農業農村工学会誌
Online ISSN : 1884-7196
Print ISSN : 1882-2770
84 巻 , 10 号
選択された号の論文の9件中1~9を表示しています
  • 原田 正人, 水上 徹, 林 春奈
    2016 年 84 巻 10 号 p. 839-842,a1
    発行日: 2016年
    公開日: 2021/01/14
    ジャーナル フリー

    農業水利施設の運転操作に係る主な動力源である電力の料金が東日本震災以降に高騰し,配水費用や用排水機場の施設管理費用などが増加し,農業水利施設を維持管理する土地改良区などの運営に大きな影響を及ぼしている。本報では,近年の電気料金の動向とその影響について俯瞰するとともに実際の事例を用いて電気料金と電力使用量の関係を考察する。また,電気料金の高騰に対する,土地改良区などの農業水利施設の電力使用に係る負担軽減対策として運用の見直しによる対策(ソフト対策)および機器の更新による対策(ハード対策)に係る検討項目について述べるとともに,農業農村整備事業での対応について紹介する。

  • 森川 学
    2016 年 84 巻 10 号 p. 843-846,a1
    発行日: 2016年
    公開日: 2021/01/14
    ジャーナル フリー

    滋賀県は琵琶湖総合開発事業を契機に農業水利施設の整備が進展し,4割の水田が琵琶湖をも水源とすることで,干ばつの影響を受けない営農が可能になったものの,昨今の電気料金の値上げは,土地改良区の運営を直撃している。本報では,県内の4土地改良区の節水,節電への取組みおよび行政の支援を報告する。また本県で検討した水利用の合理化に向けたシステムについて,送水停止可能日の検討,揚水機場の効率的なポンプ運転に向けた方策を紹介する。

  • 松本 宜大, 𠮷田 修一郎, 西田 和弘
    2016 年 84 巻 10 号 p. 847-850,a1
    発行日: 2016年
    公開日: 2021/01/14
    ジャーナル フリー

    ポンプで水をくみ上げる際に必要な消費電力は灌漑水量と全揚程に比例するため,地下水を利用した灌漑を行っている火山灰土水田では平均的な水田と比べて多大な電力エネルギーを投入していると考えられる。そこで,地下水を利用した灌漑を行う火山灰土水田における灌漑水量と灌漑用電力投入の実態を明らかにした。年間の灌漑水量は3,382 mmと非常に多く,またその供給のための電力投入は50.3 GJ/ha(14.0 MWh/ha)であった。これは,平均的な水田における灌漑用電力投入量の10倍以上であった。電力投入量の削減にはポンプの水頭損失の低減はもとより,灌漑水量の削減のために基盤土層に破砕転圧工法などの浸透抑制工法を施すことの有効性を指摘した。

  • 鈴木 智
    2016 年 84 巻 10 号 p. 851-854,a1
    発行日: 2016年
    公開日: 2021/01/14
    ジャーナル フリー

    新潟県の県北に位置する村上市において,平成20年から圃場整備にて造成された揚水機場を対象としてインバータPLC化による省エネ化を目指した取組みを行ってきたが,平成23年に発生した東日本大震災以降,電力料金上昇対策として取り組み続ける事例を紹介する。また,揚水機場における機器類についてPLCを用いたコスト縮減や機器の集約化,計測機器の変更,水管理施設の更新など運用事例を紹介する。

  • 中矢 哲郎, 樽屋 啓之, 浪平 篤, 中田 達, 中 達雄
    2016 年 84 巻 10 号 p. 855-858,a2
    発行日: 2016年
    公開日: 2021/01/14
    ジャーナル フリー

