繊維学会誌
Online ISSN : 1884-2259
Print ISSN : 0037-9875
45 巻, 11 号
選択された号の論文の16件中1~16を表示しています
  • 鞠谷 雄士, 松居 隆之, 高久 明, 清水 二郎
    1989 年 45 巻 11 号 p. 441-446
    発行日: 1989/11/10
    公開日: 2008/11/28
    ジャーナル フリー
    高速紡糸過程におけるネック形状変形の直径分布をオンラインで測定する新しい手法を開発した。ネック状変形の位置が紡糸線上で揺らぐことを利用するこの手法により,直径変化を繊維軸方向に最小2mmの分解能で測定することができた。ポリブチレンテレフタレートの高速紡糸を,巻取速度3.5-5.0km/minについて,紡糸温度255°C,吐出量5.5g/minで行った。ネック状変形の位置が移動する速度は,紡糸速度の1-2%程度であった。従来の溶融紡糸においては,直径分布曲線は最終直径に漸近する形状を持つが,解析の結果得られた直径分布曲線は,ネック状変形の完了点より50mm以上手前からすでに上に凸型の形状を示していた。固化点直前の速度勾配は紡糸速度の増加に伴って大きくなり,紡糸速度5.0km/minにおいて,繊維軸方向2mmにわたり平均した速度勾配は20ms-1に達していた。
  • 長谷川 博一, 橋本 竹治, 福田 光完, 河合 弘迪, Charles C. Han
    1989 年 45 巻 11 号 p. 447-454
    発行日: 1989/11/10
    公開日: 2008/11/28
    ジャーナル フリー
    9000m/minの特定の紡速で紡出されたPETフィラメントからの小角中性子散乱を,乾燥,重水および軽水の飽和収着(30°C)の3つの相違する条件下に観測した。結果として,液相水より若干強く相互作用を受け,クラスターを形成した状態で,試料の特定部位に収着されている水(凝結水)の存在が示唆された。このクラスターの繊維軸方向の平均慣性半径は, 150~160Åであり,繊維軸に垂直方向の平均慣性半径は用いた散乱計の分解能を越え,更に大きいと予測される。一連の高速紡糸試料の水分収着実験より,収着水の一部がHenry則に従う溶解水として存在し,その収着量が試料の非晶度によく比例するという事実から,非晶領域に液相水より弱い相互作用を受け,均一に収着されている溶解水の存在を否定するものではないが,そのような均一溶解相からの中性子散乱はコントラストにおいて微弱であり,検出しがたい。この特定試料への水分収着は次のように描かれる。すなわち,蒸気圧の上昇にともない,水分は先ず非結晶にある程度まで均一に溶解され,ついで試料の特定の部位にクラスターを形成して凝結される。
  • 三友 宏志, 渡辺 祐平, 栗山 将
    1989 年 45 巻 11 号 p. 455-461
    発行日: 1989/11/10
    公開日: 2008/11/28
    ジャーナル フリー
    テトラオキサン(TEOX)単結晶のγ線照射重合によって得られたポリテトラオキサン(PTEOX)について,そのモルフォロジーや結晶配向がしらべられた。二段階後重合法が適用され,これによって高いポリマー収率を得ることができた。第一段の後重合では,固体のテトラオキサンからのポリマー収率はかなり低いが,第二段階では前段階で生成したPTEOXの存在によってそれは著しく増大するようになる。前段階で生成したポリマーは,生長しつつある高分子鎖を空間的に誘導したり,あるいはエピタキシャル生長における基盤の役割を果すものと考えられる。この重合方式によってのびきり型結晶が常に形成される。また折りたたみ結晶は80°C以上の重合温度において形成され,一方副結晶は90°C以下の温度で形成される。すべての試料においで網目状構造がみられるが,ほとんどの分子鎖は繊維軸の方向に並んでおり,いわゆる“シシカバブ”構造をとっていると考えられる。
  • 第8報 延伸・熱処理薄膜の水中での繰り返し伸長・収縮による弾性的挙動
    山浦 和男, 早川 晃弘, 谷上 哲也, 松沢 秀二
    1989 年 45 巻 11 号 p. 462-467
    発行日: 1989/11/10
    公開日: 2008/11/28
    ジャーナル フリー
    トリフルオロ酢酸ビニルから誘導したシンジオタクトに富むポリビニルアルコールの延伸・熱処理薄膜の弾性的挙動を,水中での繰り返し伸長・収縮のもとで調べた。125°C以下で熱処理した延伸フィルムでは,水中70°C以下での平衡収縮量は同じで,どの場合も繰り返し変形で二つの領域すなわち低伸長と高伸長領域にわかれた。低伸長領域では,弾性変形が塑性変形に優先するが,高伸長領域では逆になる。150°C以上で熱処理した延伸物では,水中での平衡収縮量は熱処理温度および水の温度に依存し,また繰り返し変形では弾性変形と塑性変形とが共存した。
  • 中西 房枝
    1989 年 45 巻 11 号 p. 468-472
    発行日: 1989/11/10
    公開日: 2008/11/28
    ジャーナル フリー
