羊毛の縮充性を低下させるための樹脂處理が,水中に於る羊毛の彈性に與える影響と防縮性との關係を實驗的に調べた。常法により主に纎維の表面に樹脂を附着させると,樹脂の疎水性によつて多少變形を受け難くなるが,伸長に要する仕事エネルギーの消費量には殆ど變化なく,從つてその防縮性には殆ど關係がない。然し,纎維をあらかじめ膨潤させておいて低分子の樹脂を纎維内部に侵入せしめた後,纎維内部で樹脂を縮合せしめると,纎維は著しく變形し難くなり,又伸長に要する仕事エネルギーの消費量も明かに大きくなる。即ち,その彈性の低下は防縮性を興える一要因と云える。
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