つぎのような問題を中心として,木曽川流域の地域発達を明らかにしてゆきたいと思う.
1) 木曽川流域の,阿寺山地,二ツ森山地塊,見行山地塊にみられる,高度を異にするいくつかの平坦面および砂礫層の性格と相互の関係
2) 恵那盆:地の形成と盆地における木曽川の流路の問題.
3) 見行山地塊の運動と地形面の変位.
4) 土岐面の性格。
5) 土岐面以後に形成された地形.三つの地塊にはそれぞれ三つの平坦面が認められ,阿寺山地では,上位1,400~1,700m,下位900~1,200m(中・下位面の比高が小さく,はつきり区別できない),二ツ森山地塊では800~1,000m, 600m±, 300~400m, 見行山地塊では700~900m, 350~700m, 250~500mである。また上位は山頂平坦面,中位は山麓緩斜面,下位は土岐砂礫層からなる平坦面で, Profile, 比高などからも相互に対比される.上・中位面の形成後,阿寺山地と飛騨美濃高原を分つ阿寺断層崖が形成され,断層崖およびBackslopeを開析する過程で産み出された礫が土岐砂礫層の主要部分を占め,さらに上流から運びこまれるchertなどの礫を含んで,下流地域に堆積している.この土岐砂礫層は最厚80mにおよぶ,層相変化の激しい堆積物であるが,礫径,礫種,累層の追跡によつてひとつづきの堆積物と認められ,主な堆積地域である見行山地塊においては,砂礫層のつくる地形面は,平坦さ,連続などから堆積面と考えられる.土岐面は見行山地塊の傾動によつて,ややSWに傾いている.またこのため木曽川も見行山地塊東部において,先行谷となり,深い峡谷をつくつている.さらに土岐砂礫層の中・下部にあたる部分が堆積後,屏風山断層が活動して,岩村盆地は飛騨美濃高原から分離している.以上のような事実をもとに,さきに発表した「恵那盆地を中心とする二ツ森山地塊の地形発達の研究」, Field survey, 写真判読,図上作業などの結果を合わせて発達史を考察する.
抄録全体を表示