    光反応性LB膜の作製が四点光固相重合によりえられた主鎖にシクロブタン環を持つポリマー/オリゴマーを用いて行なわれた。長鎖アルキルエステル残基を持つポリマー/オリゴマーはアラキジン酸と混合することにより安定な単分子膜を水面上に形成した。これらの単分子膜は基板にY型膜として累積することができた。オリゴマーLB膜は光照射によりポリマーLB膜と変化した。ポリマーLB膜は照射する光の波長により,ポリマーからオリゴマーまたオリゴマーからポリマーへの光可逆反応を起した。この挙動は光により主鎖中のシクロブタン環の開裂と形成が起ることに起因することがわかった。
  • 顔 明雄, 陳 達智
    1989 年 45 巻 11 号 p. 473-481
    発行日: 1989/11/10
    公開日: 2008/11/28
    ジャーナル フリー
    ジメチロールエチレン尿素で処理した綿布の物性と橋かけ構造に及ぼす予備乾燥の効果を検討した。
    加工布の物性と橋かけ構造は明らかに予備乾燥の条件に影響される。予備乾燥において温度を一定として布の水分率を高めると,加工布における加工剤の移行が激しくなった。その結果,水素結合の保護が助長され,より良い乾しわ回復角が得られた。このことから乾しわ回復角と,橋かけ長さの平方根,橋かけ数と橋かけ完成度の積との直線性が満たされなくなった。
    次に,予備乾燥において,加工布の水分率を4-5%で固定して温度を変えたとき,温度が低いほど加工剤がよりラメラの内部に浸透した。その結果,繊維の膨潤性が高まり,より良い湿しわ回復角が得られた。このことから湿しわ回復角と,橋かけ長さ,橋かけ数と橋かけ完成度の積との間の直線性が満たされなくなった。この現象は加工液にメタノールを含入した時により顕著であった。
  • 都竹 初稲, 稲垣 勝彦, 渡辺 京司
    1989 年 45 巻 11 号 p. 482-486
    発行日: 1989/11/10
    公開日: 2008/11/28
    ジャーナル フリー
    着衣した人体が高風速の風に曝されたときの風によって人体に生ずる風力抵抗を布に巻いた円筒モデルを用いて,流体的実験方法にもとづいて検討した。風力抵抗CDとレイノルズ数Reとの関係をCD-Re曲線で表わし,表面粗さHの異なる種々の布について,それぞれのCD-Re曲線を解析した。CDの最小値をCD*,それに対応するReをRe*としたときCD*-HおよびRe*-H曲線を求めて,次の知見を得た。通気性の小なる布を巻いたシリンダの示す曲線は,表面粗さの異なるシリンダが示す曲線と一致し,表面粗さが大になるほどCD*は大, Re*は小になる。このように条件によっては被覆した円筒の方が被覆しないものより抵抗が小さくなることがわかる。以上の結果から風力抵抗を小さくする布の選定が可能であることが示唆された。
  • 坂部 寛, 伊藤 啓, 宮本 武明, 野一色 泰晴, 河 完植
    1989 年 45 巻 11 号 p. 487-490
    発行日: 1989/11/10
    公開日: 2008/11/28
    ジャーナル フリー
    タンパク質変性剤水溶液で可溶化した後,再生した変性絹フィブロインの抗血栓性を成犬を用いたin vivoの動物実験により検討した。変性による試料の非水溶性化処理はメタノールおよびギ酸を用いて行い,抗血栓性はポリエステルマルチフィラメントに被覆した試料を成犬の静脈内に留置する方法で評価した。静脈内留置2週間後の結果より,変性絹フィブロインは抗血栓性を有することがわかった。
  • 平林 潔, 朝倉 哲郎
    1989 年 45 巻 11 号 p. P463-P468
    発行日: 1989/11/10
    公開日: 2008/11/28
    ジャーナル フリー
  • 磯貝 明, 石津 敦, 林 治助
    1989 年 45 巻 11 号 p. P469-P480
    発行日: 1989/11/10
    公開日: 2008/11/28
    ジャーナル フリー
  • 今井 淑夫
    1989 年 45 巻 11 号 p. P481-P487
    発行日: 1989/11/10
    公開日: 2008/11/28
    ジャーナル フリー
  • 篠原 昭
    1989 年 45 巻 11 号 p. P488-P490
    発行日: 1989/11/10
    公開日: 2008/11/28
    ジャーナル フリー
  • 物理的特性を中心に
    小林 茂雄
    1989 年 45 巻 11 号 p. P491-P494
    発行日: 1989/11/10
    公開日: 2008/11/28
    ジャーナル フリー
  • 木下 隆利, 滝澤 章
    1989 年 45 巻 11 号 p. P495-P499
    発行日: 1989/11/10
    公開日: 2008/11/28
    ジャーナル フリー
  • 斎藤 拓, 井上 隆
    1989 年 45 巻 11 号 p. P500-P505
    発行日: 1989/11/10
    公開日: 2008/11/28
    ジャーナル フリー
  • 林 寿郎
    1989 年 45 巻 11 号 p. P506-P510
    発行日: 1989/11/10
    公開日: 2008/11/28
    ジャーナル フリー
feedback
Top