農業農村工学会誌
Online ISSN : 1884-7196
Print ISSN : 1882-2770
90 巻, 5 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
  • 日置 秀彦, 村瀬 勝洋, 雪本 博志
    2022 年 90 巻 5 号 p. 313-316,a1
    発行日: 2022年
    公開日: 2024/03/15
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    (独)水資源機構は,その前身である水資源開発公団が昭和37年5月に設立されて以来,令和4年5月に60年の節目を迎える。その間,水資源の開発・管理を行い,首都圏,中部圏,近畿圏など大規模かつ広域的に水を必要とする地域において水を安定的に供給することを通じ,わが国の国民生活の向上と農業をはじめとする各種産業の発展に大きく貢献してきた。本報では,機構が管理している農業用水,水道用水,工業用水等の多目的な用途を含むダムや水路等の大規模水利施設が建設されて以来,利水施設によって,どのようなストック効果を創出したのか等について論じ,ストック効果の評価体系のあり方について考察する。

  • 河合 久志, 小山 重男
    2022 年 90 巻 5 号 p. 317-320,a1
    発行日: 2022年
    公開日: 2024/03/15
    ジャーナル フリー

    愛知用水・豊川用水の両用水は,水源に乏しい知多半島・渥美半島に水路を築造し安定的な水供給を可能とした。このことによって,両地域は日本有数の農業地帯に発展した。本報は,先覚者の発案に端を発し国・地域を動かして建設に至った経過や,計画的な営農が可能となったことによる農業の発展とその効果を報告するとともに,現在,農業が抱える課題に対して,今後の両用水の向かうべき方向を考察するものである。

  • 島本 由麻, モロゾバ ナデージダ, 柴野 一真, 鈴木 哲也
    2022 年 90 巻 5 号 p. 321-324,a1
    発行日: 2022年
    公開日: 2024/03/15
    ジャーナル フリー

    新川河口排水機場と一連の付帯施設は,低平排水不良地域である新潟市において農業生産と市民生活に不可欠な社会基盤である。流域治水や総合的な水資源施策の確立が急務とされている今日において,その重要性が改めて見直されている。本報では,新川河口自然排水樋門を対象に長期供用された鉄筋コンクリート部材の損傷実態をX線CT指標とコンクリート物性の観点から考察した。検討の結果,採取コンクリートコアのひび割れの発達は同一部位より採取したとしても評価指標の相違が大きいことが明らかになった。より長期的な施設保全を考慮した場合,コア採取ができない損傷が顕著に進行した部位での物性評価を含む精緻な実態の把握が技術的課題といえる。

  • 村田 稔尚
    2022 年 90 巻 5 号 p. 327-330,a1
    発行日: 2022年
    公開日: 2024/03/15
    ジャーナル フリー

    農業農村工学会は,技術者の行動原則として,2002年に制定(2009年に一部改正)した「農業農村工学に係わる技術者の倫理規程」を持っているが,学会員一般の倫理に対する関心は,残念ながらあまり高くないと思う。筆者は,日本技術士会において技術士倫理綱領の改定案策定や技術者倫理の啓発活動にも深く関与してきた者として,農業農村工学に関わる技術者が専門職として求められる倫理について,いわゆる7つの価値原則(公衆優先原則,持続性原則,有能性原則,真実性原則,誠実性原則,正直性原則および専門職原則)に照らして,技術士倫理綱領と同学会倫理規定とを対比しながら述べる。

  • 新村 麻実, 鈴木 翔
    2022 年 90 巻 5 号 p. 331-336,a1
    発行日: 2022年
    公開日: 2024/03/15
    ジャーナル フリー

    ICT水管理機器の実証試験を行った地区の普及担当者へのアンケート・意見聴取に基づき,導入を検討する上で参考となる地区の選定や機器の管理作業に関する知見を整理した。その結果,ICT水管理機器の導入メリットを発揮させるためには,少人数で多数の圃場を管理する経営体,または,大区画化などの整備が進んだ農地への適用が必要であることが示唆された。加えて,トラブルの発生を低減させることが求められる。スムーズな導入のためには,入念な導入地区の選定および周辺環境の整備を含めた対策の実施,導入初期において使用者の習熟をサポートする体制の構築が求められる。さらに,導入によって生じる新たな管理作業についても留意する必要がある。

  • 水島 孝典, 小林 和夫, 岡本 英樹, 星野 健介, 萩原 大生, 鈴木 哲也
    2022 年 90 巻 5 号 p. 337-340,a1
    発行日: 2022年
    公開日: 2024/03/15
    ジャーナル フリー

    本報は,新潟県農地部において2017~2020年度の4カ年に実施した50台の既設農業用ポンプの振動計測結果をまとめたものである。本取組みでは,振動計測に加えて,レーザーアライメント計測,赤外線応力計測およびオーバーホールを試み,既存施設の状態と非破壊検査技術の有用性について考察した。振動計測結果はISO基準で評価した。検討の結果,4カ年の全計測数1,640の約16.2%がオーバーホールを含めた何らかの管理作業が必要なポンプと診断された。大多数の既存施設は簡易な維持管理が行われており,良好な状態であった。一部の異常振動施設においてもオーバーホール後に評価値の改善が確認された。

  • 草光 紀子, 上田 哲行
    2022 年 90 巻 5 号 p. 341-345,a2
    発行日: 2022年
    公開日: 2024/03/15
    ジャーナル フリー

    農業農村整備事業での環境配慮において,事業主体が地域住民の理解を得るために実施している環境配慮施設設置前のさまざまな取組み(以下,「事前取組」という)の効果を明らかにするため,石川県のほ場整備事業においてビオトープを設置した事例を調査した。事前取組を多く実施した地区ほど,事業完了後におけるビオトープ認知率や設置目的の理解度が高く,完了後の維持管理作業や生き物調査への参加率も高くなる傾向が明瞭に示された。時間的な制約がある県営事業では,特に,事業の各段階で説明会や生き物調査を繰り返し開催することに加えて,パンフレットを作成することが効果的な取組みであることが明らかになった。

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