日本家政学会誌
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最新号
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報文
  • ―マイクロ波前処理の影響
    塚崎 舞, 藤本 明弘, 森田 みゆき
    2025 年76 巻10 号 p. 499-506
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/10/31
    ジャーナル オープンアクセス

     本研究は, 消費エネルギー量を統一して電子レンジによるマイクロ波または電熱器による抵抗熱を用い, 天然染料の色素抽出から絹布の染色までの一連の工程を行い, 染色性を比較することで, マイクロ波染色のエネルギー効率を検討した. 天然染料として, インドアカネ, ベニバナ, ウコン, タデアイ, シコンを用いた. マイクロ波を用いた抽出では, 抵抗熱を用いた場合と比較して2から6倍濃色の抽出液が得られ, 濃色で色相が明確な染色布が得られた. マイクロ波染色の結果から, すべての染料で抽出および染色が十分に可能であり, 色素の選択的抽出や分解といった影響はなく, エネルギー効率が良い方法であることがわかった. マイクロ波による染液と絹白布への前処理による影響については, 30秒間の時間では, 明確な影響が確認されなかった.

ノート
  • 山根 京子, 清水 祐美, 小林 恵子
    2025 年76 巻10 号 p. 507-518
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/10/31
    ジャーナル オープンアクセス

     女子大学生を対象としてわさび4品種とチューブわさびの食べ比べによる官能評価を実施した. その結果, 分析型官能評価ではすりおろしわさびよりも, チューブわさびの方が辛味が有意に強く感じられることが明らかとなり, 嗜好型官能評価では, 好ましさの値がチューブわさびよりもすりおろしわさびで有意に高かった. また, 嗜好性を決定づける要因として, 香りの好みが, わさびの嗜好性に最も大きな影響を与えていることが明らかになった. 一方, 辛味評定平均値が高いわさびグループでは, 低いわさびグループに比べ, 甘味評定平均値が有意に低い結果となった. 辛味による甘味感受性に対するマスキング効果の存在が示唆され, さらなる検証が望まれる. 一方, 事前アンケートで辛さが苦手と回答した人は, 辛味の弱いわさびを好む傾向がみられた. 試験後の感想でも, わさびの品種による特徴の違いに言及した回答が多くみられ, 多様な嗜好性に応じた新たな品種改良や商品開発に向けた, わさび遺伝資源の活用が期待される. 持続可能なわさび生産と食文化継承の両立のためにも, すりおろしわさびの食経験を増やし, 消費者に向けた正しい情報発信が求められるだろう.

資料
  • 菅野 友美, 浅井 紀之, 西村 篤寿
    2025 年76 巻10 号 p. 519-528
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/10/31
    ジャーナル オープンアクセス

     本研究では, 味噌製品および豆味噌, 米味噌製造工程から採取した味噌試料の抗酸化能を調査し, その抗酸化能と味噌の色調 (L*, a*, b*), 褐色度およびpHとの間の関係を検討した. 抗酸化能は親水性活性酸素吸収能力 (H-ORAC) で評価した. 八丁豆味噌は抗酸化能が最も高く, L*値が最も低い値を示し, 抗酸化能とL*値との間に有意な負の相関 (-0.921, p<0.05) が認められた. このことから, 味噌製品および味噌製造工程における抗酸化能の簡易評価の指標としてL*値を活用できる可能性が示唆された. 一方, 味噌製品は抗酸化能と褐色度との間に有意な正の相関 (r=0.929, p<0.05) を示した. また, 豆味噌製造工程は抗酸化能とpHとの間に有意な負の相関 (r=-0.984, p<0.05) を示し, 米味噌製造工程は抗酸化能とa*値 (0.940, p<0.05) およびb*値 (0.893, p<0.05) との間に有意な正の相関が認められた.

シリーズ 研究の動向 89
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