本研究の目的は,衣服が着用者に似合う程度を,衣服と着用者の顔の要因により表すことにある。そのために各要因の加法性に基づくモデルを提案した。
似合う程度の測定には,ハーフミラー上に着用者の顔とスライドの衣服とが合成される装置(アリスミラー)を用いた。衣服は,カジュアルで個性的な感覚のものを21点選んだ。着用者は,女子大生30名とした。
衣服は, 8対のイメージ用語で表現された。また着用者の顔は,目・鼻など10項目の形態的要因で表現された。
以上の実験結果を解析し,次の結論を得た。
1) 似合う程度は,衣服と着用者の顔を要因とするモデル式であらわされ,その各要因と,目的変数になる似合う程度は,実験結果から求められた。
2) 似合う程度は,統計的に検定され, 3名の判定者間に共通の判定基準の存在が認められた。
3) 衣服のイメージの判定結果は因子分析され, 3因子で説明できて,衣服は6グループに分類できた。
4) 着用者の顔の表現は,数量化理論2類で計算され,似合う程度に強い影響を与える4因子が抽出された。
5) 衣服と顔の組合わせごとに,似合うものと似合わないものとに区分した。組合わせの例を示し,またモデル式により似合う程度を数量的に例示した。
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