地理学評論
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42 巻, 1 号
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  • その緩慢化現象を中心として
    籾山 政子
    1969 年 42 巻 1 号 p. 1-18
    発行日: 1969/01/01
    公開日: 2008/12/24
    ジャーナル フリー
    疾病や死亡と季節との関係は随分古くから論じられ,いわゆる“季節病”の存在も周知の事実となった.しかし最近ではその姿-常識的に考えられてきた姿-も大きく変り,従来季節病と呼んできたその名称の本来の意味が消滅しつつある段階にきている.
    日本の死亡の季節変動は,昔は夏に高い山のある夏季集中型,夏,冬2つの山のある型,最近は冬に山のある冬季集中型と移り変った.人間の社会的な努力によって,夏山は克服されたのである.だが冬は相対的に高まり,冬季集中はますます顕著になってきた.
    世界の国々の死亡の季節変動形態はいろいろあるが,それらはある程度,日本の歴史的変遷の姿と対応している.一方,北欧やアメリカには今日,変動の“緩慢化”現象があらわれてきた.これは冬季集中を経過したあと形成された,より進化した形態と考えられる.しかし現在の諸形態が形成された自然的,歴史的,そして社会的背景はそう簡単には究明できない.
  • 野沢 秀樹
    1969 年 42 巻 1 号 p. 19-40
    発行日: 1969/01/01
    公開日: 2008/12/24
    ジャーナル フリー
    地域の基本構造を.市と農村の諸関係において捕えようと試みたもので,ここではその諸関係の一要素である工業生産活動についてのみとりあげた.対象地域は新潟県十日町市とその周辺である.この地方は高級絹織物地=域として全国に名声を馳せているが,その織物生産地域の構造を生産の構造的側面とその空間的側面について分析した.前者については,.市工場の構造,及び農村が.市の工場と関係を結ぶに至った要因を農村自体の構造の分析を通して明かにした.後者については生産のイニシヤティブをもつ.市の親工場とそれに従属した農村の出機との関係,及び労働力調達範囲の空間的組織を明かにした.また.市の側からの分析だけでなく,農村の側の反応をみるために,地理的位置と出機導入率を考慮:しいくつかの類型別に若干の部落について,インテンシィブな調査を試み,それぞれ以下のような結果をえた. 1. 都市部に集中する工場は3社に代表される大企業とその他の零細小企業に分類される. 2. 農村部の出機導入は農業との関係より,農家自体の人口構成によっている.3.農村の出機導入圏は.市中心の距離からみて,中間地帯にもっとも導入率が高い. 4. 3社に代表される出機支配圏は,相互に空間的に競合しながらも,それぞれの支配領域を確立している. 5. 労働力調達範囲も上と対応するかたちで存在する, 6. 農村の出機導入の類型にはそれぞれ移行形態が存在する.
  • 村上 雅康
    1969 年 42 巻 1 号 p. 41-59
    発行日: 1969/01/01
    公開日: 2008/12/24
    ジャーナル フリー
    この論文の主目的は,巨大企業が「工業地域」をいかに形成して行くかのプロセスを追求することにある.
    造船工業は明治以後,日本の工業化の原動力であるばかりでなく,総合組立工業として,多数の下請関連工場を外部分業の形態で成立させ,造船所自体の発展とともに,その周辺部に面的な拡大をさせている.と同時に,社宅・寮の建設をして,多数の労働者の定着をはかり「工業地域形成」を行なっている.研究地域としては,典型的な単一造船工業.市である相生市を選定した.
    ここでは,造船所を中心にして「造船工業地域」が具体的にどのように歴史的展開をして形成されて来たか以下の4つの指標を中心に考察した.
    (1) 相生市の工業生産高とその構成の変容(第1表).
    (2) 相生市の人口と造船工業従業者数と新造船量の対応関係(第2図).
    (3) 下請関連工場群の成立と拡大(第3図).
    (4) 工業的土地利用の進展(第7-1, -2, -3, -4図).
  • 長島 弘道
    1969 年 42 巻 1 号 p. 60-75
    発行日: 1969/01/01
    公開日: 2008/12/24
    ジャーナル フリー
    戦後の日本農業のひとつの特色は商業的農業の著しい発展である.本稿では,成長部門の一環として養鶏業をとりあげ,その発展過程,経営形態を中心に検討を試みようと思う.
    養鶏業には二つの発展期が認められる.第一期は昭和20年代後半であり,第二期は30年代後半である.前者は飼料事情の好転と鶏卵市場の拡大によって飼養羽数が増大した時期であり,後者は農業経営の体質改善という農村内部からの動きによって養鶏が導入され,専業化が進んだ時期である.
    今日,養鶏には副業養鶏を別にして,専業養鶏,企業養鶏,協業・集団養鶏の三つの経営形態がある。専業養鶏は家族労働を主体としているのに対して,企業養鶏は常時雇用労働力を導入している.両者とも大.市の近郊に立地しているが,最近企業養鶏は外延的に立地移動し,分散化の傾向がみられる.協業.集団養鶏は全国的に分散している.
  • 1969 年 42 巻 1 号 p. 76-83
    発行日: 1969/01/01
    公開日: 2008/12/24
    ジャーナル フリー
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