前報においてヴィスコース人絹,銅アソモニヤ人絹,酷酸纎維素人絹,天然絹絲及硝子纎維等の低速度域の衝撃破壊エネルギーが速度増加に從つて直線的に増加することを認めた。この範圍の變形機〓に對して, Maxwell要素と彈性バネの並列系からなる粘彈性的力學モデルを適用すると,若干の假定の下に,破壊エネルギー
Wと速度υ
0との間に次式が得られる。
E∞及
E∞+
E0は夫々靜的及瞬間的ヤング率, ηは内部粘性係數,
x1は破壊伸長。
セニメーターによつて準靜的に測定されたυ
0→0なる場合の破壊仕事
W0と伸長
x1とから見掛けの靜的ヤング率
E∞を求め,既往の文獻によつてυ
0→∞なる場合の瞬間的ヤング率
E0+
E∞を知り,兩者の比從つて又を夫々の纎維について或る妥當な範圍にとり,上式から内部粘性係數ηの算出を試みた。その結果從來振動的な方法で測られた低周波數(10c. p. s程度)における値と大體一致する値が得られた。尚平均緩和時間を次式によつて求め,衝撃破壊エネルギー
一の極大値の速度位置に相當する切斷時間の概算値との比較を行つた結果10
-3~10
-4 sec程度にて大體近似することを認めた。
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