日本家政学会誌
Online ISSN : 1882-0352
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ISSN-L : 0913-5227
75 巻, 11 号
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報文
  • ―1960年代のマイホーム主義に注目して―
    矢澤 郁美, 山村 明子
    2024 年75 巻11 号 p. 551-563
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/11/29
    ジャーナル フリー

     社会の中でマイホーム主義が論じられ, 家庭生活を重視することが求められ, また男性自身もそれを求めるようになっていた1960年代を中心に, 男性に対して提案された家庭着を検討することで, 変わりゆく生活と男性の在り方を論じる. 主な一次史料として, 朝日新聞および読売新聞に掲載された家庭洋裁の指南記事を使用する. さらに, 同時期の婦人雑誌からも調査する. 提案された家庭着からはくつろぐ姿, そして家族と共にレジャーを楽しむ姿が見いだされた. 男性の家庭着とは, 家族・女性の視点をくみ取って服装を選択することが求められている姿である. また, 家族・女性が他者の評価を斟酌して提案する服装でもあった. 当時の男性の家庭着への提案とはまさしく女性家庭主義を表していると言え, 家庭着の変容によってマイホーム主義は体現されていたと考えられる.

ノート
  • 近藤 渚, 髙尾 哲也, 戸谷 誠之, 小川 睦美
    2024 年75 巻11 号 p. 564-573
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/11/29
    ジャーナル フリー

     月経周期の日数が正常範囲にある女子大学生31名を対象に基礎体温測定, 体組成分析, 食事摂取状況などの調査を行い, 基礎体温の二相性の有無に関連する要因を検討した. 基礎体温測定結果に基づき, 31名を二相性あり群7名, 二相性なし群24名に区分し初経経過年数を比較した. その結果, 初経発来から8年を経過した者の割合は二相性あり群の方に多かった. さらに, 初経発来から8年以上経過した16名で検討した場合, 二相性あり群は二相性なし群よりも, たんぱく質, 総食物繊維, カルシウム, 鉄などのミネラル6種類, ビタミンK, 葉酸, ビタミンCなど8種類のビタミンの摂取量が有意に多かった. 月経周期の日数が正常範囲で基礎体温に二相性が認められるには, 初経発来から8年を経過していること, 8年を経過している場合は食事摂取状況が関連することが示された.

資料
  • 坂本 薫, 森井 沙衣子
    2024 年75 巻11 号 p. 574-583
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/11/29
    ジャーナル フリー

     COVID-19流行中の小中学生の生活状況や不定愁訴の変化をみるため, COVID-19流行前の2015年11月と流行中の2021年9~10月に, 近畿圏のある市の小学3年生, 5年生, 中学2年生を対象とした調査を行った. 2015年は質問紙法で対象学級を抽出して調査し, 有効回答数は1,908 (回収率98%), 2021年はWeb調査で市内全ての対象学年を調査し, 回答数は11,034 (回収率79%) であった. 小学生は, 夜食を食べる者が増え, 中学生は毎日朝食を食べる者が減少していた. 小中学生において朝食の共食の機会が増加し, 小学生は夕食も共食が増加した. また, 自分だけで料理を作ることができる小学生が減少した. 小中学生の起床時刻, 就寝時刻が遅くなり, 運動する者が減少していた. 便が朝毎日出る小学生が増えた. 小学3年生は, 体のだるさや疲れやすさを感じる, 食欲がない, 何もやる気がおこらないことが「しばしば」あると回答した児童が増え, 食欲がない, イライラすることが「ない」を選んだ児童が減少した. 小学5年生は, 食欲がない, 何もやる気がおこらないことが「しばしば」あると回答した児童が増加した. 中学2年生では, 全ての不定愁訴の項目について「しばしば」あると回答した生徒が増加していた. COVID-19流行中の小中学生の食生活状況や生活状況は変化し, 不定愁訴は増加傾向があり, COVID-19が小中学生の生活に影響したと考えられた.

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