大磯丘陵に分布するtephraについて,層位学的,地形学的研究を行ない,その給源火山(富士,箱根)の活動史を考察した.
まずtephraの対比をする上でもっとも重要な鍵層である東京軽石層が,大磯丘陵内で確認でき,しかもそれが箱根新期軽石流の先駆的噴出物であることがわかつた.また,更新世のtephraは,地形面とのきつさわ関係,堆積の連続性などから,上位から新期ローム層,吉沢ローム層,土沢ローム層に分けられた.地形お
よびその構成物とこれらtephraとの関係は,図7に模式化される.とくに強調されるのは,大磯丘陵できつさわ土沢層として一括されていたものから,新たに吉沢層と呼んだ海進堆積物が独立したことであろう.これはおそらく下末吉層に対比できると考えられる.
tephraおよび地層の対比は,表1に示した.
以上のtephraの層序,および富士,箱根火山の噴出物の厚さ(容積にほぼ比例すると考えられる)とから,両火山の活動史を図化すると,図8のようになる.
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