くことはできない.この意味で,日本における石炭消費と国内炭との結びつきのパターンにみられる地域性の解明を試みた.
本研究は,まず,日本における国内炭の消費と供給のパターンを明らかにした後, 3規準にもとついて,'国内を16の市場地域に区分した.ついで,各市場に対する九州,北海道,常磐,山口の各生産炭の流入の地域的相違を明らかにした.石炭市場の解明は,生産炭と市場構成因子との結合関係の分析に重点をおいた.各市場の構成因子として,電力,鉄鋼,一ガス,窯素,紙・パルプ,化学を始めとし,食品,繊維,暖房,交通など,17の消費部門をあげ,全国16市場にわたって,流入炭との関係を求めた.そして,各市場因子の組み合わせとその消費比重の相違によって石炭市場の性格と規模がきまり,これに市場の炭田に対する位置関係がからんで,市場と生産炭との流通機構が形成されていることを明らかにした.
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