リグニンの酸化分解生成物の1つであるバニリンから,メトキシベンザルアジン骨格及びヘキサメチレン(C
6)ならびにオクタメチレン(C
8)基を脊するポリエーテル及びポリエステルを合成した。これらのポリマーの熱的性質を示差走査熱量測定(DSC)によって検討した。
DSC測定により,ポリエーテルは溶融状態からの冷却曲線において結晶化の発熱ピークが認められ,また溶融状態からの等温結晶化が観察された。Avrami式による結晶化挙動の解析及び偏光顕微鏡による観察によって,結晶が3次元的に成長することが示唆された。
重合したままのポリエステル試料については, DSC昇温曲線において融解による吸熱ピークが認められた。ガラス状態からの昇温測定においては, C
8誘導体についてのみ低温結晶化による発熱ピークが観察された。溶融状態からの等温結晶化は認められなかった。しかし,ガラス状態からは,低温結晶化に相当する温度領域での等温処理によって結晶化した。C
8誘導体の等温結晶化挙動のAvrami式による解析によって,結晶の成長が2次元的であることが示唆された。
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