山城盆地南部では,従来から内水災害が頻発していたが,最近における都市化の進展にともなって,被害の傾向に著しい変化が生じている.
すなわち,〓内水災害の常習地に大規模な埋立が行なわれた結果,内水災害地区に質的変化がおこった.〓埋立によって排水条件が悪化したため,耕地が沼沢地に転じている.〓上流域の荒廃・改変によって,予期せぬ地区に内水災害が発生するようになった.
内水災害は氾らん原,後背湿地および旧河道において発生しているが,さらにミクロに分析した結果,それは地形と必ずしも一致せず,むしろ人間による構築物の整備状況如何が,いっそう重要であることがわかった.したがって,内水災害の研究を行なう際には,微地形との関係の分析のみにとどまらず,都市的土地利用の進展状況およびそれに対する国や地方行政機関の施策なども,十分検討しなけれぽならないものと考える.
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