    ポンプ灌漑地区において,施設の管理状況や電力使用状況を現地の聞取り調査や運用調査より明らかにした。その上で用水の有効利用や,節電を実現可能なポンプ直送式の配水システムの技術的問題を提示した。さらにプラントやインフラ施設の監視制御における最新の情報通信技術のうち,低コストでありかつ汎用機器との通信性に優れるSCADAを導入した,末端給水栓と用水機場の管理の連携を簡易にかつ拡張性高く構築できる灌漑配水の監視制御システムを提案した。本システムをポンプ灌漑地区の水理実験模型に実装し,システム構築の簡便性や制御運転のリアルタイムでの運用性を把握し,現地適用の有効性を報告した。

  • 波能 寿子
    2016 年 84 巻 10 号 p. 859-862,a2
    発行日: 2016年
    公開日: 2021/01/14
    ジャーナル フリー

    農業用水路を活用した自然エネルギー創出への取組みは,平成23年の東日本大震災および福島原子力発電所の事故がきっかけであった。農業の衰退,農地の減少荒廃,用水路や維持管理施設の老朽化に伴う補修費用の増加,組合員の高齢化など,土地改良区を取り巻く状況が厳しくなる中,組合員の負担軽減やエネルギー自給,地球温暖化防止などの観点から平成24年度非補助事業として農業用水路の上部に太陽光発電施設を設置する事業に挑戦した。平成25年度に売電を開始し,平成27年8月には,使用電力の100%自給をめざし用水路法面へ発電パネルを増設した。現在,想定の110~120%で稼働し,ほぼ使用電力の90%を太陽光発電所で自給している。

  • 早瀬 吉雄
    2016 年 84 巻 10 号 p. 863-867,a2
    発行日: 2016年
    公開日: 2021/01/14
    ジャーナル フリー

    庄川水系の水循環に伴う窒素・リンの流れを解明し,沿岸海域における栄養塩濃度とシロエビ漁獲量の関係について検討した。白山など飛騨北部の山岳豪雪の融雪水が積雪中の栄養塩を集中的に流し,灌漑の開始で扇状地水田域の栄養塩が地表水,地下水の流れと共に海に行き,沿岸海域の藻類の一次生産を引き起こし,シロエビの増殖を促している。近年,水質環境改善から漁獲量が急減しているが,水質は,最盛期であった2000~2006年のT-N/T-P比10~15が好ましい。

  • 近藤 侑也, 角道 弘文
    2016 年 84 巻 10 号 p. 869-872,a2
    発行日: 2016年
    公開日: 2021/01/14
    ジャーナル フリー

    マツカサガイは環境省レッドリストにおいて準絶滅危惧に選定されており,タナゴ類の産卵母貝としての機能を有していることから保全が急がれている。同種の安定的な生息の阻害要因の一つとして,流れによる移送が考えられるため,本研究では,マツカサガイが移送される流速を把握するために,同種の生息場所の底質を水路床に敷いた水理模型を用いて実験を行った。実験では,流速を6段階発生させ,各流速で移送された個体数をもとに移送率(=移送個体数/実験個体数×100)を算出した。その結果,移送される個体が出現し始める限界流速(移送率10%)は,約31 cm/sであり,大半の個体が移送される流速(移送率90%)は,約50 cm/sであった。

  • 広瀬 伸, 吉野 五織
    2016 年 84 巻 10 号 p. 873-878,a2
    発行日: 2016年
    公開日: 2021/01/14
    ジャーナル フリー

    近年,奄美群島・徳之島では精力的にコミュニティ形成活動が取り組まれ,3種の特徴のあるコミュニティが生まれている。これらは,①集落を単位に「むらづくり委員会」活動として取り組まれたエリア型コミュニティ,②NPOの活動に基づき島内外の多彩な参加者との間に取り結ばれたテーマ型コミュニティ,そして③集落に呼びかけ人がテーマを投げかけ,集落と一体となってコミュニティを活性化した,エリア型とテーマ型の中間・折衷型といえるタイプのコミュニティである。本報では,この3つのコミュニティの特性について,つながりの質,持続性,地域における効果・影響の点から比較し,農村におけるコミュニティ形成のモデルとして検討した。

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