ヴィスコース人絹及硝子纎維について試長(0.5~4.5cm)を變化した時の衝撃破壊エネルギー~速度關係に及す影響を研究し,衝撃速度の比較値として伸率/secに比例するをとれば,長試長の場合程低速度域に移り,各試長による測定値群を絡ぎ合はせることが出來る。かくして我々の實驗範圍では硝子纎維に1つの,ヴィスコース纎維に2つの破壊エネルギーに關する極大値が認あられた。低速度域では破壊エネルギーは速度と共に直線的に増加し,セニメーターによつて得られゐ準靜的破壊エネルギーはこの直線の外插上の速度→0の點に大體一致する。この低速度域は比較的單純な粘彈性變形域と考えられる。
硝子纎維の破壊エネルギーに關する1つの極大値に相當する衝撃初速度と破壊伸度(準靜的)とからその切斷時間を概算すると1.4×10
-4secとなり,これは.比較的小さく且つ接近した多くの緩和時間をもつと考加られる低分子,無定形的硝子固體の流動單位に關する平均緩和時間に對應するものであろうと考えられる。ヴィスコ一ス纎維の破壊エネルギーに關する2つの極大値に相當する切斷時間は3.3×10
-3及1.8×10
-3secと概算されるが,とれらは高体子に特有な多くの緩和時間分布の1部に對應ずるものであり,又その値がガラスのそれに對比し得る程度であることから非結晶領域における流動單位に關するものであろうと推論される。
抄録全体を表示